例会速報 2000/09/20 慶應義塾高等学校


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YPC例会のもようを写真構成で速報します。写真で紹介できない発表内容もありますので、詳しくは来月上旬発行のYPCニュースで。例会ごとに更新します。過去の例会のアルバムここ

タコマ橋はなぜ崩壊したのか 右近さんの発表

 タコマ橋はカルマン渦の発生周期と共振して崩落したと定説のように言われ、教科書にさえ取り上げられているが、真相はそうではなさそうだという衝撃的な論文の紹介があった。1991年BillahとScanlanによるものである。当時の風速から理論的に予想されるカルマン渦の発生周期と、崩壊前実際に振動している橋の振動周期がまるで合わないというのだ

 右近さんはまず簡単な共振実験を見せてくれた。ばね振り子をモーター仕掛けの振動装置で振動させ、振動の周期を固有周期と一致させると、ばね振り子は大きく振動しておもりが吹っ飛ぶほどになる。

 続いてBillah・Scanlan論文に基づくビデオの紹介。AAPT編、解説書つき。http://www.aapt.org/から注文できる。事故当時の実写映像をもとに測定して答える設問がいくつか用意されているという。


 さて、BillahとScanlanは、それまでたびたび上下に横波振動を起こしていた橋が、当日一転してねじれ振動を起こしたことが崩壊の直接の原因になったと見る。たまたま横波振動とねじれ振動の固有振動モードが近い設計だったのが敗因だという。ひとたびねじれが起きれば、写真の実験のように、風圧は橋をよりねじるようにはたらくため、ある程度以上の風速では「自己励起」あるいは「負の減衰」が起きて振動が成長する。橋げたのスパン長に対して、橋の幅や厚さが小さいとそれは起きやすくなる。タコマ橋の構造的欠陥はそこにあったというのだ。


ワクワク実験気象学 坪田さんの発表

 慶応高校地学教室の坪田さんが標題の訳本を丸善より出版した。なんと原著よりも安い。

 内容は実験をふんだんに織り込みながら、気象学にアプローチするという地学分野ではちょっと珍しい解説法だ。実験は物理分野ではおなじみのものが多いが、それを気象学へと組み立てていくカリキュラムが興味深い。歴史的なエピソードも多数紹介されていて読者を飽きさせない。

ドイツの浮沈子共同購入計画 市江さんの発表

 前回の例会で話題となったドイツの浮沈子FLASCHEN TAUCHERの共同購入計画が市江さんの音頭取りでスタートした。注文をとりまとめて直輸入する。さっそく申し込みが殺到した。

YPCホロスペックス中間報告 宮崎さんの発表

 宮崎さんが、オリジナルのホロスペックス作りに挑戦している。Web上に公開されているCGHというソフトを入手し、「YPC」の文字を座標で与えて計算させると、ホログラムパターンが得られる。これをプリントアウトしてコピーフィルムで縮小複写することでオリジナルホロスペックスを作ろうという計画だ。まだ開発途上ながら、ノウハウは着実に積み上げられている。左は顕微鏡で拡大したホログラムパターン。右はレーザー光をあててかすかに浮かび上がったYPCの文字。完成が待たれる。


簡易高圧電源の正しい作り方・使い方 山本の発表

 1999年3月の例会で右近さんが石川県の竹中さんからの情報として紹介してくれたジャンク品の高圧電源は、2000年2月の例会でミニ真空放電実験へと発展したが、今回はその電源装置をさらに改良した。
 出力端子をむき出しにしないよう、ジャンパージャックを使ったり、熱収縮チューブにより絶縁被覆を施すなどして安全性を向上させるとともに、電源の006P電池を二本にして約5000Vの出力を達成した。
 製作のポイントは例会で紹介したが、詳細は次号YPCニュースを参照されたい。


 従来、静電誘導起電器、バンデグラーフあるいは誘導コイルを使って行われていた静電気実験はほとんど、この小さな電源装置一つでこなせる。もちろん箔検電器もビンビンに開く。
 下はアルミホイルを切り抜いて作ったハミルトンの風車。ケシゴムにさしたシャープペンシルの芯の上で勢いよく回転する。


