2008年2月23日(土)の例会の記録の第3ページです


 格子欠損 (船橋さん  
直径1mmの均一な鉄球をアクリル板で閉じ込めました。振ると各所に並びの不規則なところができます。

 鉄球を原子とするなら、これは格子欠損のモデルになります。

 振るたびに新しい模様になり美術的にも面白いかも。

 さてこの中に何個の鉄球が入っていると思いますか。
 5000個です。そしてこの鉄球の価格はこれだけで1万円!!。

 安価に仕上げるにはフローピーディスクのケースにBB弾がいいです。

 固体はそれでOKですが、液体モデルは粒子動いてほしいので、MOディスクのケースが最適です。
 気体はBB弾の数を少なくします。 
 

 回り続けるこま (林 正さん  
 石井しんやさんから学びました。
 電磁石とリードスイッチ、電池だけで面2極着磁の磁石を利用したコマが回り続けます。

 リードスイッチは、磁石が近づくと接続が切れるタイプです。
 うまく回り続ける場所を見つけるさじ加減がポイントです。

 小型望遠鏡を作って恒星までの距離を測ろう (伊藤さん  
 伊藤さんの学校のSPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)の第3回講座の内容を説明してくれました。
(講師 佐藤紳司先生:名古屋大学大学院理学研究科宇宙物理学研究室)

 星の明るさは、星の出す総光量 L に比例し、星までの距離 r の2乗に反比例します。 したがって総光量が分かっていれば、明るさを測定し、その結果を使っで星までの距離が求められます。

      星の明るさ ∝ L/r2

恒星の中には地球からの距離が比較的近て、何光年のところにあるかが分かっている星があります。この基準となる星から地球に届く光の明るさと、距離を測ろうとする星から届く光の明るさを測定して、その星までの距離を求めようというものです。
 
 測定で使う検出器の回路は、フォトダイオードで光を受け、オペアンプで2段階増幅して、光の明るさを電圧というかたちで測るものです。



    ホーンの中央部にフォトダイオードがあります。

  ケースの前面には凸レンズがつけられています。

  出力(明るさ)を電圧という形で測定します。

 基準の星としてシリウスを測ります。シリウスは地球から8.6光年、太陽の明るさの23倍です。
 シリウスと同じ主系列星であるベガ(太陽の52倍)、赤色巨星のアルデバラン(太陽の145倍)の距離を求めます。
 授業では厚紙で作った筒の中で光量を測ります。

 夜、実際の星の光で測定できるといいですね。(いろいろ問題があって難しいですが・・・・)

宇宙航空研究開発機構JAXA)提供」
<参考>

星の出す総光量は星が大きいほど、また星の温度が高いほど多くなります。総光量Lはその星の半径の2乗に比例し、星の温度の4乗に比例することが知られています。地球上にいる私たちは星から届く光のスペクトルから総光量が分かります。具体的には、ヘルツシュプルングとラッセルの発見をまとめた下の図(HR図)を使います。この図は星の色スペクトル(横軸)と総光量(縦軸)の関係を示しています。
スペクトルは左から順にO-B-A-F-G-K-M型にとってあり、左にいくほど高温で青く、右にいくほど低温で赤い星です。
 縦軸の絶対等級は5小さくなる毎に総光量が100倍になります。太陽の絶対等級は4.9です。絶対等級0の星は総光量が太陽のおよそ100倍ということになりまず。

 螺旋型リニアモーター (永田さん  
 先進科学塾でリニアモーターを作りました。その応用で、直線のモーターを円形にしてみました。

 もう一工夫ということで、螺旋を上るモーターができないかと考えました。
 高電圧を利用した静電モーターならできそうだということで、何度も試行錯誤を繰り返し完成させました。


