第98回サイエンスEネット例会報告 in ケニス

日時:2012年9月28日(金) 18:00〜21:00
場所:ケニス東京支社8F会議室

参加者 寺尾順平,鶴見隆,金原克範,舩田優、二階堂恵理,鳥井寿夫,松本悠、川村康文 以上8名(敬称略)

発 表
1.舩田優 「逆さ独楽の原理」
 「逆さ独楽」が逆さになる理由を、戸田先生は「エネルギー等分配の法則」で 説明されています。
 今回の発表はこれを実験で示すものです。 長さ20cmのワイヤーを一部を重くした円形に折り曲げます。 重くした部分を水平にセットし、回転させます。スピードがあるうちは重くした部分が 真上に移動して回転します。回転エネルギーの一部が位置エネルギーに分配された ことが解ります。
 おまけの発表として「この独楽?はどのようにして回すの。」を行いました。 専用の装置を使うもの、手のスナップで加速するものを紹介しました。 手のスナップで回すものはケニスで扱っています。
 →(鶴見隆さんより)今回、舩田先生の発表の中でご紹介されていましたのは、 1-110-767 ジャイロパワーボールSP 定価2400円 (ケニス840総合カタログ 321頁掲載) になります。ジャイロの働きを実感できる教材で、手首の筋力トレーニングにもなります。 舩田先生のすごいところは、本来は付属のひもで初動回転を起こしますが、 先生は、机にこするだけの回転で、球体を加速させていたところです。 熟練の技を感じました!! (実は私も一つ、自前で持っていますが、紐がないと回せません。。。)

2.二階堂恵理 あまいとうもろこしとカタイトウモロコシ
 今回はトウモロコシがテーマの本のご紹介とおいしい科学あそびのダイジェスト版です。ポップコーンとトウモロコシのお茶の試食付き! ゆでて食べる甘味種のとうもろこしとポップコーンにする爆裂種の実物を見比べたり、『あまいとうもろこしとカタイトウモロコシ』かが くのとも 佐武絵里子さく(福音館書店)のほか3冊をご紹介しました。子どもたちと楽しむときはガラス蓋のホットプレートを使ってポップコーンを 作ると、加熱始めてからはぜるところが観察できて盛り上がります。また、ポップコーンがはぜる仕組みのお話やトウモロコシを使った食 品の実物を見せたり試食したりすることでおいしい科学あそびになります。 おまけで、出版されたばかりの『月の満ちかけ絵本』大枝史郎文(あすなろ書房)も、ちょうど6年生に「月と太陽」の単元があるのでご 紹介しました。

3.鳥井寿夫「熱分解カーボンとネオジム磁石を用いた磁気浮上あれこれ」 パワポ
 反磁性物質であるカーボンとネオジム磁石を持ちいれば、超伝導物質を用いなくても(常温でも)磁気浮上はデモンストレーションでき る!
 小・中学校で慣れ親しんできた磁石は、高校および 大学初年度の物理ではほとんど取り上げられない。 世界最高の磁力を持つネオジム磁石は日本人の発明 だと言うのに残念な状況である。現場の教師の皆さんに もっと磁石に興味を持ってもらえればと思い、 ネオジム磁石と熱分解グラファイトを用いた磁気浮上の 実験をいくつか紹介した。 まず、比較的大きな反磁性(水の50倍、ビスマスの2.6倍) を持つ熱分解グラファイト(PG)を紹介し、N極とS極を 交互に並べたネオジム磁石の上にPGの板を1mm程度浮上させる デモンストレーションを行った。 次に、ネオジム磁石自身を磁気浮上させるおもちゃを 2種類紹介した。一つはネオジム磁石を上方のフェライト磁石で 吊り上げるタイプで、ネオジム磁石の上下にPGの板を配置して 鉛直方向を安定化する。もう一つは、N極とS極が向かい合うように 左右に置かれたフェライトでネオジム磁石を吊り上げる タイプで、今度はネオジム磁石の左右にPGの板を配置して 水平方向を安定化する。 どちらのおもちゃも、元ネタは2000年にカエルの磁気浮上で イグノーベル賞(2010年にグラフェンでノーベル物理学賞) を受賞したアンドレ・ガイムが著者の一人になっている 以下の論文です。

4.松本悠 「光速測定」
 卓上でできる、光速測定を発表させていただきました。
・実験器の構造
 レーザー光をマジックミラーで2経路に分け、一つは固定鏡で反射させ、 もう一方を一定速度で移動する鏡で反射させて、再び一点で合わさるように 調整します。その点に、フォトトランジスタを置き、レーザー光の強さの変化を 電気信号に変換し、音としてスピーカやイヤホン等で聞くようにしました。

