2009年9月26日(土)の例会の記録の第3ページです


 だまされない市民になるために (飯田さん  
 過去に金城大学で、現在立命館大学で講義している自然科学入門の内容を冊子にして発表してくれました。サークルでの研究例が随所に利用されています。

 これまでの科学の内容は研究者や専門家のための準備教育としての側面が強く,科学に最も縁遠い人々にとって必要な科学とは一体何なのかということにはほとんど注意が払われてこなかった。個(人間性)の確立にとって科学教育は何をなしうるのかを問題にしたい。
 
 文系理系問わず「市民の科学」とはを追求した意欲的な講義プログラムです。

<参考>http://homepage3.nifty.com/yoiidea/kagakukyouiku/introduction%20of%20science.htm

 コンストホンテイン (山本さん  
 「コンストホンテイン」あまり聞いた事の無い名前ですが、江戸時代にはやった「水からくり」で陶器製の物が多かったようです。「自動洗杯器」としてお酒の席での余興にされたとか。
 
 上の槽に水を注ぐと噴水が始まります。上の槽に溜まった水は真鍮のパイプで下の槽に下り別のパイプで上の槽に上がって再び噴水となり、コレが延々と続きます。
 NHK趣味悠々「作って遊ぶからくり玩具」に紹介されているのをちょっとアレンジして作ってみました。

 コンスト (続く)ホンテイン(フォンテイン)で(ず一と続く噴水)と言う意味のようです。
 原理はヘロンの噴水と同じです。




 上の槽に水を入れると噴水が出ます。


 
 @箱1の水が管1を伝わって箱3に落ちる。
 A箱3は密閉されていて、圧力が増す。
 B箱3の圧力が、管2を伝わって箱2に伝えられる。
 C箱2の圧力増によって、箱2の水を箱1に吹き上げる。
 D箱3の圧力は、箱1と箱3の水位の差による水圧による。箱3と箱2の圧力は同じである。
 E 原理的には、箱1と箱3の水位の差に相当するだけ箱2から箱1に吹き上げられるはず。
 F 永久機関ではありません。箱2の水が無くなると、噴水は止まる。
 中槽と下槽の底には栓があります。これを抜くと中の水を捨てることができます。
 
 愛工に、この原理を見せるための古い装置がありました。
 ちょっとほこりをかぶっていますが、透明な材料で作ってあるので水の動きがよくわかるようになっています。 

 エジソン電球 (山本さん  
 山本さんの勤務先である春日丘高校の研究紀要です。
 山本さんのエジソンについての研究が掲載されています。
 そのひとつが日本の竹を蒸し焼きにして作った電球です。そのモデル実験。
 シャープの芯をフィラメントにして電流を流します。
 少しずつ流していくのが長持ちさせるコツ。透明容器をかぶせれば立派な電球です。
 芯を支える軸にヘアピンを使ったのが山本さんの工夫。
 しっかり接触してかつ芯が折れにくい。

 コップの中に窒素ガスなどをいれ酸素を追い出せば長く輝く電球になります。

 コウモリの声 (伊藤さん  
 科学部の生徒とコウモリの声を採取(採音!)にいきました。
 アブラコウモリはFM型(周波数変調)の超音波を出します。
 キクガシラコウモリはCF型(コンスタンとフレクエンシー)の音を出します。

 画面の横軸は時間。縦軸は周波数。
 白い線が音の周波数成分をあらわしています。
 アブラコウモリは種種の周波数にまたがる超音波を出しています。
 キクガシラコウモリは、ほぼ一定の周波数の超音波を出しています。
 白い線が音の周波数成分。

 飛び回っているコウモリからの音はドップラー効果が起こっているのでは、ということで調べてみました。
 キクガシラコウモリはほぼ一定の周波数の音を出すのでこれを採音して、時間につれての周波数を調べてみると、ピークの周波数は時間とともに変動していることがわかります。(赤線がピーク音の変動を表しています)
 確かにドップラー効果がおきています。Δf の測定でコウモリの飛行速度が出せそうですね。

 このソフトはFFTWaveというソフトで、今度は横軸が時間で縦軸が音の周波数成分を表します。
 このソフトで、一定音のフーリエ分解をしてみると、音色の中にどんな倍音成分が含まれているか調べられます。
 この画面は横軸が振動数で縦軸は強度になっています。
 
 缶で作った鐘や空気を圧縮して入れたペットボトルをたたいたときの音をフーリエ分解してみると、音色と振動の関係がはっきり浮かび上がってきます。

 こういう機器データと自分の五感をセットで理解する授業をくみ上げていく必要がありそうですね。
 <参考>サウンドモニター FFT Wave のページ 
       http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/record/r_2002_12_07/newpage.htm コウモリの音(伊藤さん)

 波のモデル (中山さん  
 卓球部の顧問をしている中山さん。廃品となったピンポン玉で波のモデルをつくりました。
 棒をまわすと波が進行します。
 各位相の位置にはL字金具を固定してありこれとピンポン玉をつけた棒をゴムで固定します。
 収納のときにコンパクトになります!
 狭い理科準備室では大切なことですね。
   L字金具に棒をゴムで固定

 なぞのおもちゃ (佐野さん  
福井のアートフェスティバルで入手した名前不明のおもちゃです。
 棒を回転させると、回転速度によって形が変化します。
 名前をご存知の方、教えてください。

 高性能手作りスピーカー (林さん  
 コイルと磁石で何でもスピーカーにできますという実験はもう全国でおなじみですが、さいきんのラジカセや携帯音響装置にはヘッドホン端子やイヤホン端子しかついていません。
 昔の機器には外部スピーカー端子などがついていたので、そこに手作りスピーカーをつなげば簡単に鳴ったのですが、現在の機器につないでもほとんど聞こえません。間にアンプを入れる必要があります。

 そこで、イヤホン端子でも聞こえる高性能手作りスピーカーを作りました。
 強力なネオジム磁石を使い、コイルも0.1mmのエナメル200〜300回巻いてあります。
 コップの底に付いたコイルが音信号に合わせて振動すると、コップの底から音が聞こえます。
 高性能なので、2個のスピーカーを直接つないでインターホンとしても使えます。
 
  
     ネオジム磁石                              厚紙で作ったボビンに巻いたコイル                 イヤホン端子でも聞けます
 さらに高性能のスピーカーを作るためには、強い磁場中にコイルを置かなければなりません。
 磁石を2つ同極を向かい合わせに少し離しておく事で、1つのときより強い外向き磁場を得られることが測定で確認できました。
これを利用するには磁石の反発力に耐えられるスピーカーの構造(コップの構造)が必要になってきます。全体が重くなってしまいます。

 トータルでより効率の高いスピーカーを作るには、さらに細部に工夫が求められますね。
 磁石1つのときの磁場をガウスメータで測ります  磁石を2つ同極を向かい合わせに少し離して置き、側面の磁場を測ります

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