2013年9月28日の記録の第2ページです


 開管の節と腹から波長を求める (林ひろさん(川田さん)  


 林ヒロさんは学会参加のため、川田さんが代わりに紹介してくれました。

 アクリルパイプにスピーカーから純音を送り、定常波を発生させます。このとき、スピーカーとの境界は固定端、開口部は自由端としてはたらいています。
 このとき、オシロスコープでは音の大きい節は振幅が大きく、音の小さい腹は振幅が小さくなります。


 ヒロさんに代わり、川田さんが発表です。


 アクリルパイプの少し外は定常波の腹になりますので、オシロスコープには振幅の小さい波形が表れます。また、定常波の節では振幅の大きい波形が表れます。
 隣り合う振幅が最大の点と最小の点の間隔(=節と腹の間隔)となるので、この距離がλ/4となります。

 例会ではf=600[Hz]、29℃の条件下で実験を行ったところ、隣り合う腹の間隔29[p]=λ/2となりました。
 この結果から 、<波の式> v=fλ=600×0.58=348 ≒ 348.9=331.5+0.6×29 <波の速さの式> となります。

 かなり精度の高い実験といえそうです。

 アクリルパイプにスピーカーから純音を送り、定常波を発生させます。  マイクで音を拾うと管の少し外でオシロの振幅が小さくなります。開口端補正です。

  続いて、音の干渉についての説明について話が及びました。音の疎密の重ね合わせで考えるべきという川田さんの主張に対し、 奥村さんは生徒の現状として横波は変位の重ね合わせで理解しているわけだから、変位の重ね合わせでも説明し、考え方が複雑に なることを認識させた上で、音圧の考え方を紹介しないと教育的でないと主張するなど、議論は平行線のままでした。
  議論は白熱しましたが…

 倍音だけをピックアップ (石川さん、杉本さん)  
 いきわく3用に記載された「倍音だけをピックアップ」ですが、全長をLとしたとき、基本音を取り出すには磁石を端から5/18Lと1/2L、そして11/18Lの位置にそれぞれN極が上になるように置くと基本振動のみが選択的に出力できることが分かりました。



 
 2倍振動等を消音して、純音だけを聞こうという訳です。
 写真のような位置に置くと  基本音がより大きい振動で取り出せます。
 続いて杉本さんが学校にあったU字磁石で石川さんの実験を再現してみました。

 石川さんの装置と比べると違いは歴然、いろいろな振動数の音が混ざっていることが耳で聞くだけでも分かります。

 
 あり合わせのU字磁石に円形磁石をつけるなどいくらか調整を加えましたが
 そこで、愛工の備品である同タイプのU字磁石を3つ使うと、やはり純音らしい響きとなりました。

 
 やはり同じ磁石を使うと響きが違います。

 LEDつき磁石で動く磁場の起電力を (石川さん)  
 磁場の変化による誘導起電力の大きさをLEDの点灯で確認しようという提案です。適当な状態で装置がLEDが着くようにコイルの巻き数等を調整してあります。

 右の写真の装置の磁石を回転させると、下の写真のように磁石の中心がコイルを横切る前後に、LEDが点灯します。
この辺りが磁束変化が最大になることが確認できます。


 
 磁石が滑らかに回転し、点灯時のLEDと磁石の位置関係が分かりやすいようにLEDも磁石とともに回転するよう工夫されています。
 写真のような位置でLEDは点灯しました。  これは基本を確認できる、よりシンプルな装置です。LEDと磁石が一緒に移動するのがポイントですね。
 次はより本質的な実験装置です。コイルを磁石が横切る際、どこで誘導起電力が大きくなるかを調べます。
 下にあるのはガイドです。ガイドに沿わせて磁石を移動させます。
 コイルの上をを横切る際にLEDが点灯します。コイルを貫く磁束の変化量がここで最大になる訳です。
石川さんは、ファラデーが考えた、起電力=時間あたりに導線を横切る磁力線の数 というものの方が初心者にとってより分かりやすいと主張されました。
  この解釈では、導線を時間あたりに横切る磁力線が多いから起電力が最大になったとも言えます。これは、V=vBLという式ですね。
 コイルの前後でLEDが点灯します。

 ウイスキーのビンでクントの実験 (杉本さん)  

 秋月電子からトランペットスピーカーを大量に購入し、クントの実験をポータブルなものにしました。科教協でスピーカー とビン接続スポンジをセットで販売したそうですが、反応は素晴らしかったにも関わらず、売り上げはいまいち。 アンプを持っていない先生が多かったそうです。予想通りではありますが、サークルでは瞬時に売れていきました。
 装置はトランペットスピーカーを分解したものを、発泡スチロール球Φ7mmを入れたウイスキーのビンと円筒形のスポンジで連結します。 そこで、発信器の音をアンプで増幅させトランペットスピーカーから出力すると、特定の振動数の音ではでスチロール球が飛び跳ねだすというものです。
 クントの実験を手軽に行えます。
 この日は、発信器として100円キーボードを、ウイスキーのビンとして約17pのニッカの角瓶(透明)を、 アンプとしてEHCで製作したアンプ(10W程度)付スピーカーを使用しました。なお、ビンは音圧が必要なため、スピーカーの出力を考えると小さ目のものがいいとのこと。

