例会速報 2006/02/11 県立柏陽高校


前の月の例会例会アルバム目次次の月の例会


YPCホームページ(本館)へすたのページ(別館)へ天神のページ(別館)へ次回例会のご案内


授業研究:電気力線の導入 黒瀬さんの発表
 電気力線の導入について、授業報告が行われた。この授業(高2理系)は2月15日(水)にカリタス学園で公開授業として行われたもので、YPC からも多数の参加者があった。
 電気力線はそのそもなんのために教えるのか、というところから、「場」の概念をいかに生徒につかませるか、という点に議論が発展し、電場の導入方法について活発な意見交換がなされた。
 バンデグラーフは欠かせない演示だとか、電場の導入の前段で磁力線を見せるのがよいが、このごろの生徒は磁石遊びをしてきていないので、高校でもちゃんと見せなければいけないという意見もあった。さらに磁場の演示なら立体的に見せられる教具もあるよという平野さんからの紹介もあった。
 

熱膨張実験器 高橋さんの発表
  アメリカの科学教材通販サイト「4Physics.com(http://www.4physics.com/)」で見つけたという金属棒の線膨張率を測定する実験器具(Demonstration Pyrometer $24.50)。金属棒(鉄、真ちゅう、アルミの3種)が膨張すると棒の先に触れている振り子のような指示器が動いて長さの変化がわかるようになってる。本来は付属のローソクで温めるのだが、時間がかかりそうなので、例会ではちょっと乱暴にトーチバーナーで強制加熱したら多少動いた。作りはチャチだが、鋳物でできていて、レトロ感がちょっとオシャレ。

熱放射実験器(Leslie's Cube) 高橋さんの発表
 これも、上記の通販サイトから入手。金属製の立方体の側面が「光沢黒、つや消し黒、白、金属光沢面」になっていて、中に熱湯を入れて面ごとの放射熱を体感できる器具(Leslie'sCube $10.50)。手をかざすと、金属光沢面とそれ以外とで(放射率の違いで)暖かさが違うことをはっきりと実感できる。2005年4月の例会で高橋さんが披露してくれた自作品と同等。自作すると結構面倒なので希望があれば共同購入するとのこと。
 

水中砂時計 高橋さんの発表
 液体(アルコールと水の混合物)の入った円柱の中に砂時計が入っている(Newton Gravity Glass $16.50)。沈んだ状態からスタートすると砂が落ちながら砂時計が浮かび上がる。説明書によると「砂は落ちるのに、砂時計は浮かぶ」という点が不思議だということで、「素直な」人には面白いかもしれないが、大方の反応は「不思議でも何でもない!」と冷たかった。円柱と砂時計の隙間をもっと狭くして、砂時計の上昇時間を、砂が落ちる時間と同じぐらいしたらいいのに、という改良案も・・・。製品名にはニュートンの名前が入っているが、おそらくニュートン本人には関係ないだろう。


  これはおまけで付いてきた弥次郎兵衛。バランストンボと同じ原理だが、戦闘機というところがアメリカらしい。

米国理科教材会社の紹介 小河原さんの発表
  偏光板クイズに先立ち、小河原さんがクイズの賞品のほか、多数を購入していた教材会社が紹介された。帰国後にも日本からDVDを注文したところ、4日程度で届いたそうだ。気になる送料は$30程度とのことで、何人かで共同購入すれば、カタログとそれほど変わらない値段で買えそうである。

 YPC例会や慶應高校で直接受け取れるなら、小河原さんがとりまとめをしてくれる。

Educational Innovations Inc.のWebページ(http://www.teachersource.com/)

を見て欲しいものがあれば、小河原さんまでご連絡を。

  小河原さんの米国土産、偏光板クイズの賞品を紹介しよう。

 左はWooden Percussion Frog。木魚のような構造の楽器で、バチで頭をなでるとコロコロと蛙の鳴き声のような音を出す。各種サイズあり。コオロギバージョンWooden Percussion Cricket もある。

 下はLil' Suctioner。ドリンクボトルなどにはかまのようにはかせておくと、吸盤のように机などにはりついて転倒しない。横にはスルスル動くが、倒そうとしても倒れない。ちょうど「ゴムピタ君」のイメージ、と言えばYPCではわかりやすいだろうか。飲むときは、ちょっと裾をまくって空気を入れればよい。揺れる乗り物の中などですごく便利だそうだ。

 

 下左はアクリルの管に砂と一緒に入れてある鋼球を、一端から他端まで移動させよというパズル Magic Sand Wand。単純そのものだが未だに解けない。下右はNose Flute すなわち鼻笛。鼻にあてがって鼻息で吹く笛である。

 

 下は、冷やすと色が変わる紙コップ。氷水を入れると青くなるが、手で温めると色が消える。サーモクロミズムの一種か。

 

偏光板クイズand米国土産頒布第2弾 小河原さんの発表
 ニューヨーク州立大学分校の物理教員勉強会で紹介されていた、偏光板のクイズが出題された。2枚の偏光板があり、最初光が透過する方向で重ねられている。そのうちの1枚を上下反転(または左右反転)させ、裏返して重ねると…、なぜか光が透過しなくなる。これはなぜでしょう?
 小河原さんは、いまだ引越し荷物の整理中とのことだが、正解者には先着順で、最近開梱した米国土産(上記)が配られた。第1弾に欠席し、今回もお土産をゲットできなかった方のための、米国土産頒布第3弾はあるのでしょうか?
 

