全国私立大学教職課程研究連絡協議会 2011年度 教職課程運営に関する研究交流集会
シンポジウム「教育は災害にどう向き合うか―教職課程はどのようにかかわれるのか―」


 本シンポジウムでは,次のような研究交流が実施された。
 東日本大震災から半年以上が経過したが,教育復興の課題は山積みのままである。東北地域の私立大学の教職課程においては,学生状況の把握,授業の再開といった事ばかりでなく,教育実習,教員採用等,教育現場とのかかわりが大きな課題となった。しかし,教育復興に関するマスコミの報道では,教育者の立場からの内容は少なく,まして教員養成や私立大学教職課程がどうかかわるかといった問題は見えにくい状況にある。
そこで,本シンポジウムでは,以下3つの講演が行われた。

1.「3.11以降 東北の大学の現状」
  教職課程を持つ私立大学がどの様な状況であり,どの様な問題があるのか
                               東北学院大学教職課程センター所長で教養部人間科学科
                                                     准教授 八幡恵先生
2.「宮城の教育の復興に向けて」
  教育現場はどのような状況であり,教職課程を持つ大学の教職員や学生がどうかかわれるのか
                                           宮城県教育委員会次長 高橋仁先生
3.「教育の復興から創造へ」
  阪神・淡路大震災の教育復興の事例より,今後の教育復興と私立大学教職課程がどうかかわれるかを探る。
                                   神戸市教育委員会総合教育センター 森本純夫先生

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 科学教育研究科 川村研究室を3.11後の3月に卒業し,宮城県仙台市で4月から理科教師として教員生活をスタートした学生がいます。勤務開始直後の4月の冒頭に余震が来て,せっかく校内の整理が少し進んだのに,余震でまた混乱し,その状況を写真で送ってきてくれていました。教師として頑張ってくれていることとともに,教師としての気概を感じさせてくれました。
 
 阪神・淡路大震災の教育復興の事例をお話しいただいた森本先生は,すでに校長先生をご定年で退職され,その後,嘱託として神戸市教育委員会総合センターにおられるとのことで,阪神・淡路大震災のときに管理職だった先生は,もうほとんどの先生が70歳代で嘱託も終わられ,震災後の教育を管理職として経験された先生は,教育現場にはもうほとんどおられないとのことでした。そして,その頃の中学生はいまや32歳前後になっておられるという話に時の流れを感じました。
 理科教育でも防災教育を学習内容に取り入れるようにとのことですが,深い問題だと改めて実感した次第です。