例会速報 2002/07/10 慶應高校


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 今月の例会は台風6号が首都圏を直撃するなか、風雨をものともせず集まった20名の参加者により決行された。

スタートレックジェネレーション 喜多さんの紹介
 おなじみのSF映画スタートレックシリーズの一作。

 この映画の中で、アインシュタインやニュートンのそっくりさんに混じって、スティーブン・ホーキング博士本人が、自分自身の役で出演している。科学史上の人物をモデルにしたゲームの3Dキャラクターという設定で登場するのである。ホーキング博士はアインシュタインやニュートンと並ぶ歴史上の人物になっているというわけだ。
 

 

カシミール3D入門 山本の紹介
 知る人ぞ知るDAN杉本こと杉本智彦氏のフリーソフト「カシミール3D」の使い方を詳しく解説したCDつき入門書が出版された。 杉本智彦著「カシミール3D入門」実業之日本社¥1900

 「カシミール3D」は基本的には地図ブラウザだが、風景CG作成機能、GPSデータビューワ・編集機能、ムービー作成機能、山岳展望機能などの多彩な機能を搭載している。国土地理院の数値地図をはじめ世界中の地形データを使用できる。上記の本には、ソフト本体のほか、プラグインや、フリー数値地図データなどを満載したCD-ROMがついてくる。オンラインでは入手できない、国土地理院の5万分の1(関東甲信越)、20万分の1(全国)地形図のデータも収録されており、お買い得である。

 このソフトで描いた風景CGを収録した本格的な山岳解説本も出版されている。杉本智彦著「超展望の山々」実業之日本社¥1900、日帰り山歩き隊編「極楽山歩ガイド」情報センター出版局¥1700。

 カシミール3Dのホームページはこちら

 カシミール3Dの鳥瞰図作成機能「カシバード」の威力をご紹介しよう。山本が藤沢市科学少年団の夏季活動用の資料として作成したものだ。Web用に解像度を落としてある。

 富士・箱根・丹沢の広域鳥瞰図。それぞれの地形の特徴がよくわかる。

 丹沢湖から大室山方面を望む。少年団の登山コースが赤で記入してある。ルート図や、ルートに沿った標高図も描ける。

 段彩図などもお手のもの、季節・時刻を選んで太陽の方向を変化させることもできる。

 矢倉岳上空から箱根金時山を望む。夕日の滝の見学コースが記入してある。付近に点在する「金太郎の遊び石」は金時山から土石流に乗って流れ下ってきた岩であることが納得できる。

 これらの鳥瞰図は、上記の本のCDだけで作ることができる。

モーメント演示シーソー 喜多さんの発表
 シーソーと共に登場したピカチュウ、ミッフィー、シロクマ(?)。力のモーメントのつりあいの演示教具だ。まずはやじろべえにしてピカチュウの綱渡り。
 
 

 ピカチュウとミッフィーでは、体重が違うので乗る場所を変えないとつり合わない。その昔は解説不要だったこんなことも、原体験が少ない今の高校生には、こうして見せないと実感がわかないのだ。
 

 さて、このシーソーの支点を中央からずらしたらどうだろう。今度は板自身の質量がきいてくるぞ。ミッフィーとシロクマ君でつり合わせることも可能。位置を選べばシロクマ君の一人シーソーも。

 演示はそれぞれ計算通りであることを確認しながら行う。

 これは重心の位置を求める課題での生徒作品。こめかみのあたりが重心になっているので、ここを支えるとどんな向きでも静止する。デザインに慶應生の非凡な才能を見た。
 

テニアン島での金環日食 宮崎さんの紹介
 6/11に太平洋上で起きた金環日食(日本では部分食)を青少年センターの広瀬さん(極超新星の発見で有名)が撮影した。多重撮影で前景の木まで写しこんだ芸術的作品だ。この写真(A4版)を\500で分けてもらえるという。欲しい人は宮崎さんを通じて申し込もう。YPC(横浜物理サークル)例会で清算・手渡しとなる。例会に来られない人は送料実費負担となる。

 宮崎さんのメールアドレスは→ koichi.miyazaki@nifty.com

日食網膜炎 宮崎さんの発表
 太陽を裸眼で見つめることにより、網膜を損傷し、視覚に障害が出る症例が日食の時に多発する。これを「日食網膜炎」といい、眼科医学会誌に報告が寄せられている。宮崎さんは、邦文の論文のいくつかを入手し、その内容を検討した。損傷した網膜の眼底写真なども載っていて、かなり生々しい。太陽定数をもとに、眼底に集中するエネルギー密度を求めた計算例もあった。計算過程はちょっと怪しげだったが、症例報告にとどまらない考察は興味深い。太陽を観察するときは、適切な減光をしなければならないが、障害を起こす光は紫外線や赤外線などの見えない光であるため、「見た目に暗い」だけのフィルターでは危険が伴うことがある。素人判断は禁物だ。
 
 

逆さメガネ 越さんの発表
 台風の中、千葉からわざわざ参加してくれた越さんの発表。プリズム仕掛けで前を向いたまま足もとの方向を見ることができる「ごろねスコープ」という商品に、ポリカミラーを組み合わせて作った「逆さメガネ」。世界の上下が逆転して見える。
 
 

 逆さメガネをかけて積み木遊びをしてみると、手でものをつかむという動作が、いかに視覚をたよりにしているかがよくわかる。しかし、長期間このようなメガネをかけて行う心理学実験によると、視覚と筋肉運動制御の対応関係は学習により矯正可能だという。
 

電どんモーター 越さんの発表
 テレビのブラウン管表面に発生する静電気を電源に、どんぶりの中を黒い導体球が転がる「ムーアのモーター」のお手軽版。電極を正負交互に配置してその間に静電高圧を加える。スパ王のどんぶりがよいという。電気で動くどんぶりのモーターなので「電どんモーター」というわけ。

 ガリレオ工房の「身近な道具で大実験」(大月書店)を参考にしている。

電気アニメ 越さんの発表
 ゾートロープとフランクリンモーターを組み合わせた作品。回転する円筒の外側にアルミ箔の電極がはりつけてある。これをテレビのブラウン管の表面から導いた静電気などで帯電させ、離れたところに放電用電極をおくと、円筒が回転する。電極の裏側にゾートロープの絵を描いておけば、すきまから見える絵が次々と交替するのでアニメションになって見える。

 手で回さなくても回転し続けるのがウリ。


The Moon Clock 車田さんの紹介
 科学未来館の開館1周年を記念して配布されている絵はがき。中央の円形がくりぬけるようになっている。

 現在見えている月の方向に、この円盤上に描かれた月の同じ形を向け、中心の数字から現在時刻を選べばその方向が北をさす。逆に、北の方角がわかっていれば、時刻を知ることができるというもの。日時計ならぬ月時計である。原理的なことを生徒に考えさせれば教材にもなりそうだ。

二次会 
二次会は大型台風6号接近のため中止となった。残念!!あきらめきれないメンバーは日吉駅前を徘徊し、それぞれの夜を過ごしていた。台風は夜半、千葉県富津市に上陸。越さんをはじめ、みんな無事に帰ったかなあ。


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