ソーラーフラワー? 加藤さんの発表
 強い光を当てると、喜んで動き回る花?!太陽電池と小型モーターを組み合わせたおもちゃだ。白く塗りつぶしてあるが、中央部にコンデンサーとトランジスタを組み合わせた回路があって、これで間欠動作をさせているようである。サンキストのキャンペーンの景品らしい。
 

2way Mirror 加藤さんの発表
  加藤さんが紹介してくれたのは、アクリル製の半透過鏡(いわゆるマジックミラー)である。薄くアルミ蒸着されていて、光線は半ば通過する。明るい部屋と暗い部屋の境にとりつければ、明るい側からはほぼ鏡に見えるが、暗い側からは透過光がよく見える。向かい合った二人の顔の中間にこの鏡を立て、反射する自分の像と透過する相手の顔が重なるようにしておいて、自分側の照明を次第に暗くすると同時に、相手側の照明を上げれば、モーフィングのような効果を楽しめる。

おもしろ科学たんけん工房紹介 安田さんの発表
  ちょうど例会と同じ日に、同じ柏陽高校で子供達を集めて工作教室「おもしろ科学体験塾」を開いていた団体があった。神奈川の理科教育を考える集いや科教協などでYPCとも交流のある「おもしろ科学たんけん工房」の皆さんだ。代表の安田さんらが例会の会場を訪ねて挨拶してくれた。

 詳しくは「おもしろ科学たんけん工房」のWebページへ。

ロボカップジュニア 三上さんの発表
  3月12日(日)、三上さんの勤務する川崎の「電気の史料館」で、「ロボカップジュニア・神奈川ノード大会」が開かれる。ロボカップは、「2050年までに人間のサッカー世界チャンピオンに勝てるヒューマノイドロボットのサッカーチームを作る。」という壮大な夢をめざして1997年にスタートした世界的なロボット研究プロジェクトである。
 ロボカップジュニアはその教育バージョンで、小学生から高校生まで参加資格がある。サッカー、ダンス、レスキューの3つのチャレンジカテゴリーが用意されている。2005年は大阪で世界大会が開かれた。今年度はドイツのブレーメンが会場になる。
 詳しい情報はロボカップジュニアジャパン関東ブロックのWebページへ。

NASA・ジョンソン宇宙センター(JSC) 大谷さんの発表
 大谷さんは、先ごろ米・テキサス州・ヒューストンへ、観光に行った。例会ではお土産配布と、スライドショーでの説明があった。
 JSCには、「こちらヒューストン」で有名なスペースシャトル等の管制センターがある。観光客は、隣接して建てられた施設「スペース・センター・ヒューストン」で、ビデオや宇宙船、月の石などを見ることになる。また、ここから、JSCの一部の施設を見学できる。特に、ホームページから、「レベル9ツアーズ」を申し込むと、1日12人限定で、専門解説者がついて、訓練用の実物大スペースシャトルや、船外活動訓練用プール等の施設が、特別に見学できる。写真の白い円形のものは、巨大真空試験室のフタ。下の方に小さく写っている人間と比較するとその巨大さがわかる。料金は1人約$70。
 他に、自然科学博物館、動物園等も見学した。Children's Museumには、かなり多くのおもしろ実験が備えてあり、その充実ぶりに驚いたという。
 

電気力線のPPT教材 小沢さんの発表
 冒頭の黒瀬さんの発表と関連の深い実践が小沢さんからも紹介された。小沢さんも磁力線の例示から電気力線にイメージを移す方法で電場の概念を導入している。パワーポイントで教科書の図版をうまく重ねながら、両者の類似性をわかりやすく示す。
 PC+PPT+プロジェクターは、黒板に代わる授業の必須アイテムになりつつあると感じた。

 

電子フラッシャーを作ろう 山本の発表
 藤沢市科学少年団の2月活動・電気工作で、小中学生の団員に作らせたハンダ工作を披露した。回路は「子供の科学」の記事にヒントをいただいた「自動点灯電子フラッシャー」で、CdS光センサにより暗くなると自動的にLEDが点滅を始める。ダイソーのポリ容器にちょうど収まる。
 活動では、ただ作るだけでなく、LED、コンデンサ、抵抗、半固定抵抗、CdSのはたらきを実験により確認しながら進めた。
 

  ジャノメ基板のはんだ付けで、子供でも間違いなくできる方法も工夫した。ポイントは座標記号を使って位置を指示することと、最初に使わないランドを油性ペンで塗りつぶさせることだ。これらの作業を確実にやらせると、かなりエラー率が下がる。

 詳しいテキストはhttp://www2.hamajima.co.jp/~tenjin/labo.htmからダウンロードできる。材料費は300円ぐらいである。

新しい高校物理の教科書 山本の書籍紹介
 2月20日に講談社からブルーバックス「現代人のための高校理科」シリーズ物理編・地学編が発売になった。物理編は15名の著者による共著である。

 デタラメな配列、脈絡のない項目の羅列に堕してしまった物理の新指導要領に一石を投じ、あえて古き良き時代の物理教科書の配列を復活させ、ストーリー性を特に重視して構成した。「これだけは学んでおきたい!」という内容を厳選して、わかりやすく丁寧に解説した現代人のための検定外教科書だ。

第1章 「はかる」ことと「見る」こと
第2章 物体の運動を支配するもの
第3章 変化の中で変わらないもの
第4章 ものは原子でできている
第5章 波うつ世界
第6章 電気と磁気の不思議な関係
第7章 原子の中へ
第8章 現代の物理へ

 詳しくは講談社ブルーバックスのWebページへ。

二次会 「わたみん家」大船店にて
 18名が参加してカンパーイ!JR大船駅は北口改札ができて駅舎が一新された。町並みや人の流れも変わりつつある。そんな大船の居酒屋銀座の一角でYPCは今日も気勢を挙げる。


前の月の例会例会アルバム目次次の月の例会


YPCホームページ(本館)へすたのページ(別館)へ天神のページ(別館)へ次回例会のご案内