2006年10月29日(日)愛知工業高校での例会の記録です。

 10月9日、北朝鮮の国営朝鮮中央通信が「地下核実験が成功裏に実施された」と報じました。
核を持てばアメリカに攻められない、と判断しての実験でしょうか。
 報道される北朝鮮の国内の様子が正しいものとすれば、核実験などにお金を使うのではなく、国
民の福祉に使うべきだ、と思わざるを得ません。
 広島、長崎以後、二度と核兵器は使われてはならないと強く思います。知識を破壊のために使う
べきではありません。
 米国や中国、ロシアも、自国の核については口をつぐんで、他国の核を非難するのでは説得力を欠
きます。核保有国は、世界の核兵器の削減について不断に努力してこそ、北朝鮮に「核兵器を持つべ
きではない」と主張する意見に重みが出てきます。
 世界が、理性ではなく狂気に支配されることのないように願わずに入られません。



 香川大学に日本政府の国費教員留学生として研修しているRODRIGO ROXAS(ロドリゴ ロハス)さんが参加してくれました。

 ロハスさんはフィリピンの物理教師36歳、スペイン系フィリピン人。半年間日本語の研修を受けた後、この4月来日、来年3月まで松山にいます。

 夏のICPE学会でも発表し、stray cats showを感動して見たそうです。

 サークルには自分で作ったガイガーカウンターを持参してくれました。
 
 例会終了後、近くの喫茶店で交流会を持ちました。
 フィリピンでは、週5日の勤務で、毎日6時間の授業を担当しているそうです。なかなか大変ですね。
 香川では地元の高校で2週間の教育実習をしたそうです。もちろん(?)英語での授業です。物理の授業は物があると、多少言葉が聞き取れなくても、何について話をしているか理解できます。実験道具は万国共通の言葉ですね。
 

  参加者一同で記念写真。

Open Air GM Counter Made From Film Case
(RODRIGO ROXAS(ロドリゴ ロハス)さん)
 手作りの、フィルムケースを利用したGMカウンターを紹介してくれました。
 負極(Cathode)として紙と銅線、正極(Anode)として銅線を使い、なかにライターのブタンガスを入れ、サランラップでふたをします。
 
 手作りの高電圧発生器をつなぎ、発電させます。(今回は短時間の実験でしたので直接つなぎました。時間をかける実験のときはコンデンサを並列にいれます。)
 マントルを近づけると、近くに置いたラジオからパチパチと音が聞こえます。
 
 マントルに含まれる放射性物質から出た放射線が(β線かγ線)が管内を電離し、電極間にパルスが流れます。このときのパルスによる電磁波をラジオが捕らえるという仕組みです。
 
 マントルからの放射線を聴いた後、ラジウムではどうかと、管に近づけてみると、さすがにマントルよりずっと多いパルスを聞けました。

回り続けるコマ4
(山岡さん)
 外力を得て回り続けるコマにはまった(?)山岡さん。今度は空気流で回り続けるコマを作りました。ファンにより台の下から風を送り、コマは、コマに付いた羽根で力を受けトルクを得て回り続けます。
 羽根の枚数や角度によって受ける力が変わりますが、結構なスピードで回ります。
 
 左上のコマは、下からの風を受け右回転をします。

 では、左下の写真のような羽根を持つコマはどちら向きに回ると思いますか。

 何とこれも右回転してしまいました。
 CDに軸をつけたコマ。下からの風で回るはずがないのですが、これも右回転してしまいました。

 どうしてこんなことが起こるのでしょうか。 
 考えてみてください。                                                                              

 このコマが右回転!

 このコマも右回転!

回り続けるコマ5
(山岡さん)
 次は高電圧を利用して回り続けるコマです。
 右は高電圧を発生させる回路。およそ20KVぐらい出ているそうです。
 (1)ハミルトンゴマ
 ハミルトンの電気風車をコマにしたものです。
 コマ(回転軸と銅線がつながっている)と外側のリングの間に高電圧をかけ、銅線の先端から、先端放電させます。
 コマは先端放電により右方向のトルクを得て回り続けます。
 ときどき放電が起こり、バチッという音とともに青白い光が走ります。
(2)フランクリンゴマ
 フランクリンモーターの回転子をコマにしたものです。
 CDに軸を付けコマにして、下面に銅箔を貼ります。台の両端に高電圧を掛けるとCDコマは静電気力を受けて回り続けます。
 

 

