例会速報 2006/05/20 県立厚木高校


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授業研究:三年理系物理での「屈折」の授業 水上さんの発表
 水上さんは、どの単元でも実験やシミュレーションによる演示をふんだんに取り入れてパワフルに授業を展開する。今回は「屈折」の授業について発表してもらった。
 水上さんは、水面波も光も同じ「波」であるという視点で教える。プリントで整理しながら以下の流れで授業を展開する。
(1)屈折を演示(水面波と光)
(2)半円プラスティック+光源装置でsini/sinr=一定を測定(演示)
(3)ホイヘンスの原理でsini/sinr=υ1/υ2を説明(相対屈折率)
(4)光では絶対屈折率を用いる
(5)水とプラスチックの相対屈折率(演示,公式)
(6)浮き上がり(演示)
(7)全反射と臨界角(演示)
 

 半円プラスティックは「花子」自作した目盛円板(1°ごとの角度目盛りを刻んだもの)に両面テープで貼り付けて使っている。これをビデオカメラ+テレビで拡大して提示している。さらに、作図や説明の際,自作のパワーポイントファイルを板書代わりとしている。


 水とプラスティックの相対屈折率の演示では、バスクリンで着色した水をシャーレに入れて、半円プラスティックをその中に沈める。使用している光源装置は明るくて見やすいものだった。


 OHPを使った水波投影装置。明るくて見やすい。壁面からの反射波を消すために、人工芝を細く切ったものを周囲に配置している。旧職員の岩本さんのアイデアだそうだ。


導線ばさみ 大谷さんの発表
 厚紙に、「導線」とふりがな付きで、印刷したもの。これに、ワニ口クリップの導線をはさみ、教室や理科室で渡す。(中学2年)。
 普段使わない理科用語や器具が、教科書に出てきて、それがテストに出る。器具などに、名前をつけてやると、けっこう、覚えているようだ。また、中学生には、「ふりがな」もつけておいと方がよい。
 「こんなことぐらい、当然わかっているだろう。」と片付けずに、あらゆる場面に学習の機会を設けるという気配りが大切だ。

肩もみ器と回路 大谷さんの発表
 大谷さんが同僚のA先生から、教えてもらったという。やり方は、生徒たち20人くらいに手をつながせ、両端の生徒それぞれに、電子肩もみ器(低周波治療器)の電極をつけて、電源を入れると、全員がビリビリと手に電撃を感じる。中学2年では、回路や電流のイメージを持つのは難しいが、体で理解できる。最初に、この機器と人の輪での電流の流れを黒板に書いて説明しておき、手をつながないと電流が流れないと説明しながら実験し、理解させる。湿度が高くてもできるので、静電気が起きにくい梅雨時でもOK。
 低周波治療器のしくみと、人体通電実験の安全性については、下記に考察がある。一般に人体通電実験は好ましくないが、低周波治療器はもともとそれを目的に作られているから、パルス電流の上限が抑えられており、少なくともスチロールカップコンデンサーに静電気をためて行う百人おどしよりは安全だといえる。それでも、実験時には心臓疾患を持つ人がいる場合を想定しての危険予告と、自由意志による参加確認を怠らないようにしたい。

低周波治療器の感電特性 http://www2.hamajima.co.jp/~tenjin/labo/lowfreq.htm
理科の実験安全マニュアル(東京書籍)p.79「人体への通電実験」p.82「パルス電撃によるショック」
 


アポロ13号の番組 大谷さんの発表
 1994年放送のTV朝日制作のドキュメンタリー番組の紹介。当時の映像や、本人たちが登場し、24年後の本人達の回想話あり。
 史上3回目の月着陸をめざしたアポロ13号が、地球・月間の3/5まで飛行した所で、酸素タンク損傷という事故にあう。そのために起こった様々な問題を、地上の管制官たちが解決策を見いだしながら、3人の宇宙飛行士を、地球に生還させた実話。映画にもなった。
 この間、宇宙船の打上〜航行〜月周回〜大気圏突入〜着水まで、科学の面から見ても、興味深い映像がある。教材としても使える番組である。

