2017年3月4日の記録の第2ページです



 気中共鳴を質量を考慮したばねの固有振動と見立てる (川田さん  
        

 物理の学習では、物事を簡略化するため、ばねやひも滑車まで質量がないものと仮定することが多くあります。

 しかし、実物で考えると無視できるほど質量が小さくないことも多々あり、そのような自然現象を理論的に解き明かすためには、質量も考慮しなくてはなりません。

 川田さんは、ばねの固有振動にばね自体の質量が与える影響を計算で求めてみました。

 川田講義が軽快に進みました。

 基本的な考え方は、力学的エネルギー保存則を用い、単振動での運動エネルギーの最大値が弾性エネルギーの最大値が等しいことより、角振動数を計算し、周期を求めるというものです。  ばねの質量をms、ばねの自然長をl、ばねが固定された点からばねの任意の点までの長さをyとし、ばねの微小箇所dyの単振動を考えると、
 質量は、ms(dy/l)、単振動の速さの最大値は、Aω(y/l)、となるため、
 運動エネルギーの最大値は、1/2(msdy/l)(Aωy/l)2となります。
 したがって、単振動で振動の中心にあるときの運動エネルギーの最大値が、yを0〜lまで積分することで、1/6ms(Aω2)となり、ばねの質量の1/3が効いてくることになります。
 このばねの質量を考えることにより増加した運動エネルギーともともとの物体の運動エネルギーの和が、弾性エネルギーの最大値1/2kx2と等しいことから、周期が求まります。

 ばねの質量を考慮しても、質量の1/3が先端の物体の質量に加わったものと同等となるので、ばねの質量を無視した単振動と本質的に同様に扱えるということです。

 さらに川田さんは、この考えを拡張し、圧力変化によるピストンの単振動の空気の質量をばねに見立て、さらにピストンの質量を0と考えることで、気柱共鳴の音速を計算しました。
 この計算結果、v=fλ=1/2π(√3γP0/L2ρ)・4L≒1.10(√γP0/ρ)での計算結果は、誤差10%ほどです。
 この計算もそこそこ正しいのではというのが川田さんの主張ですが、いかがでしょうか?
 10%とそこそこの精度が出ます。気体をばねと見なしてもいいのでしょうか?

 ホバーボード (加藤俊さん  

 未来の乗り物にも見えるこの乗り物。Hoverboardなどの商品名で中国製の様々な製品が出ています。

 ボードの上に乗り、バランスを保ちながら直立した後、重心を前に傾けると、本体も傾くため、それをセンサーが感知し、LEDが光を出しながら前進します。

 一方、左右に重心をかけると、同様にセンサーが感知し、曲がることができます。
 不安定な本体の上に乗り、重心を移動させる必要があることから、転倒しないように練習が必要です。さらに、公道で走るには、前方確認や衝突を回避するのに熟練が必要そうではありますが、アイデアとしては面白く、究極のパーソナルカーとして、今後の進展が楽しみな乗り物でした。
 両手でバランスを取りながら、重心を前にかけると前進します。

 音声プリズムの論文 (井階さん  

 最新の論文等も幅広く、目を通している井階さんが、日経サイエンスから音を波長ごとに分けるという音声プリズムの研究を紹介してくれました。

 日経サイエンスHPによると、『この「音響プリズム」は,長さ40cmの中空のアルミニウム製ケースで,側面に10個の穴が並んでいる。ケースの内部は,柔軟な高分子膜によって複数の小部屋に分かれている。障壁となっている膜が振動して隣の小部屋に音を伝えるのだが,音波の周波数によって遅れが生じる。遅れた音波が穴から漏れ出す際に異なる方向に屈折するので,周波数が最も低い音(赤色光に相当)は音源に最も近い端で聞こえ,周波数が最も高い音(青色光に相当)は音源から見て装置の下手へ屈折する。』とのことです。
 音の虹をつくるというような興味深い話です。
 思考実験から始まったという、非常に興味深い実験です。詳しくは、日経サイエンス2017年1月号をご覧ください。

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