 クルックス管の実験もご覧の通り。電流が少ないので微妙にスパークギャップを設けるなど、多少のコツがいるが、十分実用になる。

 ガイスラー管〜クルックス管による真空放電実験ももちろんOK。左が5×10-1Torr、右が10-2Torr。


 スパークギャップを精密に制御すると、放電の周期もある程度変えられる。左は「写ルンです」から取り出したキセノン管を使った簡易ストロボ装置。上の高圧電源を接続して使う。光量及び発光周期の安定性はイマイチだが、お手軽アクセサリーとしていかが?構造、使用法の詳細はYPCニュースに掲載予定。

老眼鏡のジオプトリー 喜多さんの発表

 平均年齢の上昇で老眼鏡が気になる今日このごろ・・・ちがうって・・・

 100円ショップの店頭を飾る人気商品、老眼鏡。ジオプトリーもフレームも各種のラインナップがそろっている。ジオプトリーの違う老眼鏡をいくつか購入してきて、結像位置を確かめ、その場に次々と眼鏡を並べていく。最後には「ジオプトリー」とは1/fのことであると気がつかせるというユニークな展開に一同感心。

315円望遠鏡 喜多さんの発表

 同じく100円ショップの商品を使った望遠鏡だ。老眼鏡が対物レンズ、虫眼鏡2個で接眼レンズとしている。鏡筒は牛乳パックを重ねたもの。

Seven Bridge 喜多さんの発表

 左は以前科教協で販売したことのある木製ブロックのアーチ。各ブロックは接着していない。滑らないように床にサンドペーパーをしいてあるだけである。右はスチレンフォームで作った改良版。7つのピースからなるのでSevenBridgeというわけ。強度はご覧の通り。カッターナイフでOKという加工しやすさが売り。


強力空気電池・SkyPower 渡辺さんの発表

  渡辺さんが持ってきたのは、カー用品として販売されている非常用電池。バッテリーがあがってしまったときに、セルモーターの起動に使えるというふれこみ。

 付属の電解質(食塩?)を水に溶かし、その中に本体の電極部をひたすだけ。マグネシウム電極の空気電池らしい。

 実際にやってみると1時間以上にわたって、12Vを越える実用的な電圧を発生し続けた。十分使えそうである。とはいえ使い捨てで定価¥6000はちと高いか。


新型燃料電池 中村理科の新製品紹介

 中村理科の燃料電池の改良版が発売される。水素を注射器で圧入してやるだけで電力が発生する。酸素は空気中からの供給でも十分だ。右はオブジェ風にデザインされたアルコール燃料の燃料電池。スイッチを入れると前輪が回転する。


CDで作る簡易エアーパック 鈴木健夫さんの発表

 これまでアクリル板や下敷きを切って作っていた簡易エアーパック。鈴木さんはCDを使うことを思いついた。中央部の凹凸がスカートの役割をしてなかなか良く滑る。板の加工がいらないのがお手軽でよい。ちなみにレーベル面を下にして使うのがポイントだそうだ。

サイクロイドすべり台 車田さんの発表

 KASTサイエンスフェスティバルで披露されたサイクロイドすべり台。当時は3コースしかなかったが、要望の強かったサイクロイドよりもカーブがきついコース(一番手前)を付け加えて改良。VTRでその成果が報告された。

 手前から2レーン目のサイクロイドコースがやはり先頭を切っている。

二次会 日吉駅前浜銀通り龍竹酒家にて

 二次会だけ飛び入りのたかすぎさんも加わり、18名が参加。今回の例会はいつにも増してネタが充実していた。時間の都合で発表しきれず次回回しになった話題もいくつもあった。


秘密の万華鏡 金子さんの発表予告編

 例会で持ち越しになったレポートの一つ。さてこの美しい模様は何?もちろん万華鏡だが、写っているのは何かわかるかな?どういう構造?・・・それは次回のお楽しみ。


 もとの物体の方だけ正解を教えよう。上左はテーブルクロス、上右は海老のうま煮、左は明かりの下で話をする宮崎さん。想像もつかないでしょ。


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