例会速報 2005/05/22 県立新城高校


前の月の例会例会アルバム目次次の月の例会


YPCホームページ(本館)へすたのページ(別館)へ天神のページ(別館)へ次回例会のご案内


授業研究:物理授業プリント 越さんの発表
 越さんが前任校で物理を担当していたときのプリントのうち、自分なりの工夫を取り入れたもの10枚ほどが配布された。3月に有志で行った授業研究会のお裾分けである。
 ビーダマンを発射装置とし、ビースピで初速を直接測定する水平投射の実験、文化祭で製作した直径8mの熱気球を授業で揚げる実験、ミニビリヤードで2次元の衝突の実験など。遊びの要素を取り入れ、生徒の興味を惹きつけようとしている。力のまとめのプリントについて、「力の言い表し方」などについて意見が交わされた。越さんは、いずれ、授業のビデオも撮ってみたいと言っている。YPCは、「よそ行き」でない普段の授業を報告しあえる貴重な場だ。

モンキーハンティングのコツ 鈴木さんの発表
 「授業でやろうとしてるんだけど、どうもうまくいかないんだ。」鈴木さんは、「モンキーハンティング」の実験について例会で改善意見を求めた。実験室を対角に使って10m以上の距離でダイナミックに行うのだが、標的をつるす電磁石の残留磁気のため、的の落下のタイミングがずれて(落ちないことも)、命中率が低いというのだ。
 実は、鈴木さん自身が92年8月例会で発表しているネタである(ニュース合本Vol.2のニュース19p5)。それによると、89年4月の科教協東京支部研究集会で、東京物理サークルの西岡佑治さんが紹介したものだ。そのときも残留磁気に困っているとコメントしてある。例会の場では、交流の使用やスタンドの固定などの指摘があり、試行錯誤をしたが、芳しくなかった。
 しかし、遅れてきた小沢さんが、自分はブザーの電磁石でやっているが特に問題はない、とコメント。後日、鈴木さんが、記録タイマーの廃品からとった電磁石で試したところ、4回実施して4回命中。見事に当たるようになった。授業でもリベンジして、拍手喝采となったそうだ。めでたしめでたし。
 
 下左は、発射機の筒先。絡めた芯線を弾が突き抜けることで、電磁石の電源を切る。下右はビー玉の弾丸を込めたところ。弾を入れる前に筒をのぞいて標的にねらいをつける。吹き矢のように強く吹くと弾が飛び出して、見事に空中で標的を射止める(写真上右)。
 

放射熱を通すもの・通さないもの 高橋さんの発表
 ガラスは可視光に対しては「透明」だが、放射熱(赤外線)に対しては不透明、つまり、放射熱をほとんど通さない。それでは、他の物質ではどうか、赤外線放射温度計を使って調べてみた。放射温度計は赤外を中心に放射量を測定して温度を推定しているので、赤外線放射計として使えるのだ。
 PET容器、スライドガラス(写真下左)、ポリ袋などはほとんど赤外線を通さない。興味深いのは「岩塩」である(写真下右)。食用に売られていた「モンゴルの岩塩」を「へき開」させて作ったという2mmくらいの板で実験したところ、かなり赤外線を通す。ロウソクのススをつけて光が通らないようにしたものでも、あまり変わらない。
 

 岩塩は、赤外線分光などのサンプルホルダや受光窓に使われることもあるので、赤外線を通すことは知られてるが、高橋さんはこれをなんとか「体感」できないかと考えている。ハロゲンヒーターの前に「岩塩の窓」を作って、手をかざしてみたが、窓が小さいためかほとんど感じることができなかった。もっと大きい窓で試してみたいものだ。

反磁性磁気浮上 車田さんの発表
 車田さんは右近さんがYPCニュースで紹介してくれたことのある、グラファイト(炭素)の反磁性を利用したネオジム磁石の磁気浮揚の水平バージョンの追試に挑戦した。鉛直バージョンは2003年1月の例会で、右近さん自身により披露されている。
 大型フェライトリング磁石の磁力線で「吊る」ような形で小さなネオジム磁石に働く重力を釣り合わせ、反磁性体のグラファイトではさむようにして磁力線方向の安定を作り出す。右近さんが演じてくれた鉛直バージョンでは釣り合いの調節が難しいのに対し、水平バージョンでは両側のフェライトの中間点ぐらいに安定点が容易に見つかるという。支持体にプラスチックのブックエンドを使ったのがスマートだ。
 

  直径5mmのネオジム磁石は、何にも触れずに宙に浮いていて、息を吹きかけるとゆらゆらと揺れ動く。

ダイソーの百円ネオジム磁石決定版 鈴木さんの発表
 ダイソーのマグネットの中で、ネオジム磁石を使っているものがあるのは、YPCでは周知だが、今回鈴木さんが紹介してくれたものは、直径2センチほどの大きなもので、これで百円は極めてお買い得。高橋さんの話によると、1年くらい前から店頭に出ていたという。これは見つけたら買い占めだ!!
 

