2001年2月24日(土)名古屋市科学館での例会の記録です。

 21世紀最初の物理サークルは、名古屋市科学館で行われました。
 館長の樋口敬二先生の講演「私の研究史」で始まり、その後、いつものように
実験交流が行われました。


 講演 私の研究史               樋口敬二 先生

  京都で生活していたが、中谷宇吉郎先生の弟子になりたくて、北大を目指し、
学生時代から雪や氷の研究を始めた。
  札幌で上空から雪を模した紙を撒き、それがどうひろまっていくかの調査をし
たことがある。上空の一点からまいた紙は札幌全域に広がることがわかった。降っ
てくる雪を調べて上空の詳しい状況を知るのは、かなり難しいことがわかった。中谷
先生の「雪は天から贈られた手紙である」という言葉は読むためのプロセスが大切
であるということをいっている。
  名古屋大学にきて、こちらには雪がないので、北極や南極、ヒマラヤなどに研究
にでかけた。氷河の変化などの研究が、いま地球温暖化の影響を量る重要なもの
になっている。

  知識を得るだけなら、本などから学んだほうがよい。直接人間が行う講義や研究
を見聞きするのは、失敗も含めて研究に対する態度、知識に対する態度を学ぶのだ。
だからこそ、人が人に直接教える 意味があるのだ。

 
   講義後、先生が出演されたNHKのシリーズ「授業」のビデオをみました。


ファイマンタービン
(山岡さん)
 啓林に掲載された朝生さんの論文の追試です。
 下のパイプから空気を送ると、図の吹き出し口がついた
容器が回ります。どちらに回るかわかりますね。

 では、空気を吸い込んだらどちらに回るでしょうか。
 吹き出しのときと同じ、それとも反対向き、回らない
 いろいろ意見が出ました。
 
  


龍神
(奥谷さん)
 
 写真のように、水を入れた容器の中でろうそくを立て燃やし、上から瓶をかぶせると水が上がってきます。これを龍神というそうです。

 これは、どんな原理で起こるのでしょうか。
 「伊東家の食卓」でも放映されたそうですが、よくいわれるのが、燃焼によってできた、二酸化炭素が水に溶けて、その分圧力が減って水が上昇するというものです。

 ここでその説に対する異論が出ました。
 二酸化炭素はそんなに水に溶けないという説です。
 水が上昇するのは、かぶせるときの内部の暖ためられた空気が
水に触れて、冷えて収縮することで起こる、という説です。その検証
のための実験が、最後の写真。
 ろうそくと着火器でビーカー内部を暖気で満たし、かぶせました。
確かに水はかなり上昇しました。

振動子の共振
(林さん)
 写真のように、鉄ノコの刃に磁石をつけて、振動子をつくり
向かい合わせに斥力がはたらくようにします。振らせ方(最初の位相差)によって面白い動きをします。

高電圧発生装置と利用
(林さん)
 小型高電圧発生装置は、サークルではおなじみですが
普通は9ボルトの入力で3000ボルト程度の発生で使っていました。林さんはこれに18ボルトぐらいかけても大丈夫と確認。発生電圧も入力に比例して大きくなるとのこと。写真のように1cm以上はなしても放電します。
 下の写真は、墨汁をつけて乾燥させた発砲スチロールを入れた容器。上下にアルミ箔で電極をつくってあります。これにさきほどの高電圧をかけると、写真のように発泡スチロールが踊りだします。分子運動を目で見る装置です。
 摩擦電気でも十分踊ります。

まむしのたまご
(前田さん)
 写真のように、大型クリップと輪ゴムと5円玉でつくるびっくりおもちゃ。5円玉をまわしてゴムをねじります。それを紙を折った封筒に入れて相手に渡します。受け取った人は封筒を開けてびっくりというものです。

スキャントーク
(前田さん)
 マウスのような装置。スキャントークというそうです。大きさはマウス程度。これを右の写真のようにバーコードのようなものの上をなぞると、音が出ます。鳥の声、寅さんの声などたくさんあり、自分の声のバーコードも創れるそうです。
 このバーコードのようなもの。みただけではどれも同じように見えます。デジタルデータであることは推測できるのですが・・・。

ニューコメンの蒸気機関
(井階さん)
 川上さんに続き第2弾の蒸気機関。
 シリンダー部分に廃物の印刷用の容器を使っています。そのためピストン部分が熱に弱く長時間の使用には困難があるとのことです。ピストンをまっすぐ持ち上げるために、下の写真のように釜状の器具が必要とのこと。そういえば、ニューコメンの蒸気機関の図にはこのような形の器具がありました。いつもながらの精密製作です。

放射線を出す鉱物によるX線写真
(井階さん)
 前々回の例会で発表した、放射線を出す鉱物を、X線フィルムの上において感光させたものです。間においた硬貨の丸い形がはっきり出ています。

波の合成器
(山本さん)
夏のサークル交流会で、よせなべ物理サークルの石井さんが発表された、波の合成器の製作です。
プラスチックダンボールの穴に、3mm角の木材、ストッパーにはシリコンチューブを使っています。出来上がりを見るのは簡単ですが、作ってみると大変な作業だということがよくわかったとのこと。
 下に様々な波の形を押し当てることで、重ね合わせの波形が一目でわかります。

紙で2次曲線
(清水さん)
 四角の紙に点を書き、右図のように点に接するように何度も折っていきます。たくさん折った折あとを線で書いておくとはっきりします。どんな線が見えるでしょうか。
 円でも同じことをやってみましょう。円内に点を書き、この点に接するように円周を折ります。たくさん折ったそのあとは何が見えるでしょう。
さらに一題
 ゴムひもで開閉式の器具を作りました。これを開くと、あら、双曲線が見える。ゴムひもをどういう風に張ってあるかわかりますか。

チューニングメーター
(伊藤さん)
 チューニングメーターの紹介です。
 音の高さがすぐわかります。
 楽器店で9000円ぐらい。
 セイコーST777