例会速報 2000/01/19 県立湘南台高校


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神奈川化学塾の本が出ました 平松さんの報告と割引即売会

 YPCとの重複会員もいる化学自主研修サークル「神奈川化学塾」が本を出版した。すでに紹介されている実験も必ず追試して検討を加え、より簡単・確実にできるように改良を施したり、ノウハウの説明を加えたりしている。出版社は新生出版で¥2000。

自己誘導 水上さんの発表

 静電気などの実験に欠かせないアイテムだが、このごろ入手しにくくなったヒューズ型ネオン管を、水上さんが大量に仕入れてきて格安販売してくれた。
 これは、その応用例のひとつ。チョークトランスの自己誘導で、乾電池程度の電源で一瞬100Vを越える電圧を発生し、ネオン管を光らせる。

お手軽起電盆 水上さんの発表

 これも、ネオン管を使った実験の一例。手近にあるもので、手軽に作れる起電盆だ。発泡スチロールのトレーを摩擦して帯電させ、アルミ皿を乗せると静電誘導が起こる。ここでアルミ皿に指を触れると、トレーと同符号の電荷は指を伝って逃げる。このとき、ネオン管を使うと移動した電荷の符号を判定できる。ネオン管の光った電極の側がマイナスなのだ。
 こうして帯電したアルミ皿を絶縁体の取っ手(スチロールカップ)を持って持ち上げ、再びネオン管を触れると、今度は先ほどと逆側が光るのが観察できる。いわゆる「検電器論理」の個別学習用に適した教材だ。


どちらが先? 右近さんの発表

 この冬休み、YPCのメンバーにはある宿題が出されていた。ThePhysicsTeacher誌Vol.38のFiguringPhysics欄に掲載された問題だ。質量のある鎖付きのブロックと、鎖なしブロックを同じ高さから同時に落下させたらどちらが先に床に着くかという問題である。メーリングリストではさまざまな説が戦わされたが、今日はその決着の日だ。まずは実験して確かめようということになった。

 二つのブロックは、落下させるとほとんど同時に床をたたくように見える。しかし、音を聞くと若干のずれもあるようだ。しかし、タイミングはかなり微妙。参加者はそれぞれに試してみるがよくわからない。精密なビデオ撮影が必要だということになった。
 PT誌の「正解」は、「鎖付きが速く落ちる」なのである。一端を固定した剛体棒の回転では、棒の先端の鉛直加速度はgを上回る。鎖や質量のあるひもでも似たようなことが起こるというのだ。

 右近さんがシミュレーションソフトInteractivePhysicsを使ってシミュレートした結果のVTRも披露された。画面上では確かに鎖付きのおもりが先に落下している。ただし鎖が水平にぴんと伸び切った状態でスタートする場合はかえって遅くなるので、鎖が適度のU字型になった最適のスタートフォームが存在するようだ。

色と形の認識 右近さんの発表

 人間の目の色認識が、立体図形の認識の影響を受けるという、知覚心理学的話題。元ネタはNATURE誌Vol.402の記事だ。赤い色を塗った面と、白い面を直角に向き合わせると、赤い面の照り返しで白い面が薄く色づく。ところが、片目の立体視で凹凸を逆に認識すると、その瞬間白い面の色認識が変化する。とかく人間の目はだまされやすいものなのだ。

テープはがしの静電気 右近さんの紹介

 これもThePhysicsTeacher誌Vol.38の記事の紹介だ。右近さんは本当によく文献に目を通している。セロテープを2枚重ね貼りにして、上側をはがすと、上側の粘着面が正に、下側の光沢面が負に帯電する。
 さて、3枚重ね貼りして一枚ずつ順にはがしていくと何が起こるか。多くの人は真ん中の電荷が0で上下がそれぞれ正負と予想するが、著者の実測結果は意外にも最後のテープに2倍の電荷が溜まるというものだった。しかもはがす順番に依存する。
 いったい何が起こっているのかもその場で議論されたが結論は出ず、宿題ということに・・・。次回慶応例会で実験的検証も試みようということになった。

光トラップ 塚本さんの発表

 縫い針をたくさん束にして、針先の方からのぞくと真っ黒に見える。植毛紙や無響室の壁などと同じ原理で、針先の側面で反射する光が反射をくり返しながら奥へ奥へと進入して吸収されてしまうためだ。知ってはいても実際にやってみたことのない人がほとんどだろう。結果はご覧のとおり。


単極モーターと単極誘導 塚本さんの発表

 このごろ全国的に話題になっている単極モーター。側面に銅テープを巻いて接触と滑りをよくしてみた。乾電池1本でブンブン回る。

 こちらは磁石をモーターで回転させ、単極モーターの逆の原理で発電する単極誘導の実験。同じく銅テープを使ってみたが、起電力はいまひとつ。まだ改良の余地がありそうだ。

光通信 市江さんの発表

 愛知・岐阜物理サークルの「いきいき物理わくわく実験」にもある太陽電池を使った光通信。物理教育学会誌Vol.42 No.2にも片桐さんの報告がある。市江さんはこれらを追試すると共に、送信側の光源をいろいろに変えて受信状態を比較してみた。その結果、S/N比などの点で赤外発光ダイオードの成績がよかったという。

ラブメーター 水野さんの紹介と即売会

 97年8月例会でも話題になったハンドボイラー。このごろあまり見かけなくなったが、水野さんが見つけて買い占めてきた。希望者が多かったため例によってジャンケン大会で購入者を決定。下の球を軽く握るだけで中の液体(アルコールorエーテル?)がボコボコと沸騰する。


サイクロイド滑り台 車田さんの報告

 国立科学博物館の特別展で目をひいたもののひとつ。サイクロイドが最速降下線であることを端的に示す実験。直線、円弧、サイクロイドの3種類の滑り台をボールが転がる。ご覧のとおり勝負は明らかである。


理科・数学離れ電卓 車田さんの紹介

 シャープから発売されている分数がそのまま扱える電卓。以前から、塾の検算用などに一定の需要があったようだが、このごろ比較的よく売れているという話も。嘆かわしいことだが、分数など計算が苦手な子どもは今後ますます増加すると見込まれ、需要は増加するかもしれない。


フィリピンでの授業 水上さんの発表

 JAICAの派遣プログラムでフィリピンに出向いた水上さん。現地でも手作り実験たっぷりのパワフル授業を展開してきた。授業や現地の先生方との交流のもようをデジカメで紹介してくれた。

二次会 湘南台の「紅葉」にて

 例会には28名、二次会には16名が参加した。本日は理科部会研修会・物理講演会とのダブルヘッダーで、スタッフの皆さんは本当にお疲れさま。労をねぎらってカンパーイ!すっかり湘南台名物になった、お好み焼き・もんじゃ焼きのフルコースに舌鼓を打つ。20世紀最後の年は和やかに幕を開けた。


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