例会速報 99/1/13 慶応義塾高校


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 1月例会は、13日(水)に慶応高校で行われました。28名参加。そのうち3名の方が初参加です。天神さんが都合で欠席なので、記録は鈴木が行いました。デジカメは井上さんのものをお借りしました。

楕円書き 喜多さんの紹介

「ソフトビークル」という会社がカタログで学校に各学校に送りつけてきたものを、買ってみたという報告。


写真のようにひもをかけるようになっている支点を2カ所黒板に磁石で固定するだけだが、紐の入れ替えのところがストレスなく書ける。支点2個セットで、2000円。原理と構造がわかれば簡単に自作できそうです。


炭電池とQ=It 喜多さんの発表

おなじみの備長炭電池を演示で使いながら、それを定量的に扱おうという工夫。備長炭電池でしばらく電流を流していると、アルミホイルに細かい穴があく。そのときの質量減少分と実際の電流量を比べようというものです。1mgまで測れる電子天秤と、それを覆うアクリルなどのカバーが必要です。慶応高校はカバーを自作しました。カバーがないと気流でmg単位の数値はすぐに変わってしまいます。



タイマーはパソコンを用いて自作のプログラムで任意の秒数ごとに音で信号を出します。授業中に一人の生徒を指名し、1分くらいごとに信号がなったら記録するように指示します。20分ほど継続して測定。そのあいだ、授業は進めます。(授業を聞きながら記録を取らせる!)そして、20分経過後、アルミを取り外し水洗いして乾燥します。電流値は20分間の平均を取ります。
例会では、20分間で、電流の平均は0.141Aでした。アルミの質量減少分は,0.015g。電流値から計算されるアルミの減少分の予想値は、0.016gです。この精度の実験でこれくらいの結果が出るのは、すばらしいでしょう。


 

自転車の発電機 宮崎さんの発表

身近で使われている自転車の発電機ですが、分解してみたことはありますか。宮崎さんは分解してみていろいろな発見をしました。

この写真のような発電機を分解すると、コイルと磁石が取り出せます。磁石は軸につながっています。

磁石の磁極の様子を磁界観測装置(写真)で見てみると、写真のようになります。(観測装置をOHPで投影し、デジカメで撮影しました。)右は磁石の円周が8等分されて磁極が配分されていることがわかります。左は磁石を横に置いて磁界を見たもの。
このような磁石を回転させて磁束を切ることができるのか。その秘密は、コイルの周りに装着されている鉄の金具にあります。

写真のようにコイルの上下には45度ずつ互い違いになるように鉄の金具がつながっています。磁石が回ると、45度回るごとにNSが入れ替わります。金具の配置は、回転の円周方向でNSが入れ替わるものをコイルの上下方向に変換しています。つまり、軸が1回転する間に8回磁極が入れ替わります。それだけ効率よく磁束の変化を起こさせるという仕掛けです。以前のダイナモにはもちろんこんなしかけはなく、もっと単純だったようです。ダイナモの私たちの知らないところで進化して、使いやすいようになっているようです。モーターや発電機を授業で扱うとき、これを見せて話を展開すると、おもしろいと思います。




β線は曲がるか 喜多さんの発表

5cm四方という特大のネオジム磁石を慶応高校が入手しました。最初、東急ハンズで見つけたのですがそれは5万円。それを「二六製作所」というところに問い合わせると6,500円ということです(同じ製品かどうかはわかりません、5cm四方のネオジムがその値段だと言うことです)。鉄の板に張り付いたら2度と取れないという話です。これを使い、β線が磁界中で曲がるところを、霧箱で見れないかと挑戦しました。ネオジム自体を液体窒素に浸して冷やし、そのまま冷却源とします。結果は・・・・だめでした。霧箱の気流のため軌跡がすぐになびいてしまいます。そのため、まっすぐ飛んでいるのか曲がりながら飛んでいるのかは確認できませんでした。