パワーポイントによる「円形波の干渉」デモ 水上さんの発表
 パワーポイントで提示教材を精力的に作り続けている水上さんは、円形波の干渉の説明用の作品を紹介してくれた。花子で作成したという図版をすばやく切り替えることでアニマーションのような効果を出しているが、任意の場所で止めて解説することもできてなかなか便利だ。プリント教材との組み合わせで効果的な授業をしているという。
 

キュリー夫人 大谷さんの発表
 映画「キュリー夫人」(1943年制作)の紹介。この古い映画はキュリーの娘の著書「キュリー夫人伝」をもとに制作され、当時アカデミー賞8部門にノミネートされたほどの名作。大谷さんは、もうずいぶん昔にテレビで放送されたのを録画していたのだそうだ。
 キュリー夫人は、放射性の新元素ラジウム、ポロニウムを発見し、ノーベル物理学賞・化学賞をダブル受賞した物理学者。映画は、主人公マリーが、夫となるピエール(物理学者)と出会う所から、新元素(ラジウム)発見と苦労しての抽出成功、夫の死等を描いている。写真右は学生時代のマリー。
 見所は、悪条件下、8tの瀝青ウラン鉱から、数gのラジウム(塩)を4年かけて、分離する過程で、誠実な物理学者夫婦の、科学に対する執念がうかがえる。
 MGM社配給。監督:マービン・ルロイ。配役:マリー:グリア・ガースン。ピエール:ウォルター・ピジョン
 

水槽の屈折再考 山本の発表
  水族館の水槽の前で撮影した何気ない一枚の写真。長方形の水槽のコーナーの部分だが、この写真には実にいろいろなものが写り込んでいる。
 透過して見える向こうの景色は屈折のためひどくゆがみ、臨界角付近では「色ずれ」を起こしている。臨界角の境目は虹のアーチのような円になっている。エアレーションの泡は鏡のように反射して対称な位置に写っているが、右下の魚の反射像は見えない。
 どこからどんな光がどんな経路でやってくるのか、レイトレーシングをしてみると面白そうだ。課題研究のテーマにいかが?

スポーツマン 越さんの発表
 千葉県船橋アンデルセン公園(わんぱく王国)で売っていた面白おもちゃ。まずは、磁石と電磁石、サーチコイルを組み合わせ、鉄棒を続けるおもちゃ。振動が大きくなりすぎると足が台に付き、減衰するところがミソ。例会では早速分解が始まった。中身はトランジスタ1個と二重コイルだけの簡単な構造。
 

  これはかつてYPCが買い占めに走ったダイソーの「ミニバランス」。分解して比べてみると回路はもとより、ベースの金型もほとんど同じようだ。ダイソーの方が海賊版?ベース交換をしてもちゃんと動いた。

ファンタジーライト 越さんの発表
  続いて第二弾。ファンに仕込まれたLEDが回転に合わせ点滅し、いろいろな模様(32種類)が見られるミニ扇風機。公園内のコリントゲームの特賞の賞品。「LEDフラッシュ ファン(マトリックスミニファン)」という名前で丸善トーイで販売されている。

マジックツリー 越さんの発表
  最後に、皿に液体を入れ、木を立てると、数時間で色づいた結晶が成長していくオブジェ。尿素水溶液を使用しているのだろう。色素は濾紙でできた木の枝にしみこませてある。製造販売元は富士コスモサイエンス(TEL 0544-58-4847)

 その他にも船橋アンデルセン公園には「ヒコーキおりがみ」、「フライングトルピードー」(ゴムで発射するロケット(魚雷?))など、面白いおもちゃがあったそうだ。(とてもおいしいアイスクリームも・・・。)

二次会 武蔵新城駅前の「上海小吃・大勝」にて
 12人が参加してカンパーイ!今回は河岸を変えて、鈴木さん紹介の小さな中華料理店だ。店は狭いが味はなかなかのもの。何よりも安いのがいい。次もここにしよう。


前の月の例会例会アルバム目次次の月の例会


YPCホームページ(本館)へすたのページ(別館)へ天神のページ(別館)へ次回例会のご案内