・原理
 移動鏡で反射された光は、ドップラー効果により振動数がわずかに変化します。 その光が元の光と再び合わさることで、うなりが生じ、光の強さが振動します。 つまり、明るくなったり暗くなったりします。その変化を、フォトトランジスタを介して 録音し、うなりの振動数を解析することで、光速cを計算します。その式はc〜2V・ν/Δν の近似式で表され、元の光の振動数、Δνがうなりの振動数、Vが移動鏡の 移動速度です。

・問題点
1.実験器の雑音が大きく、うなりの振動数の測定誤差が大きい →モーターをソーラーモーターに換え振動を小さくしたが、データ蓄積していない
2.レーザー光の振動数が予め分かっていなくてはならない。レーザーポインタに 波長しか記載されていない場合、結局、振動数の計算に光速が必要になってしまう。 →あくまで教育用としての利用を考えています。もし、この点を問題視するならば、 レーザーの波長を測定していない事も問題視するべきでしょう。
3.鳥井先生に指摘されましたが、移動鏡でガラス鏡を用いた時に、測定結果が 本来の光速より小さくでた原因を、鏡のガラスが原因かと考察しましたが、理論的 には、ガラス鏡であろうとステンレス鏡であろうと、測定結果は変わらないはずでした。 →ガラス鏡で光速が小さくなったのは、実験誤差と考えます。 雑音を小さくした新しい実験器でのデータを蓄積して、改めて解析します。

5.川村康文 「門燈が着くふーふー発電」
 ふーふー発電ですが,門燈が着くようになりました。総合科学出版で,まもなく発売になります「ハブダイナモで作る風力発電」に掲載 しますので,本ができましたらどうぞよろしくお願いします。
 この本には,月かわりのふーふー発電(田山さんが作ってくれまし た)も,1月〜12月までのすべてと,13月のふーふー発電も掲載されます。カラフルでとてもきれいなので,どうぞよろしくお願いします。
 また,この本では, ハブダイナモでのプロペラ型風車, ハブダイナモでテレビが着く移動式自転車発電<完全なニュータイプです>, も掲載されます。
 なんと,この新型自転車発電もふくめ,旧形式の自転車発電も,自転車本来の移動も可能になりました。つまり,自転車に乗りながら発電ができるというものです。
 なお,ハブダイナモで,テレビが着く移動式自転車発電は,10月28日の東京理科大学ホームカミングで,川村研究室の学生が,宇宙船に っぽん号のたたかいを行いますが,そのときにも登場しますので,どうぞよろしくお願いします。

 あと,古川さんが,10月20日に,台東ビジネス交流会主催の講演会 18:00〜21:00
http://www2.hamajima.co.jp/~elegance/kawamura/keitaisite/2012h24/20121020.docx
をされます。
 本と,ふーふー発電と,新型自転車発電も,お目見えします。
 理科大から,台東区の会場まで,金原さんが,自転車発電自転車に乗って行かれます。

感 想
二階堂恵理

 11月のサイエンスアゴラに科学読物研究会で出展する企画のチラシもできたてをお持ちしました。10、11日はサイエンスアゴラ@ お台場に遊びにいらしてください〜〜
 ケニスの会議室から見えるスカイツリーはきれいでしたね。
 教具についてもご相談の機会ができてよかったです。
 ありがとうございました 。

ケニス営業部(寺尾・鶴見さん)
 第98回例会 参加者の皆様 先週末は遠い所、ケニスにお越しいただき、 ありがとうございました。舩田先生の「逆さ独楽」は、手軽な材料で逆さ独楽を作ることが出来、 現象もわかりやすい見せ方だなと感じました。 大人数の子供を対象としたものつくりに最適だと思います。 二階堂先生はトウモロコシからポップコーンのでき方に加え、 「科学読物研究会」や「サイエンスアゴラ」のご案内など、 イベントのお話まで頂き、ぜひ、イベントに参加したいなと思っております。 鳥居先生は反磁性を利用した、カエルの浮遊実験の紹介や実際にネオジムを 浮かせてみせる実験器具で久しぶりにわくわくしました!! 先生の発表後に、ネットでカエルの動画を探してしまいました。。。 松本先生の光速測定実験機は小型で身近に物理の法則を考えられる 良い教材だと思いました。ケニスも理科メーカーとして分かりやすい 教材を開発していきたいと思います。 川村先生は手軽に作れる風力発電実験器の紹介を頂き、会場の窓を開けて 実際の微風でもLEDが点灯できるなど、手軽さと結果の分かりやすさで 小学生でも簡単に実験が出来る良いキットだと思いました。 その他、色々な先生との交流ができ、大変勉強になりました。 今後も宜しくお願い致します。