ペットボトルですてきな鏡を作ろう
                                    川 村 康 文

 鏡というと,最初から四角形だとか円形と形が決まっていますが,この実験では,自分だけのすてきな形の鏡が作れます。ハート形をした鏡やミッキーちゃんのような鏡も,自由自在に作れます。是非,チャレンジしてみてください。

 準備するもの

 ・ペットボトルの側面などや,塩ビ板などのプラスチック
    0.5mm厚が,適切
 ・はさみ
 ・セロハンテープ
 ・アンモニア性硝酸銀水溶液 (やり方で,作り方を説明)
 ・ブドウ糖やくだものの液汁(アルデヒドなどの還元作用のある薬品でもよい)
 ・ホットプレート

 注意事項!

 ・硝酸銀水溶液は,手や服に付くと黒く染まって,手を石鹸で洗っても取れないので,つかないように注意しよう。手が染まったからといって,大きな問題があるわけではないので,染まってしまえば自然にとれるのをゆっくり待とう。
 ・アンモニア性硝酸銀水溶液は,長く放置すると爆発性があるので,実験を開始するときに作るようにしよう。余った場合は,多量の水でうすめて破棄しましょう。
 ・ホットプレートの表面温度には,十分注意を払い,約60℃に保ちましょう。

 さあ,実験開始!!

1.アンモニア性硝酸銀水溶液: 5%の硝酸銀水溶液とうすいアンモニア水,4%の水酸化ナトリウム水溶液を準備する。5%の硝酸銀水溶液に,うすいアンモニア水を少しづつ加え,加えた直後にできる黒褐色の沈殿が消えてなくなるまで加える。さらに,水酸化ナトリウム水溶液を少量加え,生じた黒褐色の沈殿が消えてなくなるまでうすいアンモニア水を少しづつ加える。
加えすぎには,注意が必要。


2.鏡の枠の作成: 鏡は,ペットボトルや塩ビ板などのプラスチック板を好きな形に切り抜き,セロハンテープで,切り抜いたプラスチック板に,アンモニア性硝酸銀水溶液がこぼれないように堤防のように枠を作る。
 このとき,セロハンテープは,溶液を入れる裏面に張り付け,表面には張り付けないように注意する。表面にセロハンテープを張り付けると,その場所に,銀メッキができないことになる。


3.銀メッキを行う:鏡の枠ができれば(下図参照),ホットプレートの上に置き,この中に,1.で作ったアンモニア性硝酸銀水溶液をこぼさないように注ぎ込む。


        
    鏡の枠に,アンモニア性硝酸銀水溶液を注ぎ込み
    ブドウ糖を小さじで均等にまいたあと,乾かした状態


4.ブドウ糖を小さじで均等にまくか,スポイトでくだものの液汁を滴下し,鏡をかるくゆすり,液を鏡の全面に行き渡らす。

5.プラスチック板に銀が付着したら,残った液を廃液入れに破棄し,乾燥させる。

6.乾燥したら,銀をつけた面に,黒色のラッカースプレーをかるくかけ,銀がプラスチック板からはがれないようにコーティングする。きつくかけると,かえって銀がはがれてしまうので注意が必要である。または,ブッカー(本が痛まないように,そのまわりに巻く透明なカバー)を貼る。

7.すべて,乾燥したら,セロハンテープをはがす。自分だけの好きな形のオリジナル鏡の完成である。

                   
    出来た!鏡!!        ハート形の鏡のなかに,デジタルカメラが写っている     ペットボトルの曲面で作った鏡


 工夫した点!

 本実験で,新たに工夫した点は,2点である。
 1点は,子供たちがよりたのしくできる実験にすること。
 もう1点は,廃液の量を減らすことである。

 前者の観点から:
ガラスでは,子供たちがすきな形の鏡を作ることが難しいので,はさみで自由にカッテイングできるものを銀メッキしようと考えた。最初,プラバンで試したが,できたて直後はまだましであるが,時間が経過するとともに,黒色への変化が,ガラスを用いたものよりも著しいので,プラバン以外の素材を探す必要があった。そこで,いろいろ試した結果,はさみで切れるもので,作製後も,ひび割れたりしないで長持ちをするものとして,0.5mm厚の塩ビ板やペットボトルのプラスチック板に至った。これより薄いと,プラスチック板が曲げやすいので,せっかくの銀メッキがはがれてしまう。また,これより厚いと,子供たちがはさみで切るのが難しくなってしまう。

 後者の観点から:
銀鏡反応の場合,多くのメッキ液が用意され,その多くが廃液となる。理由は,鏡にしたいプレパラートなどを,トレイのなかに入れられたメッキ液に完全に浸らせなくてはならないからである。今回の実験では,必要最低限のメッキ液を,プラスチック板に乗せ,プラスチック板に堤防のような枠をつけることで,メッキ液を端から端まで行き渡らせることができるようにした。その結果,廃液量を減らすことが可能になった。