第十五回 授業の達人  まとめ

「授業の達人たちに学ぶ生徒を引きつける授業の行い方」

各回の「授業の達人セミナー」の内容をまとめ、達人として招かれた人々に共通する項目を、以下にいくつか挙げます。

  1.同じ教材でも、紹介の仕方を工夫する。
  ボウリングの球を持ち上げる実験は月僧氏、長嶋氏、スプーン曲げは海老崎氏、月僧氏、村田氏、減圧器の実験は海老崎氏、長嶋氏、大気圧の実験は月僧氏、長島氏、というように一つの教材を複数の人が行っているものがありました。達人たちの中には、同じ教材でも見せ方をこだわっている人たちがいて、それぞれに良い点があるようです。
  2.情報を共有する。
  半分以上の人が、自分の所属する団体などを紹介してくださいました。一人で授業で使う全ての教材を開発するのは難しいことなので、理科サークルや、学会などで、情報のやりとりを行っているようです。また、本や博物館から情報を得ている達人もいました。
  3.予想させる。
  どうなると思うか考える時間を与え、深い理解を得させようとする達人が多くいました。
  4.普段の授業を大切にする。
  サイエンスショーなどで、全国を飛び回る人が多い中で、授業を大切にしている、と発言したり、授業の内容の工夫を話す達人から、授業を重視していることが感じ取れます。
  5.理科室を大切にする。
  理科室経営の大変さや、理科室の重要性について話す達人もいて、実験や理科室という場所をとても大切にしていることが分かります。
  6.日常知と学校知を融合させようとする。
  学校で学習したことと、日常体験したことが離れてしまうことが教育での問題点の一つで、達人たちは、体験させることによって、この二つの知識の間にある溝をなくすように努めているようです。これを繋ぐことこそが教師の役割である、と述べる達人もいました。
  7.身近なものを用いる。
  出来合いの実験器具ではなく、100円ショップなどで購入したものを使い、生徒の身近なものとして実験を行う達人もいました。また、身近なものを使うことによって、生徒たちが家に帰って自分でもう一度やってみる、ということもあるそうです。
  8.既成概念を取り払う。
  生徒が知らないようなものを見せ、驚きを与え、生徒の関心を引きつけるような工夫がなされていました。
  9.生徒から学ぶ。学び続ける。
  多くの達人に共通することで、現状に満足せず、さらに上を目指して努力し続ける姿勢がありました。これが達人が達人と呼ばれる大きな所以であろうと思います。


以上のことが、達人たちの授業に共通しているようです。

授業の達人セミナーを受講された方々は、それぞれがこれ以上のことを学び取れたことと思います。
  その内容を、授業の達人セミナーを受講できなかった人に少しでも伝えられればと思い、このサイトを作りました。
  教師になるにあたって、授業を行うにあたって、このサイトを見て、何か参考になったことがあれば幸いです。

お忙しい中、わざわざ東京理科大学まで足を運び、有意義な講義をしてくださった達人の方々、また、このサイトを作る中でお世話になったたくさんの方々に、感謝の意を表します。