2013年12月14日の記録の第2ページです


 飛行機はなぜ飛ぶか? (川田さん  


 これが物理学だ! ウォルター ルーウィン 著, 東江 一紀 (翻訳) ¥ 1,890 株式会社文藝春秋発行 に飛行機はなぜ飛ぶのか という項目があり、興味を持って読むことができました。

 飛行機が飛ぶ理由は、翼の上を通過する空気が下を通過する空気より速く流れるように設計されており、この流速の差によって上側の空気圧が下側より下がることによってベルヌーイ揚力が生まれるからであると書かれた専門書が多く存在します。しかし、これでは 飛行機が上下逆さまに飛ぶことは説明がつきません。なぜなら、逆さまで飛行する場合ベルヌーイ揚力は下を向くからです。
 実際は、飛行機が飛ぶための揚力の実に8割以上が反作用揚力と呼ばれる力であり、反作用揚力は、翼の下側を通過する空気が上向きに曲がるとき発生します。その空気は、翼の前方から後方へ流れ、翼によって下向きに押されます。翼の上向きに生じる、この作用に対する反作用が反作用揚力というわけです。

 よって、逆さま飛行は機首をじゅうぶん上げ、翼を上向きの角度にすることによって、反作用揚力を利用することによって可能となるようです。

 反作用揚力については、詳しくは、C Johnson氏のサイトに論文 How Airplanes Fly "Aerodynamic Lift, Bernoulli Effect, Reaction Lift" を参考にしてください。

  翼の形により、ベルヌーイ揚力が生じますが、それだけでは十分ではありません。   逆さ飛行は高度な技術を必要とします。


 共鳴箱 (川田さん)  

 様々な共鳴板の例を見せてくれました。ギターを鳴らすとき、弦だけでは音が非常に小さいこと、共鳴音叉の箱を取ると共鳴するものがなくなり音が響かないことはよく知られています。 オルゴールの場合はどうでしょうか?

 プラスチックの容器から出すとオルゴールの音は、例会会場では全くと言っていいほど聞こえませんでした。しかし、これを木板の上に置いてみると、はっきりと音色が聞こえます。

 ちなみにオルゴールは100円ショップで300円ほどで買ったものだそうです。
 ギターではボディと呼ばれる木の箱が共鳴箱となりますが
 オルゴールの場合は...  木の板の置くと、音が大きくなるのがはっきり分かります。
 続いて、静岡の加藤さんから教わったスピーカーをつないだスピーカー電話の紹介です。糸電話は、音の振動を糸の振動に変え、再び音の振動に変換しますが、スピーカー電話は音の振動を電気信号に変え、再び音の振動に変換します。

 この場合も、プラスチックコップなど共鳴するものを取り付けると、音が大きくなります。

 スピーカー電話は、糸電話と見かけは変わりません(?)が、力学的な振動ではないので、途中のコードに触れても音が伝わるのが面白いところでしょうか!?
 この場合はプラスチックコップが共鳴箱として働きます。


 偏光センサー (川田さん)  
 一枚の偏光板から頂角15°の2等辺三角形24枚を切り取り、円を描くようにガラス板に張り合わせると、「偏光センサー」をつくることができます。(右図参照)

 

 この偏光板と偏光センサーを通った光は、下の写真のように見えます。  
 偏光センサーを通してみるとこのように見えますが。
 さらに、偏光板と偏光センサーの間にトラペンシートを入れると、直線偏光が円偏光に変わることが分かります。トラペンシートは1/4波長板(波長の四分の1の奇数倍の複屈折物質)であるため、です。

   
 さらに1/4波長板を間に入れてみると...


 バルサ材でブーメラン (児島さん

 老若男女問わず人気のあるブーメラン。古代から狩猟道具として使われていたといわれるブーメランですが、自分の手で投げたものを再びキャッチしたときの感動といったらありません。

  児島さんは気軽に誰でも高性能なブーメランで遊んでもらうため、安価で簡単に作れるよう改良を試みました。使用するものは、バルサ材(20×200)2枚、10o幅の両面テープ、硬質で平らなプラスチック(20×20)4枚のみです。 工夫したところは、フラップを硬質プラスチックを15°ほど折り曲げることにより、作ったことです。
 詳しくは、児島さんのサイトまで  
     安価で簡単に作れます。
  利き手の側に切り込みを入れ、折ります。   そこにプラスチックを貼るだけです。15°ほどの角度に調整します。


 福島見聞録 (井階さん  
 例会でも継続的に原発の問題について発表されてきた井階さん。11月2日、3日の週末を使い、福島第1原発付近の現状について、 見学に行かれた報告です。

 旅行行程の概要は、1日目は郡山からタクシーをチャーターし、可能な限り福島第1原発に近づき、2日目はバスで諸戸海岸まで行くというものでした。
 福島駅でも放射線量は桁1つ大きな値です。
 1日目福島駅に着くと公共の場に線量計が置かれ、その値は0.343μSvを示していました。この値でも名古屋の約9倍ほどになります。

