2004年5月15日の例会の記録の第3ページです


ジャバラホースの謎
(伊藤政夫さん)
 ジャバラホースの共鳴振動数を調べている中で、ジャバラホースは同じ長さ、同じ径の普通のホースに比べて、1割ほど共鳴振動数が小さい事を発見しました。

 低周波発振器を使って共鳴振動数を比較すると、

       基本振動 2倍振動   3倍振動
ジャバラ    208.6   420.6    633.9
パイプ     230.1   466.3    696.5   ほぼ1割小さい
(低周波発振器で振動数を変え、共鳴をマイクで測定した結果。)


 ジャバラホースでは、普通のパイプに比べて共鳴振動数が1割小さい。 v=f・λ から fのずれは、v かλのいずれかのずれによるものである。ということになります。







 共鳴している管の中の、節や腹の位置を確かめるために、コンデンサーマイクを管の中に入れて、音圧を測定しました。

 測定は、ジャバラホースと透明パイプでは、2倍振動の音を低周波発振器によって出して共鳴させた状態で、コンデンサーマイクを管にいれて出力電圧を測定しました。
 ジャバラ気流の方は、送風機から出る空気の流れによって、ジャバラホースから3倍音の音を出した状態で同様の測定を行ないました。

  これによって、ジャバラホースと透明なパイプでは、ほぼ同じ位置で腹、節になっていることが、わかります。また、空気の流れによって発生する音も、確かに節や腹をもつ3倍振動であることがわかります。
 つまり、λは変わらないということがわかります。

 それならば、管内の音速 v が異なっているかもしれないということになります。
 図のような仕掛けで、トンカチの音を、マイクで拾って、パソコンの音声解析ソフトにかけてみました。トンカチから出た音は、マイクで拾われ、さらに壁で反射した音は、再びマイクで記録されるはずです。パイプの長さは73cm。

 パイプ閉管における測定    往復にかかる時間 4.3ms
    0.73×2÷0.0043=339.5m/s
ジャバラ閉管における測定   往復にかかる時間 4.7ms
    0.73×2÷0.0047=310.6m/s 
 
 やはりジャバラの中では、音速が10%ほど遅くなっていると考えられる結果が出ています。


  なぜ、ジャバラホースの中では音速が小さくなるのでしょうか?
  ひだの大きさ、ジャバラホースの径、と音速との関係は?
  わからないことが次々出てきます。でも、だから物理は面白い。
 
 これらの実験には同様な内容の、先行する研究があります。昨年生徒達と研究をすすめる途中でその存在を知り、彼らの実験を参考にしましたが、明らかにおかしいと思われる実験結果もあるため、ここに記載したデータはすべて自分達でとったものです。
 参考:うなり棒に関する研究 音源と振動体についての考察
      北海道南茅部高等学校 理科実験同好会 
   http//www.infosnow.ne.jp/~w_teru/gakusei.htm

  音声解析ソフトで記録したマイクの波形。これは滑らかなホースでの記録。
  トンカチの音が4.3msの周期であることがわかります。

管内の音速測定
(林熙宗さん)
 伊藤政夫さんの要請を受け、ジャバラホースと滑らかなホースでは管内を伝わる音速が異なるのかどうか調べました。
オシロはストレージオシロでワンショットの波形を記録できます。

 まず、2つのコンデンサマイクを、管外で音源から同じ位置に置き、カナズチをたたいた音を記録します。同じ時刻に音が届いていることがわかります。(あたりまえですが・・)
 
 次に、ジャバラホースと滑らかなホースの管口に、管の長さが同じになるようにそれぞれマイクをおきます。
 この状態で、カナズチをたたいた音を記録します。

 何と、到達時刻にずれが生じます。ジャバラ管での音速は、同じ長さの滑らかな管での音速より遅いのです。

 確かな方法で調べてみなければ気づかないですね。

 2つのコンデンサマイク

 それぞれの管口にマイクを置きます

高圧放電
(臼井さん)
 山岡さんの高圧実験に感電(?)して、高圧放電をする装置を組み立てました。

 ネオントランスの出力を高圧ダイオードでブリッジ整流し、そのままの出力を放電させると右の写真のようになります。

 
電極間にコンデンサを入れると、放電が激しくなります。光の色も変化します。
 入れたコンデンサによりLC共振回路ができるせいだ、との声が出ましたが、Cの影響は大きいのだということがよくわかります。
倍電圧整流装置もつくりました。内部での放電を抑える工夫がしてあります。
 電極間距離を増やしても、激しい放電をします。