 この条件下では、定常波の基本振動は波長は約34pとなります。音速を340m/sとすれば、定常波の基本振動数は、 f=340/0.34=1000[Hz]。

 ちなみに杉本さんはワインのビンの底を抜き、開口端の実験にも利用しているとのことです。
 発泡スチロール球が見ての通り、踊りだします。

 水平投射と反発係数 (杉本さん  

  科教協の岩手大会で広島の土肥さんが行っていた実験を紹介してくれました。

 100円ショップで販売されているサランラップの代わりに使うふたですが、土肥さんの手にかかれば、トランポリンに早変わり! ビー玉を自由落下させると、あら不思議!負のフィードバックがかかり、少し中心から離れて落ちた玉は中心に向かって跳ね上が ります。1mの高さから自由落下させると72p程度。反発係数は約0.85です。

 これを何に使えば、お・も・し・ろ・い・か?
 100円で手に入るふたですが、ものは使いよう。
 土肥さんは、ふたでビー玉が跳ね、最後にゴールに入るというピラゴラスイッチのようなものを考えました。

 ふたが複数あると入った時の感動も増しますね。
 ふたを並べ、最後はガムテープの芯でゴールにします。
 さて、実験の下準備です。水平投射の装置から、ビー玉を発射させ、落ちる位置を確認し、1つ目の蓋を落ちた位置あたりに置きます。何度か実験し、だいたい真ん中に 当たるところに調整し移動させます。負のフィードバックがかかるので”だいたい”で十分です。次に2枚目のふたをさらに0.85倍離れたところに、そして3枚目を0.85 2倍、最後に0.853倍水平方向に離れたところにゴールをというふうに計算結果の位置を決めれば準備完了!
 ビー玉を発射すればかなり高確率でゴールに達します。
 ふたの位置を前後させてもビー玉はゴールに入ります。高確率ではたらく負のフィードバックのおかげですね。
 「ちょっと理論は」という学校では、理論は別にして単なるおもちゃとしても魅力的ではないでしょうか。
 水平投射の装置です。水平じゃなくとも楽しめますが…

 乱反射を防ぐ (佐野さん  
  旧すりガラスは光が当たると乱反射のため表面が白く見えますが、表面に水をつけると、すりガラスが透明になります。これまで、この理由を「空気との境界の凹凸がなくなるため」と自己完結させてきました。
 しかし、実際にガラス表面の凹凸がなくなるわけではありません。
  水をつけないと本は透けて見えませんが
 この理由ですが、@ 水とガラスの絶対屈折率が近いため、空気、水、ガラスの境界でそれぞれ全反射が起こりにくくなり、透過光が増える A ガラスの凹凸で乱反射した光も水の層と空気の境界で反射し,乱反射した光が空気中に出て行かないため、白く見えない ことが原因ではないかと考えました。

 実際に、太陽電池の表面に反射防止膜をつけたり、裏面反射層の反射率を高めたり、カバーガラスの透明導電膜や基板などの部材にテクスチャー(細かい凹凸)をつけることで、光量や実質の光路長を稼ぎ、光電変換効率を高める研究が行われているとのことです。  
  水をつけるとこの通り

 円運動を教具で面白く (臼井さん  

 高校3年生に教える円運動ですが多くの生徒にとって理解しにくいものです。その現状を打破しようと、臼井さんは「ためして、ガッテン」 の説明の分かりやすさをヒントに、磁石付きのイラストを実際に動かしながら説明することを試みました。

 まずは、速度ベクトルを矢印で表し、速度と加速度の復習です。速度ベクトルを表す矢印を並べれば、変化量である加速度がよく分かります。

 
 矢印で速度ベクトルを表します。
 ここからが本題。入りは、等速円運動と等速直線運動の違いを考える演示です。ミニカーを走らせるとまっすぐ進んでしまいます。
 そこで、掛け声とともに車をトンカチのように手で叩いて等速円運動を実現させます。大げさなその動きで、力が必要だということに気付かせます。


 

      
 愛知物理サークルが誇る「役者」です。
 臼井さん曰く、黒板を書く時間を省くことで生徒の集中力が増したとのことです。この日の発表でも、メンバーの多くは黒板に目が釘付けになっていました。 こんな授業なら楽しそうという声もありました。授業の見せ方次第ですね。       
 こんな授業を受けてみたいと笑顔の絶えない時間が流れました。

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