Ecolog外部センサー 中村理科・渡辺さんの発表

中村の製品「Ecolog」に接続する、外部センサーができたという報告。pHセンサーと温度センサーである。利用法をぜひ考えてくださいとのこと。申し出ればモニターとして一式貸し出すことも可能だと言うことです。


点電球 中村理科・渡辺さんの発表

発光ダイオードではなく、電球で直径1mm程度のものを見つけ、今後発売する予定。1.5Vで、15mAである。わずかな電力でかなりの明るさに光るため、炭電池などの演示に適する。とにかく光っている場所が小さいので、まさに点光源。ハートメガネとの相性が最高だということが例会の場で発見!


高校卒業生の科学リテラシー調査 渡辺さんの資料紹介

東京都の理化学研究会での筑波大学附属駒場高校の横山さんの発表資料紹介。詳しくは、次号のYPCニュースをご覧ください。


和ろうそく 小河原さんの発表

小河原さんが入手した、和ろうそく。さっそく火をつけてみました。
左が普通のろうそくで、右が「和ろうそく」です。「やわらかい光だ」と小河原さんはいいますが、この写真でわかるでしょうか。
ちなみに、和ろうそくを入手するには、インターネットで検索し、製造元を探ればOKです。

簡単に弾ける「バイオリン」 宮崎さんの紹介

宮崎さんが「たのしい授業」で紹介されているのを見て入手した、おもちゃのバイオリン。弦に弓をあてると回路にスイッチが入り、音が鳴るのですが、それが指定した曲の音階の順になって出るのです。つまり、タイミングをうまく取りいかにも弓を引いているようにあてていくと、本当に曲を演奏しているように見えます。これは、実物を見なければおもしろさはわからないでしょう。私も例会前に話を聞いたときは、イメージがわかきませんでした。1,680円という額のものを買う冒険をするのも、勇気がいります。実際に買ってきた宮崎さんに拍手!! これを買って職員室や教室で実演すれば、拍手喝采間違いなしです。

手作りプリズム・バージョンアップ 市江さん

8月例会でみんなで製作した、立体視用のプリズムですが、市江さんが学校に持ち帰って科学部で製作したところ、生徒が制作方法で改善策を見つけました。小河原さんのオリジナルの方法では、横にして固めたのですが、これを写真のように縦にする。これだけのことで、できあがりが格段によくなります。オリジナルバージョンでは両面に張りついているスライドグラスを取ることはできませんでしたが、このやり方だと、スライドグラスを取り去っても表面は見事にきれいです。(写真写りが悪く、申し訳ありません。)

韓国の理科教育 杵島さんの発表

冬休みに韓国旅行に出向いた、杵島さんとすずりょうさん。韓国の理科の教科書を手に入れようとしましたが、季節柄書店には並んでいず、やむを得ず参考書を購入してきました。「天才教育出版」という恐ろしい(!)名前の出版社。内容的には日本によく似ているし、高校は物化生地の4分野に分かれているということも共通しています。ただし、中学は「生物」と「非生物」という分野の分け方です。杵島さんは大学院時代に化石のフィールド調査のため長期間韓国に滞在した経験があり、現地での行動や言葉に不自由はしないそうです。

問題文の読み方 宮崎さんの発表

 例会の直前に行われた県下一斉テストの物理の問題について。他県の方のために補足すると、「県下一斉テスト」は、各教科の部会のテスト委員会という、県教委とはまったく別の団体が作問して、県下の学校を対象に行われるものです。しかし、やるかやらないか、統一問題を採用するかどうかは、すべて各学校に任されていて、実態として統一問題はあまり採用されていません。特に理科は、その問題でやっている学校は少数だと思います。
 その物理の問題で、おかしい設問があるという指摘で、問題の読み方によってはまったく逆の答になってしまうというものです。

二次会 日吉駅「949(kushikyu)」にて 18名参加。 今回は、写真はなしです。


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