立教大学原子力研究所見学

2001年3月10日(土)13:00〜

 立教大学原子力研究所は横須賀市長坂の海岸に位置する。ここに神奈川県内では唯一の、最高熱出力100kWのTRIGA2型研究用原子炉が設置されている。大学が保有する日本でも珍しい原子炉のひとつだが、1961年12月の初臨界以来40年を迎え、近い将来運用を終了するという。放射線教育フォーラムが主催する原子炉見学会に参加し、実際に原子炉を運転する状況を見ることができたのでレポートする。

 原子力研究所はNTT電力中央研究所に隣接している。写真は管理棟。その左に続く建物が原子炉棟である。

 原子炉棟への立ち入りは厳重に管理されていて、来客も線量計を胸につけて入る。

 原子炉の制御盤。一名で操作できるシンプルなつくりだ。左の窓から直接目で炉周辺を確認することもできる。

 制御棒を操作して臨界に近づけていく。しだいに中性子数が増えて左の計数率計は振り切れるが右の出力計はまだまだである。

 運転中の炉心を見学するため炉の上に登る。階段下から見上げた原子炉。

 ここが炉心の真上にあたる。3本の制御棒の昇降機が見える。

 反応中の炉心を見下ろしながら、職員の説明を受ける。職員の方が乗っているすのこのすぐ下は直径2m、高さ6.5mの純水プールである。

 すのこのすきまからのぞいたプールの内部。中央の蜂の巣状の部分が炉心(直径、高さとも35.6cm)である。制御棒3本のほか、計測用、サンプル挿入用のパイプがおりている。

 炉の出力があがる。照明を落とすと炉心部が青く光っている。いわゆるチェレンコフ光だ。

 チェレンコフ光は水中の光速度を越える速さの電子がつくる光の衝撃波だ。

 ポリエチレン性のサンプルホルダー。この中に放射化計測を行いたい試料を入れて、パイプに沿って炉心におろす。

 炉心から引き上げたサンプルホルダー。放射線のカウントはさすがにすごい。直接手を触れてはいけない。

 引き上げたサンプルホルダーはすぐ脇に設けられた試料移送管(シューター)で即刻計測室へ送られる。

 炉心の構成図。燃料棒(ピンク)は20%濃縮ウランとジルコンの合金を水素化したもの。制御棒(青)は炭化硼素。

 制御室の下にある計測室内の移送管の終端。サンプルホルダーは中央のバケツの中に落ちてくる。

 試料を左の鉛ブロックで囲まれた中にセットし、半導体検出器でエネルギースペクトルを測定する。

 計測実習中の見学者。炉心で放射化した後の経過時間も重要なパラメータになる。

 測定されたエネルギースペクトル。これから元素組成比がわかる。

 計測室から気送管により直接炉心に試料を送受することもできる。半減期の短いものは一刻を争うのだ。

 データの見方について解説を受ける見学者たち。


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