2003年5月10日の例会の記録の第2ページです
ビタミンC電池 (船橋さん) 理科教室の昨年12月号の掲載記事の追試です。 備長炭2本を2%硫酸ナトリウム水溶液にいれ、直流6Vで約3分間電気分解します。 別の備長炭にビタミンC(還元剤として働く)をすり込み、これを負極、先の電気分解で酸素が発生したほうの備長炭を陽極として2%食塩水にいれると、電池としてはたらきます。モーターなど元気に回ります。 これは燃料電池の1種といえるでしょう。 さて、ビタミンCをすり込まない備長炭と酸素が発生したほうの備長炭では電池にならないと考えていたのですが、2%食塩水にいれる実験をしてみると、何とモーターが回ります。 それでは、ということで、ビタミンCをすり込まない備長炭と電気分解で水素が発生したほうの備長炭とでもやってみました。先ほどと逆に回ります。 つまり電気分解に使った備長炭は、それだけで電池を作る能力を持ったことになります。 電極での反応式は・・・・・ ビタミンCがなくても電池ができたのは、実験条件のミスなのか・・・・ 予想外の結果で驚きの連続でした。写真をとるのを忘れてた・・・。 |
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スフィア (伊藤さん) 縮めると下の写真のように、広げると右の写真のようになるトランスフォーミングボール。ツクダの製品です。 大きい状態で机の上で回転させると小さくなっていきますが、そのとき回転速度が大きくなることが見ていてわかります。各運動量保存が簡単に見られます。 理科室に1つあるといいですね。 |
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サウンドホース (伊藤さん) 100円ショップで見つけたサウンドホースです。蛇腹のホースを振り回すと素敵な音がします。回すスピードによって高さの違う音が出ますが、この音を聞いた音楽の先生いわく「和音が出ている」。 振り回すことにより管内に空気流ができ、それが管内のひだひだにあたって空気の渦を作り、それが管の長さできまる固有振動を引き起こすものと考えられます。 管の長さが77cm、音速340m/sで計算してみると 基本音221Hz、倍音442Hz、3倍音662Hz、4倍音883Hz5倍音1104Hz。 基本音が聞こえず、2倍音から聞こえているとすると、ラ♭、ミ♭、ラ♭、ド 、ミ♭。 ドライヤーや送風機の風を送ることで音を出せます。これは先ほどの考えで理解できます。内部にひだが内管では音が出ません。これも先ほどの考えで理解できます。 サウンドホースの音をコンピュータに取り込んでみると非常にきれいな正弦波であることがわかります。 いろいろな楽器は基本音と倍音が混ざった複雑な波形(音色)をしているのですが、サウンドホースはなぜ倍音が同時に出ないのでしょう。 基本音が聞こえないのも不思議です。 細かく調べていくとわからないことがどんどん出てきます。だから面白いのでしょうね。 |
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ドライヤーの風を管に送っている |
自転車の制動発電装置の構造 (臼井さん) 新型の制動発電器をグラインダーで無理やり切ったそうです。 (大変だったでしょう・・・・) 外側に多極の磁石があり回転子には磁石により磁化するための入り組んだ形の突起があります。この部分が磁石により磁化され軸の両側で異なる極になり、 軸に巻いたコイルに磁束が貫く形になります。 回転子の回転により磁化される点がNSNSと変化することで、コイルを貫く磁束も反転を繰り返します。これにより発電が行われていると考えられます。 |
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高電圧発生器 (臼井さん) ブラウン管式テレビやディスプレイが減りつつありますが、今のうちに手に入れ、高電圧発生装置として使うことを考えましょう。基盤を取り外し、電源を入れるとブラウン管につながる線とアースの間に高電圧が得られます。 蛍光灯につなげば光ります。 注意することは、容量の大きいコンデンサが使われていることが多く、放電をきちっとする癖をつけることです。不用意に高圧がわにさわると痛い目にあいます。痛いで済めばいいのですが、遺体になっては笑えません。 |
振動で動かすモール (奥谷さん) モールを写真のように形作ると、振動でよく動きます。誰です?運行型だ、なんていうのは。 紙コップを使い声で動かすこともできますし、スピーカーの上に振動板を置き、大き目の音を出すと、音に合わせてダンスを踊ります。 どんな形がよく動くか調べてみると面白いかもしれません。 |
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手作りスパークチェンバー (奥谷さん) シンプルな形ですが、これでも立派なスパークチェンバー。放射線を当てると放電します。電源は小型高圧発生器。 |
