2010年7月17日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

  「はやぶさ」が予定通り帰還しました。採取した資料のカプセルを地上に向け打ち出した後、本体は大気圏に突入し燃え尽きるという、苦難の末の劇的な最後で多くの人に感動を与えました。
カプセルに小惑星「イトカワ」の物質が入っていることを期待したいですね。
 「はやぶさ」の後継機の予定があるようですが、多額の費用が必要とされます。科学研究の費用対効果の判断は難しいですね。
 

 44円電池 (伊藤さん  
 大学で自然科学入門講座を担当しています。毎回の授業で生徒が自ら実験するためのキットを配布して、知識だけでなく体験も得てもらおうと工夫しています。今回紹介してくれたのは44円電池です。
 ろ紙を丸く切り10円玉と1円玉の間に挟み、これを4セット重ねて洗濯ばさみではさみます。両端にビニールコードをつなげて電子オルゴールにつなぎます。(電子オルゴールは少ない電流で音が出ます)
 
 タレビン(お弁当などにつかう醤油入りの容器)にいれたポッカレモンをろ紙にかけるとオルゴールが鳴り出します。

  ろ紙に電解液をかければ立派な電池になります。
 デジタルテスターこの電池ので起電力を測ってみると、約1.3V程度。 短絡して電流を測ってみると約1.3mA程度。
 動作時、約1mWの発電装置です。残念ながらモーターを回すだけの電流は取れませんでした。
 レモンを切って、銅板や亜鉛板をレモンにさしてつくるレモン電池でもできますが、生ごみを出さずに実験が終われます。 

 ポッカレモンをろ紙にかけます。

     テスターで起電力を確認。 

 示温シール (伊藤さん  
 
ビニール袋に入っているのは示温シートです。

 30℃(黒)→45℃(紫)→60℃(赤)・・・というふうに表面の温度で色が変わるシートです。
 これを生徒全員に配り、シールの温度を上げなさいと指示します。
 さて、どうしますか?
見事に色が変わっていますね。これは表面で消しゴムをこすったためです。力学的な仕事が熱になることを確認するための実験です。
 液晶シートなどでもできますが、単価が高いので全員に配布するのは予算面で難しいです。示温シートはA4サイズで600円。

 一人ひとりが確認する、大事なことですね。

 並列共振回路 (前田さん  
 八神の交流電源装置です。出力の振動数が10Hz〜120Hzまで可変で、5Aまで流せます。
 この電源をつかって、並列共振の回路を組みました。
 
 回路が共振すると、コイルとコンデンサ(100μF)につながった豆球は点灯するが、電源側の豆球はほとんど点かないという、一見奇妙な現象が起こります。
                コイルの上部に金属板を置くことでコイルのインダクタンスを変え、コイルを通る電流が変化することを確認します。
 金属板の向きを変えることでコイルのインダクタンスを変化させ、回路が共振するように調整します。
 電源側の豆球が点灯していないのに、LとCにつながった豆球は点灯します。

 コイルのインダクタンスを変えなくても、電源の振動数を変えることで共振を起こさせることもできます。 

  Lを調整して回路を共振させます。

 共振すると、電源の出力電流が小さくなります。

 コンピュータでLEDストロボ (前田さん  
 八神の電源装置の出力をスピーカーにつなぎます。スピーカーで弦を振動させ共振させます。
 3Wの白色LEDです。放熱板がつけてあります。
 
 ノートパソコンで北村俊樹さん作成のソフト「きらきら」を作動させます。このソフトはデューティ比可変で、周波数も可変の方形波を出力できます。
 ノートパソコンのヘッドフォン端子の出力を増幅してLEDにつなぎます。これでLEDの発光を「きらきら」でコントロールできます。
 (ヘッドフォン出力はアナログになりますがLEDの動作は十分コントロールできます。)


  「きらきら」の動作画面です。
 スピーカーの振動数とLEDの発光振動数が合うと弦がとまって見えます。

 これからの時代はコンピュータとつないだ装置が普通になっていくのでしょうね。

  発光振動数が弦の振動数と合っています。

   発光振動数がわずかにずれています。
 弦の振動装置の全景です。
 <参考>  ソフト「きらきら」 http://bekkoame.ne.jp/~kitamula/strobe.htm
         新型LEDストロボ(田中さん)

     [次ページヘ]