2008年12月13日の例会の記録の第3ページです


 坂田・早川記念レクチャーの紹介 (林 煕さん  
 名古屋大学・名古屋市科学館共催の坂田・早川記念レクチャーの紹介です。
 期日は平成20年12月21日(日)14:30 〜 17:00、場所は名古屋市科学館サイエンスホールです。今回の講演者は 丹生 潔(にう きよし) 氏です。

 丹生さんは宇宙線の観測によりチャーム粒子を発見し、それがノーベル賞を受賞された益川・小林両氏の研究につながったといわれています。
 詳細は以下のページでご覧ください。
 講演会ホームページ 
  http://flab.phys.nagoya-u.ac.jp/sakata-hayakawa/ 

 ソーダカートリッジロケット (佐野さん  
糸にぶら下がったボンベ、これなんだと思います?
 家庭用の炭酸水製造器ソーダサイフォンに使う二酸化炭素が入ったソーダカートリッジです。

 細くなった口に、画鋲等で小さな穴を開けると、穴から二酸化炭素が噴出します。
 この反作用で勢い良くボンベが飛びます。
( 物が動くのは何といっても楽しい実験です!)

 1度の使いきりロケットですが、安価(1本100円程度)なので気になりません。
 外でやってみたところ、ロケットが小さいのでインパクトがなかったそうです。教室内で安全に配慮して行うのがいいかもしれません。
 

 糸で飛行コースを定めます。

 後ろに穴を開けて・・・発射!
 あっという間にゴールに着きます。
 飛び終わったボンベを触ると、冷たい!
 
 高圧の二酸化炭素が1気圧に噴出することで断熱膨張することになります。かなり冷たくなります。

 この実験は、ロケットの原理だけでなく、断熱膨張による温度の低下を確認できる、楽しくためになる実験ですね。
 

 共鳴で箔を飛ばす (奥谷さん  
 ボトルの口にアルミ箔を山の形にして置きます。
 ボトル内の空気の固有振動数と同じ音波を送るとアルミ箔が飛びます!
 固有振動数が一致したほうだけが飛びます。
 
 アルミ箔をボトルの口を塞ぐように置くと飛びません。
 
 どうして箔が飛ぶのかを議論しだして、ボトルの振動説と、気注の共鳴による空気流説がでました。

 空気流で飛ぶなら、中に煙を入れておけばその出入りが見られるに違いないということで、早速実験。
 煙の出入りはうまく観測できませんでした。高速度撮影をすれば確認できるかも・・・。
 空気流で飛ぶなら、アルミ箔に穴を開ければ共鳴し空気流が起こってとぶだろうということで、早速実験。
 飛びませんでした。固有振動数が変化して共鳴していない可能性があります。

 ボトルの振動説を確かめる実験の案は出ませんでしたので、決着つかず。 
 簡単な道具で確認実験ができますので、各人追試をしてみると新しい発見が出るかもしれません。





 線香で煙を入れます。

 箔は飛びましたが、煙の動きははっきりせず。

<参考> http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2008_02_23/newpage.htm 共鳴でろうそくを消せる?−その2

 交流の位相を見る (奥谷さん  
 円盤に赤と緑のLEDをつけ、それぞれに降圧した交流をかけます。
 赤は抵抗、緑にはコンデンサを直列につなぎます。
 回転しても交流電圧がかるようにして(これが難しい・・・)回すと、電流波形の位相のずれを直接目で見ることができます。
 コンデンサをつないだ緑のLEDに流れる電流の位相の方が進んでいるので、先に光りだします。
 
 <参考> http://www.straycats.net/html/news260.html 交流をLEDで見る

 マジックウェーブ・ステッキ (奥谷さん  
 モーターでベルトを動かし、摩擦電気をためるバンデグラフがおもちゃになりました。
 ステッキ状で、手元の白いボタンを押すと、先のほうに静電気がたまります。
 軽い金属テープを近づけると、帯電して、電気くらげの実験が簡単にできます。
 金属テープが作る立体が面白いですね。

 感電しても危険はないようです。

 スムース回転台 (林 煕さん  
 テレビを載せる回転台にビー玉をいれることで、回転がスムースになり大きな荷重に耐えられることを発見しました。
 内部にはシリコンスプレーをかけて摩擦を軽減しています。

 この台の上に板を敷き、右の写真のように錘を持ってすわります。
 乗った人を回転して、同人が腕を伸ばしたり縮めたりすると回転速度が変化します。各運動量保存法則が体で確認できます。

 丈夫な板をおいて2人が座ります。回転させた状態で、2人がキャッチボールをすると、軌道が直線から逸れていきます。コリオリの力が体で体験できます。

 コリオリの力などは、数式をもち出して説明しようとすると簡単ではありませんが、このような体験を通して現象を知るということは大切なことではないでしょうか。
 物理の教科書に記載がなくても教えておきたい現象ですね。
 
 回転しすぎて目を回さないように・・・。実験は適度の回転速度で!