 上面にはベンハムのコマとなるような模様をつけています。
 実物は色づいて見えます。

水中物体の運動と抵抗係数について
(井階さん)
 水中で加速度運動をする物体の動きを調べました。
 アトウッドの装置の仕組みで、おもりによって水中の物体を加速度運動させ、水中での動きを光センサーで捉え、オシロで解析します。
         

 上がスタート時点での信号。下が水面付近での信号。
 反射板での信号の幅が短くなっています。
 つまり物体は速くなっているということです。
 この時間から物体の加速度を出すことができます。



光センサーとLED。
LEDが出した光が物体に貼り付けたアルミテープで反射し光センサーに入る。
 物体の運動方程式を考えると、物体には仮想質量が付いていると考えざるをえなくなります。仮想質量とは
「物体が流体内を加速度運動するとき、物体の運動に伴い流体が動き出すために、真空中を運動する場合に比べて見かけ上物体の質量が増したような効果を伴う。この増加量を仮想質量といい、運動方向に依らず物体が排除する流体の質量に比例し、比例係数は球では1/2である。」(理化学辞典)
 
 仮想質量を含めて計算した結果が、水の抵抗係数とよく一致するので、水中の加速度運動を考える際には、仮想質量を含めて考えなければ成らないことが判りました。
 これは空気中でもいえることです。
 
 


 物体には糸の張力、浮力が上向きに働き、重力と水の抵抗力が下向きに働く。
 この合力が物体と仮想質量の加速度を生む。

巨大風船の質量を求める。
(林さん)
 空の風船を釣り合わせておいて、片方に空気を入れます。つりあいはどうなるでしょうか。
                
 この状態でつりあいを見ると、何と膨らませた方が上がります。 
 これは、熱い空気を入れたせいで、冷えれば、やはり膨らませた方が下がります。(風船内は1気圧よりやや大きい)
 

 何と膨らませた方が上がってしまう。

 内部の温度を触って感じています。
 今度はこの風船を単振動させます。
 空の風船を単振動させるときの周期と膨らませた風船の周期を比べます。
 T2=4π2k/m
 
 風船の直径から計算した風船の質量は、周期から計算した質量とかなり食い違います。
 風船は仮想質量を伴って単振動していると考えると、実測値とよく合います。
 こんなゆっくりした加速度運動でも、確かに仮想質量があるという実験結果でした。

水中のばね振り子の周期
(川田さん)
 鉄球をばねにつけ、単振動させます。
 同じものを水中に入れ、単振動させます。
 浮力、抵抗力を考えても、単振動するなら周期は空気中と同じになるはずです。
 川田さんの測定では水中の方が周期がやや長いという結果になりました。

 この結果に苦しんでいたのですが、井階さんと林さんの発表から、鉄球も仮想質量をもって運動すると考えてみると、数値的にも納得できる結果となりました。

 身近な現象にも知らない(勉強不足なだけ?)事がたくさんあるということを強く感じさせられました。

簡単クントの実験
(山田さん)
 初参加の山田さんです。
 傘用のビニール袋と発泡スチロール球で、クントの装置をつくり、自分の声で共振する振動数を探り当てます。
 うまく音を出すと、中心付近の発泡スチロール球がひだひだ模様を作るように見えます。

 内部の空気の振動ではなく、膜のビニールの振動で起きているのでは、との声も出ました。
 
 発泡スチロール球を動かしているのは、空気の振動なのか膜の振動なのか、どういう実験をすれば決められるのか、考えてみましょう。

参考文献
吉澤純夫著 講談社ブルーバックス
「音のなんでも実験室」




簡単パスカルの原理
(川田さん)
 大型の注射器と小型の注射器をビニール管でつなぎ、内部に水を入れます。
 力比べをすると、小型注射器を持ったほうが圧倒的に勝ちます。
 小さな力で、大きな力を生むパスカルの原理ですね。
 空気でもできますが、水のほうが圧縮されないのでわかりやすいですね。

 力比べ。小型注射器を持ったほうが圧倒的に勝ちます。

 小さな力で重いものを持ち上げる。

簡単オカリナ
(伊藤 昇さん)
 科学の祭典で発表した、簡単オカリナの製作方法を伝授してくれました。
 フィルムケースに穴をあけ、ストローをテープで写真のように貼り付けるだけです。
 紙で開いた口を塞ぐことで音程を変えることができます。慣れれば一曲くらい演奏できそうです。

 穴をややV字形にして、ストローの先をつぶし、ストローの角度を調整(ストローの下に両面テープがあり、これで高さを調節しています)するのがポイント。
 うまく音の出る位置を探してください。

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