第3回科学教育ボランティア研究大会─シンポジウム
■シンポジウムテーマ 「科学教育ボランティア考 〜なんでだろう?私はボランティアをやっている〜」

■発表者 北村哲也  さわやか福祉財団 わくわく!科学実験教室担当 吉田のりまき 科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」代表, NPO法人ガリレオ工房  林 誠 技術コンサルタント, 中小企業大学校東京校講師,(株)カタログハウス顧問 朝日秀仁  オンライン自然科学教育ネットワーク
橋本浩三  亀岡市地球環境子ども村
山田善春  大阪市立高等学校,        オンライン自然科学教育ネットワーク代表
■司会 檀上慎二  四天王寺高等学校中学校教諭
 



各発表者の発表の概要(大会当日に配られたパンフレットより)

○北村哲也
 私の所属するさわやか福祉財団では@地域の子どもと大人の「心の交流」を活性化し、
子どもの健全育成支援A知識偏重ではなく「考える楽しさ」、「発見する喜び」を学び、
子どもの創造力を醸成B取り組みやすいプログラム内容なので、勤労者のボランティア
活動への参加を促進するこの3つ項目のすべてを大切にしながら実験教室を開催してい
ます。実験教室で使用される10種類のキットはアジレント・テクノロジー(株)から
提供を受け、今年度は社会福祉・医療事業団の助成を受けNPOモバイル・コミュニケ
ーション・ファンドの協力を得ながら全国に実験教室を開催する10拠点を構築し、月
1回の教室を開催する活動に取り組んでいます。教室の特色として「学校」での開催で
はなく「地域」の教室として実験教室を位置づけていろいろなパターンで取り組んでお
ります。東京都杉並区では妙法寺の寺子屋で開催したり、東京都の町田市ではYACA
と地域のボランティアセンターが協力して開催するなど地域の住民の方をサポーターと
して巻き込んで取り組んでいます。
 私自身がこの活動に取り組むきっかけとなったのは学生時代に子どもの遊びに関わる
ボランティアに関わっていたことからです。科学の分野では全くの素人でしたが、やは
り子どもの笑顔が原動力になっています。実験教室では子どもとの質問のやりとりを重
視していますが、突然答えられない質問があったりという場面もありますが、楽しく2
時間をボランティアスタッフと子どもたちが過ごしています。楽しみながらのんびり考
える実験教室があっても良いのかなぁと考えながら進めています。いろいろと課題はあ
りますが、今後も子どもたちと地域の人たちと共に育っていきたいと思っています。

○吉田のりまき
 なんでボランティアをしているのか、というテーマのようですが、特にボランティア
ということを強く意識をしているわけではありません。これが必要ではないかなと思っ
たら、自分の出来る範囲のことでしたいことをまず始めてみます。やってみてやっぱり
これが大切だと思ったら、ぼちぼち何回かやってみます。このとき、いつも慌てないで
客観的な気持ちでいることにしています。ニーズがあったり自分もさらにやってみたい
と思ったらスタートさせています。そうこうしているうちに、気がついたらいつのまに
か自分の出来る範囲が広がってきます。理解してくれる人、聞き役になってあたたかく
励ましてくれる人、仲間になって実際に一緒に活動してくれる人、そういう人がいてく
れるからです。 私は科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」の代表をしています。
これも最初は細々と自分で始めたことです。実験教室の講師をしているうちに、それだ
けでは子どもにとって何か足りない物があることを感じました。その内容と、どう取り
組んでいったか、そしてどのような会にして、どう活動していってるのか、そのあたり
の話を具体的にしたいと思っております。

○林 誠
 私が中小企業大学校で電気制御の講座を担当して14年ほどになります。これまでの
2000人を超える受講生の中で模型のモーターを作ったことのある人は1割にも満た
ないことを知って、これは何とかしなくてはと思い続けたのがベースになっています。
横浜こども科学館での仕事、私が顧問をしているカタログハウスで地元還元の教室の失
敗、地元の児童館に孫がお世話になっていることへのお礼。などが私のボランティア活
動の動機になったと思います。
 始めた頃は割合暇があったのですが、最近仕事が増えてきて余裕がなくなってきたの
が問題です。材料を準備したり、予備実験をするのが差し迫ってからになってしまいま
す。また、身近に廃液処理の設備がないので、化学実験はまず無理な状態です。児童館
側では子どもたちが手先を上手に使えるようになってほしいとの希望を寄せています。
子どもの工作を手助けすると一人ではとても手が回りません。

○朝日秀仁
 学生の頃から科学教育ボランティアに関わり始めました。その当時を振り返ると、私
がボランティアに関わり続けたのは、科学教育に対する熱意だけでなく、ボランティア
に関わっている他の人たちとの人間関係も大事な要素でした。ボランティアで出会った
方たちの話を混ぜながら、自分がボランティアで学んだこと、これからボランティアを
始める人にも知ってほしいこと、ボランティアをしている立場の人に楽しんでほしいこ
とをお話したいと思います。

○橋本浩三
<亀岡市地球環境子ども村と「チコーズ」>
1地球環境子ども村とは?
 亀岡市全域を地球環境子ども村として、亀岡市と周辺の自然や施設を活用した自然体
験学習・環境学習を展開しています。私たちが訪ねていった自然とそこで実施されたプ ログラムを紹介します。 2「チコーズ」  地球環境子ども村の活動を支えている「チコーズ」の組織や実際の活動について紹介 します。また、アンケート結果をもとにして、ボランティアとして活動されているみな さんの「目的」「思い」「悩み」「希望」などを伝えたいと思います。話を聞いてくだ さった会場のみなさんから、子ども村事務局に対して、「チコーズ」に対して率直なご 意見をいただき、今後の活動の糧にしたいと思っています。どうぞ、よろしくお願いし ます。 3「チコーズ」として活動して  やっぱり生の声が聞きたい。チコーズのメンバーの方にお願いして、お話しをしてい ただこうと考えています。
○山田善春  現在、各地で科学教育ボランティアが盛んに行なわれるようになって来た。なぜだろう。  一番大きな理由は、科学教育ボランティアが行なっている実験教室が子ども達や親たち に楽しくおもしろく、受け入れられたことがあげられる。学校教育にない魅力があるから だ。そこでは学習指導要領に拘束されず自由な学びの場が提供され、学ぶことの真の楽し みが味わえる。  私が科学教育ボランティアを始めた切っ掛けは学校の理科教育の危機を感じたことと、 青少年の科学の祭典で行なわれている実験にその突破口になる可能性をを感じたことによ る。子ども達は決して理科が嫌いではない。しかし学校では理科から離れていく。その原 因を探れば、学校で提供されている理科教育のカリキュラムに根本の問題がある。科学技 術が社会の隅々に浸透している現代において、これからの社会の担い手である子ども達が 科学・技術を学習することはとても重要なことであるにもかかわらずいっこうに改善され ない。まさに理科教育の危機である。この危機にいてもたってもいられなくなったのが、 科学教育ボランティアをはじめるにいたった動機である。  科学教育ボランティア活動は学校理科教育の危機が続く限り、各地で益々盛んになって いくであろう。予見できる。


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