無理やり光合成

−八百屋さんで購入したキュウリに光合成させます−

# 最高気温が25℃以上の好天の日に適した実験です。

[用意するもの]

炭酸飲料のふた付500ml透明ペットボトル{容器の下の方の側面に押しピンで穴をあけ、透明なビニールテープでその穴をふさいでおく、端を折り返しておくと便利}、60ml仕様の広口ガラスびんとガラスぶた(フィルムケースと下敷き)、炭酸水素ナトリウム(重曹)、線香、マッチ、ガラス棒(割りばし)、ピーラーなど。

[方法]

@容器に約2gの重曹をいれ、容器の半分まで25℃の水を加え溶かす。


Aピーラーで縦に細長く、帯状に薄く剥いたキュウリの表皮約30g(Lサイズ2.5本、Mサイズ3本を目安として下さい)を容器にいれる。


B水を追加して容器を満たし、ガラス棒で表皮表面が外向きになるよう大まかに調整する。


Cふたをして逆さにし、軽くたたいて容器中のエアをピン穴周辺に集める。 


Dビニールテープを半分はがして、容器に少し力を加えると、エア抜き完了。


E力をゆるめず、ビニールテープで穴をふさぐ。


F直射日光のもとに約3〜4時間。容器の台は、反射光の利用もあり白いバット(白い紙の上に白い皿)がよい。ガスが表皮表面・剥離面から発生する。ペットボトル内の圧力が高まれば、ピン穴から水溶液が流れ出す。


G発生したガスは、Cの操作後、水上置換によりピン穴よりガラスびんへ。


H火のついた線香をガラスぶたとびんの隙間から差し込み、線香の燃焼を観察する(その際、線香の火のついていない方の端で隙間の水の膜を割っておく)。







# マッチやライターを使うときは、必ず大人と一緒に。

ガス中の酸素濃度が高ければ、線香は花火のような燃え方をします。但し、この実験で採取されるガスは、約3035mlですので、一瞬の感動です。

液温は、Fの状態で42℃付近まで大丈夫。F後遮光放置しておくと、キュウリの表皮の呼吸で酸素濃度が低下し、ガスの体積も減少します。

[考察]

重曹0.5mol/Lの水溶液のpHは、ほぼ8です。この時、水溶液中のCO2種の HCO3-は最も効率的に吸収され、葉緑体のPCRサイクルが機能し、光合成し、酸素発生するようです。

[試してみよう]

キュウリ以外のウリ科の果実、スイカやトウガンの表皮ではどうなるでしょうか。

また、ウリ科以外の緑色果実の表皮では?

文/野口博 イラスト/水原素子

「おもしろ実験・ものづくり事典」(左巻健男・内村浩編著、東京書籍)より