 
 一人でもコリオリの力を確認できます。
 回りながら鉄球を外向きに投げ出すと、鉄球の軌道は直線からそれていきます。

 ノイズキャンセリングイヤホーン (榊原さん  
 ちょっと高価ですが、静かなリスニング環境を得られる(?)というノイズキャンセリングイヤホーンを購入したので、その紹介です。機能は、ノイズと逆位相の音を出して、外からのノイズを打ち消してしまうというものです。
 早速性能の確認です。
 イヤホーンを耳につけ、スイッチを入れます。確かに周囲の雑音が低減します。

 イヤホーンの裏側にマイクがあり、これで受けた音を逆位相にしてイヤホーンから送り出していると推測できますが、どんな回路で行っているのかは不明です。分解して調べてみたいですね。
 分解するより、同等の働きをする回路を考えたほうが面白いという声も出ました。

 高速道路の騒音を低減するために、逆位相の音をスピーカーで出して打ち消すという防音壁なども作られているようです。 発生源を抑えるのではなく、受ける場でキャンセルするという工学方法の身近な実例ですね。






 霧箱によるラドン半減期計測 (伊藤さん  
 向陽高校の科学部の生徒が行った、霧箱によるラドンの半減期測定の経過と結果について報告してくれました。
 霧箱は林煕さん考案の、ドライアイスとエタノール利用の大型のもの。
【方法】
 放射線源としてキャンプ用のガスランタンのホヤを使いました。ホヤには放射性元素のトリウムが含まれています。ホヤを5mlの注射器に詰め、霧箱上面のフィルムに針を刺し内部へ気体を1mlほど注入します。
 この気体には、ラドンが含まれています。(ホヤのトリウムが崩壊し、ラジウムを経て生成)。注入されたラドンは崩壊してα線を放出しポロニウムとなります。さらに、このポロニウムがα崩壊して鉛となります。
 α線の飛跡は太く濃いので他のβ線等の飛跡と区別してラドンの飛跡の計数が可能です。霧箱内の様子をビデオカメラで撮影し、10秒毎にα線の飛跡数を3人で計数。これをラドンの半減期を求めるための材料としました。

【結果】
 崩壊数のグラフに指数近似曲線を引く際に、y切片の値により半減期が数秒変化します。半減期は54秒から60秒の間になります。
 理化学辞典によるとラドンの半減期は55.6秒です。

 十分正しい値が出ていますね。
 





 ほかにも、ラドンが崩壊してできるポロニウムの半減期、ネオジム磁石を利用したβ線の速さの測定も行いました。
 右の写真は、ラドン(220Rn)がα崩壊してポロニウム(216Po 半減期0.145秒))になり、このポロニウムが引き続いてα崩壊し、鉛(212Pb)になる変化を記録したものです。
 α崩壊が短時間で引き続いて起こるために、α線の飛跡がV字型になっています。

 地球ゴマでジャイロ (林 煕さん   
 L字金具と地球ゴマをつかってジャイロを作りました。
 3軸方向の回転がスムースになるよう工夫しています。
 地球ゴマを回しておいて、全体を回転させても、こまの回転方向は同じままです。
 こまの質量に対して枠の質量がやや大きいので、摩擦などでジャイロ効果が完全ではありません。

 そこで、もっと簡単にできないかと考えてつくったのが右の装置。(結果として地球ゴマのメーカーの紹介パンフレットに掲載されているものと同じような装置になりました・・・)

 地球ゴマを回しておいて、板を回転させます。こまの回転方向は同じままです。
 板の回転軸の中心に太陽をおけば、太陽と地球のモデルとなります。公転によって地軸の向きが変化しないことを簡単に示すことができます。
                        
 地球ゴマは、回転の不思議さを体で感じることのできる優れた科学おもちゃです。この地球ゴマを作っているのが、名古屋にあるタイガー商会という会社です。
  株式会社 タイガー商會  〒464-0076 名古屋市千種区豊年町17番15号
     TEL:052-711-7111(代)    FAX:052-711-7121
 ( 宅配で注文もできますが、少量だと送料分高くなります。 )

 衛星アンテナの構造 (杉本さん
 BS衛星アンテナが不要になりましたので分解してみました。

 外の保護カバーをはずすと発泡スチロールが・・・・・。
 これをはずすと、針金(?)をくるくる巻いたミニアンテナがいっぱい。 
 BS放送は円偏波なので、このような形をしているのですね。
 でも、ミニ円形アンテナがたくさんあるだけで強い電波が得られるのでしょうか。


          
 ミニアンテナの金属板をはずすと、裏側には細い針状突起が多数。1つ1つの突起がミニアンテナにつながっています。
 中心の白い部分は、内部の回路につながる最終アンテナ(?)のようです。
 針状突起はダイポールアンテナになっていると思われます。このダイポールアンテナが出す電波(これは直線偏波)が干渉して中央で強めあうようになっているのでしょう。

 衛星放送は12GHz帯の周波数を使用しています。波長は約2.5pほどです。
 針の間隔を測ると2cmぐらい。合いません。
 これはアンテナ内部が空洞になっている(空洞内の波長は空気中と異なる)せいだという声も出ました。
 
 

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