2011年9月23日(金)の例会の記録の第2ページです


 林式高感度霧箱改良 (林さん  

 もうおなじみの林式高感度霧箱です。
 今回の改良点は、使用薬品の変更です。
 霧箱の底は深さ3〜5mmのエタノールのプールにしていたのですが、これをプロパノールに変更しました。エタノールよりプロパノールの方が飛跡の発生と太さが安定しました。さらに値段が約四分の一になります。
 (プロパノールはドラッグストアで購入できます)
 
 今回の改良のきっかけは、夏のメキシコでの物理教育国際会議でした。
 霧箱を発表するために、現地にエタノールを依頼したところ(飛行機のセキュリティチェックで、高純度のエタノールは持っていけません!)、純度が低いエタノールしか得られず、霧箱が安定に動作しませんでした。

 この苦い経験をもとに、代替薬品を調べてプロパノールにたどりつきました。
 メタノールもOKですが有毒なので不可です。

 <参考> 放射線量率の測定

 SURVEY METER (林さん  

 放射線量の測定器にはいくつかの種類がありますが、写真はγ線用のシンチレーションカウンタです。
 シンチレーションカウンタは、ある種の物質に放射線が当たると微弱な光を発する現象を利用し、放射線量を測定します。

 放射線検出器には電離箱式、GM管式、シンチレーション式などがありますが、高精度のものは高価で高校の実験室にはほとんどありません。
(安価な測定器の値は信頼が置けません。相対的な強度ぐらいしかわかりません)

 一般の人々が、自分の安全をもっと手軽に正確に測れる必要があるように思います。

 
 <参考> 放射線量率の測定

 ころがりの科学 (臼井さん  
 
 紙芝居シリーズ(?)最新版です。
 斜面に半円形の物体を置き、その傾きから重心の存在に気づかせる、という狙いです。
   円柱形なら斜面を転がり落ちます。
  半円形の物体を斜面に置くと? 転がる? 止まる?   転がらずに止まります。でも傾きが・・・・
  ヒントなしでは、これだけで結論を導くには難しいとは思いますが、なぜ円柱形の場合と違って転がらないかを考えてもらえば、教材の狙いは達成といえるように思います。

 斜面との接点と、そこを通る鉛直線が、円の中心を通らないことに気づくよう仕向けます。

 この線と半径の交点は何だ?

  斜面との接点を通る鉛直線は円の中心を通りません。

  この線と円の半径の交点は・・・

 やじろべえも静止したとき、支点と重心の位置は鉛直線上に並びます。
 物体を紐でつるしたとき、物体の重心は紐の真下にきます。
 このことと同じなのですが、斜面を使うことで(斜面からの抗力と重心の位置関係に気づいて)、いろいろな場合に同じ原理が成り立つことを理解してほしいのです。

  応用!

   スイッチを入れるとくまさんがピョコピョコ倒れずに歩きます。
 
  人が山道をうまく下るには、足が重心の真下にくるように、次々と足を前に出す必要があるのです。
 歩くということは、移動する重心を支えることの繰り返し・・・・・です。
 
 斜面での物体の傾きから、この結論はやや強引過ぎるようにも思えますが・・・

 <参考> 物理クイズ「力まかせ」

 夏休み自由研究 (杉本さん  
 夏休みに、栃木での科学教育協議会から足を伸ばして、川田さん、奥村さん、山岡さ んと仙台、福島へ行ってきました。各地(往路はほとんど東北道のSA、復路は仙台から の海沿いの国道)で放射線のカウント数を測りました。
 残念ながら、Sv単位を表示できる測定器がなかったので、カウント数の記録にとどまりました。 (換算定数は不明ですが、Svの値とほぼ比例する値のはずです。)

 最初の数字が地面から1m、次が地面に立てて測った値です。
 飯舘村は半端ないですね。風向きで飛んだ方向に分布があることがわかります。
(往路) 上河内SA(栃木)35、41
      阿武隈SA(福島)177、288
      安達太良SA(福島)288、1071
      福島松川SA(福島)121、156
      国見SA 183 、187
      白石IC近く(宮城)25、39
(復路) 菅生(宮城)21、21
      山元町(宮城)64、82
      福田町(福島) 74、87
      相馬市 111、192
      南相馬市 133、166
      原発から20km 82、119 
      南相馬市役所 75、131
      原町バラ坂 668、1147
      飯舘村 799、1504
      福島市内 283、373
      安達太良SA 274、502

 各地で測りましたが、草むらそれも、ちょっと湿った場所は多いです。往路の安達太良はふさふさした芝生の上でした。芝生がCeを吸い上げたとも考えられます。要注意!
 

    地面に立てて測定。

  空中線量も測定。

  南相馬での検問。原発20km圏です。
 仙台の津波に襲われた地域も周りました。
 テレビのニュースや写真で見てはいたのですが、実物を見るとその現状に驚きを禁じえません。
 建物はかなり片付けられていましたが、かろうじて建っているものは残されていました。(たぶん片付けられた建物は被害がもっとひどかったのでしょう。)また、道沿いに、多数の船が放置されていました。小さな船からやや大きめの船までたくさん!
 漁師の方々の苦難を思わずに入られません。

 津波で被害にあったガソリンスタンド。

  海岸からかなり離れた道路近くの船。

 メキシコ報告 (杉本さん・林さん  
 8月15日から19日まで、メキシコシティーでICPEの会議が開催されました。
 杉本さん、林さんが参加して霧箱、コイル傘など発表しました。
 
 その様子を紹介してくれました。

   ウクライナのアレキサンダーさんと再会。

  瓶に入ってしまったコルクを取り出すには・・・

 メキシコでの印象のひとつに地下鉄があります。
 レールが6本。車両のタイヤはゴム製。6本のレールの役目がよくわかりません。
 加えて加速の激しいこと。体が写真のように傾きます。
 つけたしですが、メキシコへの飛行中、高度約10、000mでの放射線量を測ってみたところ、2.37μSv/hでした。
 宇宙線の強度でしょうね。

 ドアチャイムの振動 (伊藤さん  
 リサイクルショップで安価に売られていたドアチャイム( たぶんドアチャイム。でも大型過ぎるような気もしますが・・・)です。
 非常に澄んだいい音を出します。( 1本だけ鳴らすとうなりも聞こえます。)

 これを鳴らすと、最後に低い音が聞こえることに気がつきました。
 この音の振動はどんな振動からきているのか、追求してみました。
 
 アルミパイプを手で支えてたたいてやると同じようにかん高い金属音がします。
 ところがパイプに耳を当てると低い音が聞こえてきます。 パイプに気柱共鳴が起こっているのでは、という意見が出ましたが、パイプの端を吹いて出る音よりもっと低い音でした。
 
 手で支える位置によって違う高さの音が出るので、これはパイプの横振動(棒の長作方向に垂直な振動)による音だろうということになりました。(パイプをこすればたて振動も起こせます。) 
                                   
 細いアルミパイプで同様にすると、確かに横振動している様子が目で確認できます。
 
 パイプをたたくことで、パイプにはいろいろな振動が起こることがわかります。面白いですね。

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