バンドン通信4
〜インドネシア大学生との交流〜

 私のインドネシアにおける現地理解研修テーマのひとつは、「インドネシアにおける進路指導」です。昨年は、小学校・中学校・高校などを見学させていただきました。そこで学ぶ生徒が、どのようにして進路を決めるのか、また、教師がそこにどのように関っているのかなどを研修しました。
 今年は、大学の日本語学科の生徒を対象に、これまでの進路選択とこれからの進路希望を問うアンケートを実施し、ついでに、我が故郷である「北の大地」、北海道の紹介をしてきました。


 訪問したのは、「ウィディアタマ大学」。市内東部に位置する大きな大学です。この大学には日本語学科があり、たくさんの学生が日本語を学んでいます。
 私のインドネシア語の家庭教師をお願いしている先生が、この大学で、日本語学科の学部長をしています。その関係で、日本人学校が休みの土曜日に訪問しました。

 バンドゥン市は、「学園都市」でもあり、たくさんの大学があります。有名なのは、インドネシア一の水準を誇る「バンドゥン工科大学」や、インドネシア全土に教師を排出している「バンドゥン教育大学」などがあります。また、中華系・韓国系のお金持ちの子女を集めた大学などもあります。その中で、ウィディアタマ大学は、特に経済学部の人気がり、企業経営者を育成することを目的としています。






 日本語学科では、学生獲得のために、日本をテーマにしたイベントを催したりします。この写真は、昨年のイベントのもので、学成たちが浴衣を着て「輪投げ」の模擬店を出していました。日本の夏祭りがモチーフになっています。

 この日は、日本食レストランの協賛で、たこ焼き屋台や牛テリヤキ丼の屋台、すき焼き屋台がありました。ちなみに、インドネシアのたこ焼きには、タコは入っておらず、替わりにイカが入っています。「テリヤキ」は、日本食料理屋に限らず、色々なレストランでもソースの一種として認知されています。

 浴衣姿の写真が女の子なのは、私の好みの問題ではなく、日本語学科の学生に女の子が多いためです。(わざわざ断ると、かえって邪推されそうで怖いですが…)

 この写真も、昨年のイベントの日のものです。このおじさんは「インク消し売り」です。売っているのは…

 「ほら、こうやってシャツに書いた色が…」


      「次にこの液をかけると…」


          「あとかたも鳴く消えるっ!」

 えぇと、それは何のために使うんでしょう。おじさんは色々な領収書とかを見本に持ってきており、その金額を消せるなどといっておりましたが…。





 さて、本題です。約30名ほどの学生に、アンケートに協力して協力してもらいました。彼らは日本語学科の生徒で、1年生から3年生のうち、授業の都合がつく学生に集まってもらいました。

 この中で、日本への留学経験がある学生は2名。日本人と話をしたことのある学生は6〜7名ほどいました。彼らの、日本語に対するモチベーションは高く、上の学年の生徒は、私の日本語をかなり理解して説明を聞いていました。

 1年生は、9月に入学したばかりなので、まだ、あまり日本語を話すことができません。従って、アンケートは、日本語・英語・インドネシア語の3ヶ国語表記で作成しました。英語は必要ないのではないかとも思いましたが、私のインドネシア語では表現できない部分もあるので、補足的に見てもらえれば、と。しかし、その英語も、はたして補足になっていたのかは、疑問です。



 アンケートに答えてもらいながら、約1時間半の時間をもらって、写真を使いながら日本の紹介をしました。と、言っても、インターネットが発達している時代ですので、その気になれば日本の映像を見ることは、誰でも可能です。そこで、今回は、ネット上の画像にはあまり見られない、

              「普通の風景」

の写真を使って紹介しました。

紹介したのは、
  「出国前、大雪に見舞われた3月の北海道」
  「雪の洞爺湖」「一面銀世界の洞爺村」
  「札幌駅・ステラプレイス」「駅の内部」
  「駅地下街」「大通り公園」「イオン苫小牧」


など、普段はあまり写真などあえて取らない場所について紹介し、インドネシアとの共通点や相違点について話をしました。




 ほとんどの生徒が、私の写真に大変興味を抱いてくれて、食い入るようにスクリーンを見ていました。


 実際に日本に行かなければ、あまり目にすることのない「普段の姿の日本の街なみ」は、彼らにとって新鮮に写ったようです。これから在外教育施設への派遣を控えている先生方は、「普通の風景の写真」をたくさんとっておくことをおすすめします。景色、建物、道路、ポスト、自動販売機、海岸、山、家の中、レストラン、食べ物…  とにかく、そのような写真が、生活習慣や文化の紹介には最高の素材です。

 紹介の後は、質問コーナー!日本での労働時間のことや、学校の様子、食べ物のことや治安のことなど、色々な質問を受けました。「ニンテンドーの会社はどこにあるのか」と聞かれましたが、「多分、東京にある。」などと、適当に答えてしまいました。
 ユニークな質問としては、

Q「立山と北海道は、どちらが雪が多いか?」
A「山は雪が多い。でも、北海道は平地でも雪が多い。」

Q「夜、女の子が1人で歩けるか?」
A「歩ける。しかし、熊に注意だ!」

Q「北海道は、もし行くとしたら、いつの時季?」
A「インドネシア人なら7・8月だ!
       もし、冬に行ったら耐えられんぞっ!」


 
存分に、そして正確に北海道を紹介しました。



 講義終了後は、大撮影会になりました。自分がまるで、人気大学教授になったかのような気分でした。日本にいて女子大生とケータイの写真におさまるなどという機会はないでしょうから。この国の人々は、老いも若きも、とにかく写真好きです。と、言っても、写真を撮るのが好きなのではなく、「写されるのが大好き」なのです。「写真をとることが好き」な私にとってはありがたい限りです。
 さて、肝心なアンケートの内容と、その結果は? これはまだまとめていないので、別な機会に紹介いたします。そんなわけで、今回は、「インドネシアの大学生の前で出前講座をやったら、意外にウケて楽しい時間でした。」という報告まで。