台北通信  第3回

                                台北日本人学校 能登 敬久 

はじめに

台湾の祝祭日は、数百年前の中国で皇帝や役人、一般の人々が祝って
きた習慣が受け継がれています。旧暦がそのまま使われ、祝日以外にも、
その土地で信じる神の誕生を祝う祭もあります。今回はその中の思い出
深いいくつかを紹介してみます。

1 中華民國開国記念日(1月1日)

1912年の辛亥革命により中華民國が成立しました。1月1日はその記念日
としてお休みになります。町の至るところで龍や獅子舞が現れます。

 大晦日のカウントダウンはあります。しかし、台湾での正月は2月上旬の春節
(旧正月)ですので、1月1日前後は休みますが、現地の企業や学校はほとんど
通常で実施しています。紅白歌合戦も旧正月に再放送されるので、日本人から
してみると2度正月を味わうことができる気がします。

2 元宵節(2月中旬〜下旬)

旧暦新年の最初の満月の日が近づいてくるとランタン(灯籠)を灯すイベント
が各地で開催されます。

中正紀念堂ではさまざまな団体が競い合って大きな灯籠を用意します。北海道の雪
祭りの雪像が灯籠にかわったイメージです。もちろん雪は降りません。また、別の場
所では、和紙でつくった灯籠を空に一斉にとばすところもあります。何百という灯籠が
時間ごとに空に舞い上がる光景は壮大です。

   
           

3 端午節(旧暦5月5日・6月上旬〜下旬) 

中国古代の祖国詩人・屈原が入水自殺をした日で、悲しんだ人々が船で競
って救おうとしました。これがドラゴンボートのはじまりです。さらに、人々は
魚に食べられないよう葉に巻いたご飯を投げ入れたところから粽を食べる
習慣になったと言われています。

台北市ではドラゴンボートの国際大会があり、タイや沖縄、南アフリカなどのチーム
がこのレースに参加します。台北日本人学校チームも外国人招待チームとして、
馬英九市長チームと対戦したりしました。この時はスタートで市長チームに船で激
突し、国際問題に発展しそうになりました。(笑)
 
        

4 教師節(9月28日)

孔子の誕生日で、各地の孔子廟で伝統的な祭典が行われます。

生徒の親が夜遅く「粽をもって行きたいのですけど…」ということがありこの存在を
知りました。台北市の孔子廟で伝統的な儀式を公開してくれる場面があり参加さ
せていただきました。台湾では儒教の教えが根強く残っていますので、生徒が先
生と友だちのように親しく話すというような場面は少ないということです。ちなみに
台北市内の現地の中学校の先生は7割〜8割が女性です。

   

5 国慶節(10月10日)

辛亥革命が始まった日で、総統府前では盛大なパレードが催されます。

この日が近づくと台北市内の道路の中央分離帯には中華民國国旗がずらっと
掲げられます。台北日本人学校もよさこいソーランや夏祭りのみこしを披露しに
行きましたパレード出場予定時間も1時間以上遅れても「沒關係」です。日本か
らの出場チームということが周囲に伝わるとあっという間に和ができあがってし
まいます。

  


他にも8月8日は旧暦の7月7日で台湾の情人節(恋人の日)です。男性が女性
に思いを伝える逆レンタインデーのような日です。また、十五夜に月見をする習
慣もあります。街の至るところで月見をしながら焼肉パーティーをしている光景か
見られます。今日は七夕で街中がカップルになっているそうです…。
今回はこの辺で。