 

気体中・液体中も電流は流れる
(臼井さん)
 クランプメータという機器があります。
 電流が通っているものを挟み込むだけで電流が測れる、というものです。
 交流電流を測るのが普通ですが、最近は直流電流を測れるものも出ているそうです。 

 電流計を使って電流を測るには、回路を切断しなければなりません。クランプメータは、そのまま挟むだけで測定できるので便利です。
蛍光灯をつけた状態で、途中の電線を流れる電流と蛍光灯を流れる電流を測ります。
 同じになります。
 管内の気体中も確かに電流が流れているのですね。
 ホースに塩水をいれ。電極を差し込み交流を流します。 クランプメーターで電流が流れていることがわかります。当然といえば当然ですが、一つ一つ確認するということも大事なことのように思います。

 直流を流して磁針がふれるのも確かることができます。

トランスの入った交流回路に流れる電流値
(川田さん)
 臼井さんからクランプメータの便利さを聞いて早速試していたところ、不思議な事を発見しました。
 ある40Wの蛍光灯をつけてみると、電線と管内の電流値が異なるのです。

 下が電線での電流値。単位はAです。下右は蛍光灯の管内の電流値。
 
 白熱電球ではどうかと、40Wの電球をつけて電線の電流を測ると、確かに0.4A流れています。

 ウーン、不思議だ。
  
 この蛍光灯の回路を調べてみると、回路内にトランスが使ってありました。
 このトランスで200Vに昇圧して蛍光灯を光らせるタイプのようです。

 トランスがあると、なぜ電流が倍以上になるのでしょうか。
 
 クランプメータは電流値を測っていますが、電力は100V×1.02Aとはならないのです。電流と電圧の波形の位相が異なるからです。回路にトランスが入ることによるインダクタンスで、電流の波形と電圧の波形が大きくずれてしまったと考えられます。
 位相のずれのコサインの値を力率といいます。

 これは力率の意味を知るための良い教材になりそうです。

2重コップで教訓茶碗
(戸田さん)
 冷たい飲み物を冷たいまま飲むための2重コップを使って教訓茶碗を作りました。内部と底に穴をあけ、中の溶媒を取り出し、透明なミニホースで内部の穴と内部の底を連絡させます。これで出来上がり。

 少量の水では底から流れ出ませんが、たくさん入れると底から水が出てしまいます。
 
 これから夏に向けて、こういうコップが売り出されます。安くて工作しやすい材質のものがあったら、手に入れておくといいですね。
  
 

自転車の発電機
(戸田さん)
 自転車の発電装置を取り出しました。出力を電球につないで回すと光ります。

 今回はこの出力をテレビの垂直偏向電極に入れてみました。

 出力がない場合は、一本の明るい線ですが、出力を入れると、走査線が上下に広がって映像が見られます。おもしろいですね。

 回転数をテレビの周波数に合わすのが難しそうですが・・・・・。


立体万華鏡
(杉本さん)
 鏡を三角錐にして、先端を少し切ったり、穴を開けて色セロハンを張ったりして立体万華鏡をつくることができます。
 この立体万華鏡、光が入りすぎるときれいに見えません。そこで机の上において入る光を制限すると、うんときれいになることを発見しました。適度な光がいいのですね。

 杉本さんは授業で生徒に製作させているそうです。
 作る前にどんな模様が見えるか、光の進路を考させる教材となっています。

三相直流
(児島さん)

 三相電流でモータなどが回り続ける仕組みを理解するための装置を作りました。
 三分割されたアルミ版の上で電極が回ることで、電池の電流が流れる線が次々に変わっていきます。
 電極を回すと方位磁針がくるくる回ります。

 次は三相交流を理解する装置だね、との声あり。児島さんまた一工夫お願いします。




簡単水波投影
(川田さん)
 水波投影装置がなかったので、バイブレーターと豆電球で振動モーターをつくりました。
 バイブレーターは手持ちで、水波を作りOHPで投影すると、大変きれいに見えます。腹線などもはっきり見えます。
 どこの学校でもすぐできますね。
 
 簡単な工夫で装置のない困難を乗り越えられますね。

 滑らかな波を作るために豆電球を利用

豆電球が光れば、波源が光って面白いかも・・

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