ナイトビジョンで見るX線像 (杉本さん・林さん) 微弱な光を増幅するナイトビジョンを使ってX線による像を見ようという挑戦です。 高価なイメージインテンシファイアーは誰もが使えるという装置ではありません。安価なナイトビジョンでこれに替えようというわけです。 クルックス管で放電し、X線を発生させ、これを被写体に当て、透過したX線をソフテックスの蛍光板に当てます。 このとき発生する微弱な光をナイトビジョンで見ようというわけです。下の写真はナイトビジョンにつないだテレビカメラです。いま鍵を見ています。テレビにそれが写っています。 |
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反射型分光計 (杉本さん) 小牧南の田辺さんからもらったという反射型分光計です。四角い箱の底部にCDの一部が貼ってあるだけ、箱の上部にカバーをかけるだけで立派な分光計になります。 何より安価です。宣伝用のCDを使えばほとんど原価0でできます。グレーティングシートを切って透過型の分光計もできますが、少々経費がかかります。 |
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計算よりも頭を使う問題 (奥村さん) 新しい学校に転勤したことで、実験道具が思うようにそろわないので、それならということで、簡単な道具でできることを考えました。 合成速度の計算で、上昇する気球から物を投げたり落としたりする問題があります。話だけでは理解しづらいので、実際におもちゃの鉄砲やビーダマン(ビー玉を飛び出させるおもちゃ)をつかって、とまった状態で玉を打ち出すときと、手で上にあげながら打ち出すときの違いをみせて、確かに斜めに飛び出る(とまっていたときは水平に飛び出る)ことをみせつけます。 こういう実体験があれば、気球の問題のようなことは難なく理解できます。 |
ビーダマン |
矢を打ち出すおもちゃの鉄砲 |
0.1g単位で測れる「さおばかり」 (清水さん) さおばかりの棒を軽くすることで非常に軽い物を測ることができます。棒に発泡スチロールを使うことで1円玉(1g)で3cmぐらいの間隔をとれます。これだけ間隔があけば0.1gも十分測れます。 清水さんはこの原形を小学1年生のときに作ったとのこと。こちらは測りかねる才能ですね。 |
イオンロケットの原理
(林さん)
5月9日に小惑星から岩石資料を採ってくる、という意欲的な試みを目指したロケットが打ち上げられました。
このロケットはイオンエンジンがメインロケットエンジンとして使われているとのこと。このイオンロケットの原理
についてのレポートです。
黒い炎 (林さん) ナトリウムランプの光を背景に、吸収スペクトルを見ようという実験です。 右は100Vで点灯するナトリウムランプ。点灯すると徐々に、ナトリウム独特の黄色い光を放つようになります。 この光の中で、リチウムや銅の炎色反応はふつうに見えますが、ナトリウムを含む炎色反応は黒い炎に見えます。写真のようにアルコールランプの外炎は黒く見えます。ナトリウムランプの光を吸収したため黒く見えるのです。 完全に真っ黒にならないのは、使っているアルコールの炭素が光っている為だと思われます。 ナトリウムランプが使われているトンネルでこの実験をしたら、炎は黒く見えるでしょうか・・・・。 |
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炎色反応 |
劣化ウラン (林さん) 知人から分けていただいたウラン鉱石の放射線量を測っています。含まれるウランの量はほんのわずか。でもこの鉱石からは自然放射線の数倍の線量が出ています。 アメリカ軍が使っているという劣化ウラン弾は、ウラン238の金属でできています。 密度が高く、粉末になると空気中で発火し、高熱になります。そんなわけで、戦車などの装甲を破るために使われるようになりました。 しかし、劣化という意味は、ウラン235を取り出す材料としては役立たなくなっているという意味であり、ウラン235が含まれていないわけではありません。 つまり放射線はかなり出ていると考えられるわけです。 ウラン235の放射線の半減期は約7億年。一時の戦争の勝利のために劣化ウラン弾を使うことで、そこを将来の莫大な時間にわたり放射線被爆地に変えてしまうことになるのです。 愚かな行為といわざるを得ません。いや、罪深い行為か・・・・。 |
自転車はどちらに動く (飯田さん、川田さん) ペダルを下にした状態で、外からペダルを後ろ向きに引くと自転車はどう進む? ドイツのウォルフガング教授が出した問いですが、やってみると自転車は後ろに進みます。 では、自転車に乗ってペダルを後ろ向きに押すとどうなるか。 今度は前に進みます。 この違いをわかりやすく説明せよ、という問い。 力が全部見えていないときちんとした説明ができませんが、チェーンなどがあり、なかなか複雑。 並進と、車輪の回転も含まれます。身近な自転車にも考えてみると面白いテーマが含まれていますね。 |
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論文紹介
(井階さん)
前回の例会での上田先生の話に関連する、論文紹介です。
「南極氷床、ドームふじコアから読む地球気候・環境変動」(渡辺興亜 藤井理行 上山孝吉)
南極氷床堆積層に刻み込まれた過去の地球環境の様子を読み取り、北半球では人類の行動に大きな影響を与えた
であろうことを論述しています。