ビー玉スターリングエンジン (桜井昭三)

スターリングエンジンはいろいろ見たことがありますが,桜井さん製作のものは,写真の通り,とても美しいです。
アルコールランプですので,炎はわかりにくいですが,すすけないのでガラス管はきれいなまま。

以下は桜井さんからのコメントと写真です。


 4月から5月にかけて、NHK教育TVで、大人が遊ぶサイエンスという番組が放映されました。その中でスターリングエンジンを作る、というのがありましたが、これがなかなか難しそうでした。
 
 スターリングエンジンの中で、入門用としてよく紹介されるものに、試験管とビー玉を使ったものがあります。そこで、このビー玉スターリングエンジンを作ってみました。

 はじめに、ビー玉にいろいろな寸法のものがあることがわかりました。家で見つけたのは、13mmで、外径18mmの試験管にうまく入るのですが、これが1コしかなく、東急ハンズで見つけて買って帰ったところ、これが17mmなのです。17mmは外径21mmの試験管でないと入りません。というわけでまた21mmの試験管を買ってきました。試験管にはまっている白い栓はシリコン栓です。これはゴムでもよかったかも知れません。

 写真に見えるのはガラス製の5ml注射筒です。現在お医者さんでは、ほとんどプラスチックのディスポーザブル(使い捨て)型ですが、スターリングエンジンはガラス製でないと摩擦が大きくて使えません。これは売っているところがなかなか見つかりませんが、中村理科とか、ケニスなどの理科教材会社で扱っているので、学校の先生にお願いすれば手にはいると思います。

 注射器の固定は、アルミで簡単な金具を作りました。本などではエポキシ接着剤で止めるように書いてあることが多いようです。

 注射器と試験管をつないでいるのはシリコンチューブです。私は金魚のエアポンプに付いていたものを使いました。試験管側は4mmの真鍮パイプです。

 木製の支柱に試験管を止めるのは普通の輪ゴムで、2本使い2、3回ひねった輪の中に通
します。止める位置は試験管のほぼ中央ですが、これはいろいろ動かして調整する必要があります。


木台の左に見えるのは5mmlのガラス製注射筒です。これがシリコンチューブと、4mmの真鍮パイプ、シリコン栓で試験管につながっています。試験管にはビー玉が5ヶ入っています。

だいぶん上がってきたところ。
試験管の先端をアルコールランプで熱します。あまり強い火でない方がいいようです。試験管の中の空気が熱せられ、ビー玉の隙間からシリコンチューブを通って注射筒に入り押し上げます。

動き出した!
試験管が持ち上げられ、右側が下がると、ビー玉が右の方へ転がっていきます。そうすると、ビー玉の左側の空気が冷却され、圧力が下がって、試験管が下がります。


実際に動いているときは、試験管の左右が、水平より1cmほど上がったり下がったりするだけですが、それに連れてビー玉がかすかな音を立てながら左右に転がる光景は、見ていてなかなかほほえましいものでした。

アルコールランプを取り去っても、そのあと10回以上、運転を続けます。全体の温度が下がると、最後のもとの状態に戻ります。

アルコールランプのかわりにローソクでも動きますが、試験管がススで汚れるのが欠点です。

参考文献 スターリングエンジン製作マニュアル:松尾政弘編:誠文堂新光社:\1800