「トリビアの泉」から 加藤竜一さん、越さんの発表

 「トリビアの泉」で「時速100kmで走るトラックの上から、後ろ向きに時速100kmでボールを投げたら、
その場に落ちる。」ということを確かめる、貴重な実験の映像を放映していた。

 実際に、地上に固定したカメラからの映像は、見事に「その場に落ちる」様子を捕らえていた。速度の合成の結果、地面に固定した座標系では、水平方向の速度成分が相殺して、ボールの運動は自由落下になるのだ。見事に映像化したプロダクションに拍手を送りたい。

 尚、地面に落下後、車の進行方向へボールが跳ねながら転がっていったのは、次のような理由がある。実際のピッチャーがストレートボールを投げるときは、肩の真上で中指が最後に離れ、 ボールにバックスピンがかかる。ピッチングマシンでも、上下のローターの回転数を調整し、実際のピッチャーのストレートボールに近い回転をかけるため、ボールが打ち出されたのとは反対の向きに跳ねていったわけである。

 


ソフト紹介 堀内さんの発表
 山梨県総合教育センターの赤池和彦先生が作成されたソフトがWebページで公開されている。赤池先生のご厚意で、多くの方が広く教育活動に利用することの許可をいただいたのでご紹介する。ただし、商目的の利用はご遠慮いただきたいとのこと。ソフト群の内容は以下の通り。

1 円運動・単振動・波、  2 横波をつくってみよう、  3 縦波をつくってみよう、  4 縦波と横波、  5 波の重ね合わせの原理、  6 1/2波長の偶奇数倍、  7 自由端と固定端、  8 弦・管の定常波、  9 定常波、 10 横笛の原理、 11 屈折率と波長など、 12 ホイヘンスの原理、 13 斜め入射とホイヘンスの原理、 14 うなり、 15 ドップラー効果、 16 電子の定常波
 


 ソフトは以下のURLで公開されている。http://www.kai.ed.jp/syoukai/buturikagaku/h17kenkyu/butsuri/index.htm

 


ニセ札判別シート 水野さんの発表
 水野さんは朝日新聞のbe on Sundayの「技あり」の欄で紹介されていた「ニセ札判別シート しま模様が出たら一安心」に注目し、早速電話で問い合わせて購入してみた。5枚セット税込み5000円で、1枚売りはしないようだ。原理はモアレを利用したもので、本物の札ではモアレが現れるが、ニセ札では現れない(ちなみに、商品セットの中にはニセ札見本も入っている)。
 本物の札(1万円、5千円、千円)と500円玉は、細かい線で描かれているが、カラープリンターなどで作ったニセ札は、小さな点を集めて描かれているため、本物のようにクッキリしたモアレ現象は起きない。財布に1枚入れておいて、自分の持っている札を時々見て、真偽を確かめることもできる。ただシートは札より少し大きめ。
 新聞記事によると、サンメディアでは判別精度を高めた新型シートを開発中ということで、将来は、この技術を自動販売機で使えるようにするためのソフトも開発したいとのこと。

サンメディアの電話番号:078-682-3670
URL:http://sun-media.info/



 


中間テストから 平野さんの発表
 〔中間テストの解答の紹介〕
 平野さんが今月実施した中間テストの力の分野の問題に,生徒がどのように解答したかが紹介された。物体にはたらく力を見つけ運動方程式をつくることは,演示実験や問題演習によってある程度のレベルまでは到達できる。しかし,「けったボールがなぜ飛ぶか」を記述問題として出題すると,生徒にとってはとてつもない難問題になってしまう。これを克服するには,普段からの生徒同士の討論と記述の練習が有効であることが報告された。

二次会 本厚木駅前「和民」本厚木店にて
 9名が参加してカンパーイ!年度始めのこの時期は、各校とも忙しいと見えて、参加者が少なかった。多忙に負けず、ガンバロー!


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