 アルミ箔で包んだ球が螺旋を上っていきます。
 2つの球を入れると、競争します。追いつくとバチバチ放電したりして、見ていて飽きません
 
 ところでこの作品の名前は何だったのでしょう。公募しましょうか。
 


  アルミ箔で包んだ球が螺旋を上っていきます。

 螺旋に沿ってアルミ箔を等間隔にはりつけてあります。根気の要る仕事ですが丁寧に作られています。

写真は高電圧を作り出すコッククロフト・ウォルトン回路。
 9Vから1万V作り出しています。

 残像を利用した交流波形表示器 (清水さん  
 物理教育 第55巻 第4号(2007)に掲載された研究報告(残像を利用した交流波形表示器具の開発)に基づき製作しました。

 同一規格のLEDをn個直列に接続し、そのすべてを点灯させるためには1個のLEDの点灯に必要な電圧のn倍が必要をこと」を利用しているので,動作原理が学習者にわかりやすいです。また、各LED列に定電流ダイオードを直列に入れて、全てのLEDの輝度が等しくなるようにしてあります。

 LEDはピーク電圧が10Vの交流電圧を印加したときに全てのLEDが点灯します。

 この器具を手で振ると、写真のように交流波形が見られます。

 交流を全波整流すると、脈流の波形が見られます。

  人力オシロスコープですね。安価な部品を使えばたくさん作ってもそんなに経費はかからないでしょう。一人1台も可能かもしれません。 

 どうして残像に波形が浮かび上がるのか、体験することで考え始め、多面的な理解が進むと思われます。
 すばらしい教材ですね。

 <参考>
 回路中央部のICは、一定の周期で点滅させるものです。これにより周期の時間も測ることができます。
 手を動かす速さを測ることにも使えますね。
 
 

 音の回折格子 (山岡さん  

 光の回折格子の理解を深めようと、音の回折格子を考えました。

 送信部は小型スピーカーを等間隔に並べ約40kHzの超音波を同位相で出します。超音波マイクで受信し、うなり受信機にいれます。(入力信号と内部の発信機の信号とのうなりを聞く受信機)

 調べてみると、波長に比べてマイクが小さいので、干渉により強めあう点は求められますが、強め合う方向というのが見つかりません
 山岡さん、回折格子による強めあう方向というのは、受信を点で考えるのでは決まらないのではないかという珍説(?)を披露しました。

 ある領域での波の平均エネルギーが大きい方向が強めあう方向と考えるべきではないか、というものです。

 考え方によって結果が変わるわけではないですが、近傍での強め合う方向というものも定義できます。

 それを確認しようと円形の反射面とマイクを組み合わせた受信装置(?)をつくりました。波長に比べて広い範囲の波を集め平均の波の強さを求めるようになっています。
 猛烈な(?)反対論が噴出しました。
 近傍でも遠方でも強めあう点があるのであって、エネルギーの平均値が高い強めあう方向という考え方そのものがおかしい。
 遠方なら点で受信しても強めあう方向はわかるのではないか。
 ・・・・・・

 甲論乙駁の意見が出ましたが、決着はつかず。
  考え方を変えても得るものがないならあまり意味はないのでは・・・。確かにそうかも。

 当の本人も最近まで干渉を強めあう点で考えていたのですから。

 生徒の理解を深める教材をと考えて作成したものですが、少なくとも本人自身の教材になったことだけは確かですね。
                                                                                       

 ナゾの世界からのおくりもの (林さん、永田さん  
 4月22日(火)、23日(土)午前9時〜午後5時まで、名古屋大学東山キャンパス プロジェクトギャラリー「clas」で永田さんの創作遊具展をひらきます。入場料はもちろん無料。追加で「ストレイキャッツのナゾのパフォーマンス」も同時開催。
 時間のある方は参加してみてください。

 不適切な変圧器の問題 (川田さん  
 前回の例会では「不適切な屈折の問題」の記事を紹介しました。今回は発表時間がなかったので文書だけの報告です。
 07年のセンター試験の変圧器問題についての追求の経緯を大学入試センターとのやり取りを交えてまとめています。
 理科教室2008年1月号に掲載されます。

<参考>
 http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/
        record/r_2007_12_09/newpage3.htm
        不適切な屈折の問題

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