   阿武隈川河畔での反原発集会には、すごい数の人が参加しており、大型トラックの運転手も多数参加し、汚染土の運搬に対する抗議がありました。
 
 反原発集会には、大型ダンプが...
 2日目は、現地の教員の方がボランティアでガイドをしてもらいながら、バスで福島第1原発に近づきました。


 飯舘村に入ると、現在使われていない学校は雑草が伸び、校庭の脇にはあの時から時間が止まったことを感じさせるようなビニールの剥げ落ちたハウスが何かを語りかけているようでした。

 また、村内は放射線量が非常に高く、学校の線量計は1.5μSv、線量が高くなりやすい雨樋では2.9μSvもありました。もちろん、田畑も放射線量が高く、放置されているようでした。 しかし、老人ホームには今も高齢者が通っています。
 飯舘村付近は大変な状況でした。
 その後、海側へ向かいました。途中、仮設住宅を見学しましたが、仕切りが薄く隣の声も筒抜けのため、被災者はプライバシーがない生活を長期間を強いられているとの事です。また、瓦礫も置き場なく、 所々に積んでありました。
 南相馬市そして浪江町へと進んでいく道中では、ボランティア活動をされている方がいる一方、津波の被害を受けたままの店舗や放置されたままの車、草が覆い茂ってしまった浪江駅などが目に飛び込んできました。
 さらに進むと、福島第一原発が海越しに見えました。

 道中では、理不尽なこともたくさん聞きました。除染作業では、民家の除染した土は、その土地内に積むだけであること、立ち入り制限区域等へのゲートには警察の車両があったが、働いているのは警備会社の若い社員であることなど、 こんな非常事態でさえ、利権が優先されるのでしょうか?
 ここにある物は時間が止まったままです。
  また、東京電力(実質、大半が税金)からの賠償金により、農林水産業など慎ましい生活を送ってきた家庭にとってはこれまで以上の収入がありますが、仕事はなく、パチンコ屋は地元の大人で繁盛しているそうです。 現場の教員の方の話では、授業参観のたびに保護者の外見が派手になりつつあり、避難先の中学に通う生徒達の間には望まない妊娠が起こり、病院が閉鎖され中絶もできず、出産する例が増えているとのことでした。

 原発事故は、物質的な被害をもたらすだけでなく、人々の心を蝕んでいくようです。
 福島第1原発が遠くに見えました。深刻な事態は今も続いています。


 テスラコイル (市川さん  
 市川さんから自作テスラコイルの紹介がありました。

皆の注目が集まる中、スイッチを入れ、テスラコイルによる放電が見られたと思った瞬間、残念ながら過電流により電源装置が壊れてしまいました。

  1次コイルと2次コイルがともにコンパクトなのは魅力的です。この形状は他の物にも利用できそうですね。
  貴重なスパークの瞬間!
  簡単な構造です。   毎日の日課として巻き続けたコイル。



 高校生による自作赤道儀の製作 (伊藤政さん  

 向陽高校科学部の女子部員達の赤道儀の製作についての紹介がありました。赤道儀とは、日周運動で動く天体の動きに合わせて星を追尾できるようにした、天体専用の架台のことです。

  実際に望遠鏡をのぞくとわかりますが、望遠鏡を固定していると、星はゆっくり動いていき、ほんの数分で視界の外にズレて見えなくなります。
 その問題を解決し、星の写真を点像で写したいということで研究は始まったそうです。

 10秒ごとに試作機を操作したところ、星をほぼ点像として撮影することができました。
 これがまず最初に作った試作機です。
 より精度を上げるため、角度調整にはバイク用のジャッキと自作の円定規を用意し、赤道儀を回す速度を決めました。
 合成焦点距離との関係から、0.13秒に約0.3°回す必要があることが分かったので、 手動方式の限界を考慮し、1.3秒あたり赤道儀のハンドルを約3°ずつ回すことに決めました。
 ドブソニアンを乗せた赤道儀には、この方法を用いて撮影条件のいい合宿先で撮影を行いましたが上手く点像にならなかったものも多くありました。
 原因として考えられる@ドブソニアンの重さにより、ボールキャスターとの接触点で 合板が凹んだことA風の影響B手動での操作の限界 などが考えられたため、@に対しては合板の上にアルミ板を取り付け、ABに関しては、根本的な解決が難しいため、画像処理ソフトでコンポジット処理を行うことにしました。 
 バイク用のジャッキは鉛直方向にのみ動き、安定感があります。凹みを防ぐためのアルミ板も確認できますね。
 角速度を一定値に近づけるため、角度を測る定規も作りました。  この写真は点像として写っていますが...
   これらの対策を施し、月の方面を撮影しました。赤道儀を使わない静止画に比べ、自作の赤道儀を使ったコンポジット処理済みの画像はかなり鮮明になりました。

ただ、目標としていたものに比べるとまだまだ課題もあるので、現在、高校2年生の生徒たちはさらに改良を重ねていくとのことです。
 試作機と改良機が生徒達の成長を物語っています。

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