例会速報 2009/02/22 県立ひばりが丘高校


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授業研究:玉田泰太郎先生の授業ビデオ DVD視聴による研究
 前回に引き続き故玉田泰太郎さんの授業ビデオを見た。テーマは「混合気体」。玉田さんは児童の前で多くを語らない。問題を提示し、児童全員に考えを書かせ、机間巡視でそれをのぞき込みながら授業を組み立て、対立する意見を選び出して、指名発表により討論させる。最後に決着をつけるための実験を行い、正しい気付きへと導く。先生が最後に「ほんとうはこうなんだ」と言わなくてすむ授業、それが玉田流である。


玉田泰太郎氏の研究からどう学ぶか 滝川さんの解説
 今回はビデオを見たあと、滝川洋二さんに解説していただいた。滝川さんはプレゼンテーションも用意して、玉田授業論を丁寧に解説してくれた。

 その後、疑問点を滝川さんに伺いながら、参加者で議論を進めていった。この授業に対する意見には肯定的なもの、懐疑的なもの様々あり、議論は白熱した。長時間に渡ったこの話し合いに、参加者の、授業を大切にする思いが現れていた。

 前半の授業研究の討論が長時間に及んだので、本日は、一般の発表は見送ることとし、滝川さんが持参してくださった静電気実験(以下)のみをとりあげることとした。


静電気の授業展開 滝川さんの発表
 滝川さんによる静電気の授業展開の紹介。あらゆる「もの」が電気の素を含んでいるということを理解させるのがねらいだ。科学の法則は「普遍性」を持つことがテーマである。

 静電気の授業ではまず、ストロー検電器の定番実験から入り、箔検電器を紹介する。

 次に、マフラーでゴム風船を摩擦し、帯電の結果互いに引き合うことを示す。風船をつるした糸の傾きが力の強さを表現する。

 次に、「物理室の前で拾ってきた石」をこすったら帯電するかどうかを議論する。実験するときは電気が人体を通じて逃げないようにストローなどにくくりつけて絶縁する。箔検電器やストロー検電器に近づけるとちゃんと帯電していることがわかる。何でできているかわからない「普通の石」であることがポイントだ。金属の帯電なども同様にして示す。「固体は何でも帯電するらしい」ことが示される。
 

 次は液体である。水は摩擦すると帯電するか。箔検電器の上に適当な容器を置き、ストローを通じて水を一滴ずつ転がすようにして落とすと、箔がどんどん開いていく。こうして「液体も帯電する」ことが示される。

 では気体はどうだろう。空気も帯電するのだろうか。電気クラゲの実験のようにティッシュで摩擦して開いているスズランテープを片手に持ち、チャッカマンの炎を下の方でともすと、テープはみるみる閉じていく。炎は電離気体(プラズマ)を含むので、逆符号のイオンがテープに吸い寄せられ、テープの電荷を中和してしまったのだ。参加者からは、マイナスイオンヘアドライヤーのほうが身近でわかりやすいのではないかとの声もあった。
 こうして「すべてのものは原子でできている」「すべてのものは帯電する」に論理的にたどり着けるような戦略を模索している。
 

二次会 相鉄さがみ野駅前「養老乃瀧さがみ野店」にて
 14名が参加し、滝川さんを囲んでカンパーイ。今回は特別ゲスト滝川さんの一人舞台だったため、一般発表の時間がなかったが、授業論をめぐる討論が活発にかわされ、充実した例会となった。やはりわれわれは学校の授業という正道を守りつつ、理科教育の立て直しをはからなければいけないのだと思う。


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