2015年9月27日(日)愛知工業高校での例会の記録第2ページです。


 金属中の電子の運動 (飯田さん、川田さん)  

 前回に引き続き、飯田さんと主張と、川田さんの見解が披露されました。
 2人はサークルの場外で議論を重ねてきたため、活発に意見を出し合っていましたが、なかなか他のメンバーが会話に入っていけず、雨滴モデルの方がいいという事で一致したことを除き、議論は深まりませんでした。

 モデルを使って物理現象を解析する場合、どこまで正確性を求めるのか、分かりやすさを求めるのか、成長段階により考える必要があり、初期段階の高校生には、厳密さを犠牲にしてもある程度分かりやすいモデルでいいのではという声もありました。

 
 
 飯田さんと川田さんの熱い議論が展開され...


 ポータブル(?)極性判別付き大型はく検電器 (林さん)  

 ICPE北京大会に参加した際、製作した大型のはく検電器を紹介してくれました。

 中国に持ち込むということで、運搬しやすいように、ガラス板で直方体を組み立てるられるようにしました。
 ガラスとガラスを固定するのはなんとセロテープでいいそうです。

 そこに、愛知物理サークル内ではお馴染みの藤田さん考案の高圧電源を使った極性判別をつけてあります。
 コンパクトにするため、頭を絞りました。
 はくは以前にも紹介した画材屋で購入した極薄のアルミ箔を利用しており、10万円ほどする市販の大型はく検電器に迫るクオリティです。

 北京で好評を博したのは、当然と言えるでしょうか!?
 以前、購入したアルミ箔を利用しました。


 光子の裁判2 (林さん、藤田さん、川田さん)  

 日経サイエンスの2012年3月号で特集された朝永振一郎氏の「光子の裁判」ですが、当時から、断続的に物理サークルでは話題になりました。

 光は果たして粒子なのか波動なのか、林さんをはじめ、今はパプアニューギニアにいる杉本さんを含め4人で、偏光板を用いて光子の裁判実験を考案、製作を行いました。
 日経サイエンスの記事はサークルでも話題になりました。


 右の写真でスタンドに固定されているのが、偏光面を90°ずらした偏光板A、Bからなるスリットです。

 ここにレーザー光を入射すると、スクリーンにはぼんやりとした回折像ができます。
 ここで、45°ずらした偏光板Cを後方に入れると、干渉縞が現れます。
 Stray Catsの発表は、概ね、好評だったようです。


 このとき、干渉縞を作った光は、スリットA、Bどちらを進んできた光なのでしょうか?

 右図下のように、スリットA、Bを通った光のC向きの成分は、完全に等しく、不思議なことにどちらのスリットを通ったのかという光の履歴はなくなっています。


 デルタツイスター (臼井さん)  

 学研の「大人の科学」シリーズ、「歩く速さでゆっくり羽ばたいて飛ぶ」という謳い文句のデルタツイスターを紹介してくれました。
 
 学研「大人の科学」は、老若男女問わず楽しめます。
 質量がわずか10g未満の機体がゴムの動力で驚くほどゆっくり空を羽ばたく様は、予想を超える感動がありました。

 コンデンサーに充電し、携帯のバイブの振動モーターとしても用いられている超小型モーターでの飛行も可能で、いろいろ遊べそうです。
 空を飛ぶものには何か感動がありますよね。


 モルフェ蝶の色の不思議 (伊藤政さん  

 名古屋市科学館の企画展「バイオなものづくり」を見て、構造色に興味を持ちました。

 モルフェ蝶はCDとは異なり、反射光の方向に関わらず青っぽい色に見えますが、これはモルフェ蝶の形が原因で一部の色のみ反射する事が原因と考えられており、このような物の形が生みだす色を構造色といいます。
 
 名古屋市科学館の企画展で探究心をくすぐられました。
 伊藤さんは、所有するボルネオのモルフェ蝶標本を使って、LED光の反射の様子を見せてくれました。

 結果は赤やオレンジでは黒っぽく見えましたが、緑や青では反射光で輝くように見えました。    
 緑色LEDを照射した時の様子です。
 以前紹介した中村理科のスペクトル分析のソフトを用いて、白色LEDの反射光のスペクトルを調べたところ、紫(430nm)、青(470nm)、緑(520nm)と3つのピークが表れました。

     
 入社光に対して反射光のスペクトルはこのようになりました。
 この構造色が生まれる理由については、右の写真のように、鱗粉が多層膜からなることから、多層膜による干渉が原因という説と3次元的な回折格子(?)として働くという説、さらに両方の中間のような説があるそうです。    
 永田文男氏のHP「文ちゃんのタイニーカフェ」より。


 本の紹介 (井階さん  

 駿台の講師でもある山本義隆氏は、高校生でも読めるように高校と大学の橋渡し的な著書を書かれるなどされています。
 井階さんは、同氏の著書「原子・原子核・原子力」を紹介してくれました。

 井階さん曰く、原子の分野が分かりやすく、まとめられており、原発の問題を考えるの必要な知識が得られるとのことです。

 本の紹介文には、「福島原発の事故以来、後の世代にとてつもなく大きな負債をつくってしまった我々に何ができるか、問い続けてきた著者が、2013年に駿台予備学校千葉校で行なった記念講演に基づくもので、やさしい語り口で記されている」と書かれております。
 原子分野の参考書としても秀逸なそうです。 

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