サイエンスEネット(Seience E-Net)第1回例会報告

                                                   5月27日土曜日
第1回,例会,無事盛会におえることができました。

 とくに,例会中に,世界でもきっと初めてではないかと思えるような実験が開発されたことは,我々の能力の高さ(うぬぼれですね)を,確信してもよいのではと思えました。
 今回は,物理や地学ネタが多かったですが,次回からは化学,生物分野の発表もお願いします。

参加者(以下敬称略):菅留美子,山田俊彦,小竹知紀,泉谷明,松森弘治,東郷伸也,萬處展正,小川雅史,森孝敬,川村康文 以上10人

   
* * * * 当 日 の プ ロ グ ラ ム* * * *

1.くだもの色素で太陽電池

京都教育大学附属高校・川村 康文・西野田電工(Yasufumi Kawamura)
 大阪大学教授の柳田祥三先生が,テレビ朝日の「素敵な宇宙船地球号」のなかで,紹介されたものです。一視聴者の川村が,早速,柳田先生にその原理を説明してほしいとお願いしたところ,好意的な先生で,5月30日の京都理化学協会総会でも講演をしてくださるとのことになりました。また,「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作」にも,執筆頂きました。
 その,くだもの色素でできる太陽電池のオランダ製キットを,西野田電工の菅社長から,2種類紹介頂きました。1つはデモンストレーションキット,もう1つはスクールキットでした。いずれも,
http://www.nisinoda-electronics.co.jp のホームページから購入できます。
 当日は,この太陽電池を参加者に1個ずつ提供頂きました。ありがとうございました。

   「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作」(かもがわ出版)に入っています。

2.(1)空中で,蛍光灯をともそう
      →  水槽のなかで「ともる蛍光灯」全反射の実験

:小川 雅史(Masashi Ogawa
 空中で光る蛍光灯は,以前、本(電子工作入門 橋本文夫著 廣済堂)を参考にして作成した器具です。真空管を用いて、高周波(1000MHz)を発生させる装置です。普段の授業では、コイルとコンデンサーの発信回路の演示器具として活用しています。空中で、見事に30cm程度の蛍光灯が光ります。しかし、かなり強い電磁波が出ている可能性もあり、長時間の使用や、その防護を考えています。実際にどの程度の電磁波が出ているのか、一度調べる必要があります。その方法などを、この例会でご教示いただきました。
 今回は、この空中でともる蛍光灯を水槽に入れ、水を張っていくと、見事に全反射が観測されました。水中に光る蛍光灯を入れるのは、電源のシールドの関係でなかなか難しいですが、この方法を用いると、簡単にできます。更に光る蛍光灯を、電源が不要であることから、普通は蛍光灯がともらない場所での活用を考え、普通は目に見えない現象なども見てみたいと思っています。このような、アイデアやきっかけを今回の例会で与えていただき、感謝しています。

(2)地磁気発電:小川雅史(Masashi Ogawa)
 これは、いきいきわくわく物理等でも紹介されているオーソドックスな実験です。導線を回転させて、電磁誘導によって、発電をします。今回は、回転をささずに、南北の地磁気を切るだけでも、電流が流れ、しかも、東西に切るときとその電流値に大きな差が出ることが確かめられました。また、回転速度やコイルの巻き数などによる変化も見ることができました。今後、物理
Uの授業で活用していけると思います。
 当日,線を自由落下させるだけでも,鉛直に上昇させるだけでも発電することも確認できました。

 

3.(1)大型はく検電器:萬處  展正 (Nobu Mandokoro)
 これはすでにサイエンスEネットのホームページに紹介して頂いてますし、1ヵ月後に発刊される親子実験工作本にもあります。あいにくの雨でしたが、エアコンのきいた室内であったことから、まずまずの結果でした。塩ビパイプとティッシュペーパーで静電気を発生させたのも良かったかもしれません。教室での演示効果の高さも確認できました。「今後さらに大きいものも」という声も聞こえました。

   「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作」(かもがわ出版)に入っています。

(2)乾電池ホルダー:萬處  展正 (Nobu Mandokoro)
単2と単3の乾電池を使った実験を家庭でするために作りました。電池の直列・並列接続をはじめ、豆電球の直列・並列接続による明るさ比べ、フレミングの左手法則、右ネジの法則などの実験が可能になります。単2ではコダックのフィルムケースに限る点が少々難点です。単3では比較的入手しやすいフィルムケースですので、単3に絞って
親子実験工作本第2集の原稿を書きたいと思います。

4.プラ板で犬笛: 東郷 伸也 (Shinya Tohgoh)
オーストラリアやニュージーランドで使われているシェパードホイッスルという種類
の犬笛をプラ板工作で作る方法を紹介しました。ハサミと穴あけパンチとオーブントースターがあれば誰でも比較的簡単に作ることができます。でも音がなるように吹くのが難しく,ちなみに私も数日練習してやっと鳴るようになりました。鳥羽高校の谷先生の作られた周波数分析のソフトで,2万ヘルツ以上の音も少し出ていることが確認されています。

   「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作」(かもがわ出版)に入っています。

5.偏光のふしぎ(第5回青少年のための科学の祭典京都大会で紹介予定)
  : 松森 弘治 (Koji Matsumori)

 偏光板を使って鉱物の薄片標本の観察をOHP上で投影しました。
標本例:ダンかんらん岩
,スライドグラスにセロハンテープを何層かにはったものを簡易偏光シートではさんで観察。
 スライドグラスにセロハンテープを何層かにはったものの場合,その厚みによって色が変わります。観察には
簡易偏光シートをスライドフィルム用のマウントにはさんだ物を使います。

   「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作」(かもがわ出版)に入っています。

6.紫外線のふしぎ:川村康文(Yasufumi Kawamura
(1)誰にでもわかるブラックライト:川村康文(
Yasufumi Kawamura

 よく,ブラックライトを持ってきてごらんと言ったときに,「わかりません」という返事を聞きますので,「写真のように,蛍光灯スタンドをスプレーで真っ黒にぬりました」(
写真,参照)。これで,だれにでも,ブラックライトを持ってきてもらえるのでは,と考えています。

(2)ふしぎの花びら:川村康文(Yasufumi Kawamura)
 これは,本年度の科学技術振興事業団の第4回サイエンス展示・実験アイデアコンテスト奨励賞を受賞しました。紫外線のもとで,
鮮やかな蛍光を発色して,プランクトンのように形態を変化させました。

   「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作」(かもがわ出版)に入っています。

(3)ふしぎの花びら2:川村康文(Yasufumi Kawamura)
 2枚の偏光板のあいだに透明型ふしぎの花びらをはさみ,偏光板を回転させます。すると,とてもきれいなサイエンス・アートの世界が広がりました(松森先生に感謝です)。
 いわゆる,プレパラートなどに,セロハンテープを貼ると,きれいに色づく様子をみることができます。今回は,透明型ふしぎの花びらをセロテープで張り合わせて製作していましたので,これに張ったセロテープの色の変化を楽しんだわけです。とっても,きれいでした。

(4)ハンディブラックライト暗箱:川村康文(Yasufumi Kawamura)
 これは,運動所や明るい教室でも,ブラックライトからの紫外線によって発する蛍光を観測できるようにしたものです。白色光のもとでは,白にしかみえない蛍光発色シートや無色蛍光ペンを利用して,「
I Love You 」などと書いた葉書などを,この暗箱に入れて見ると,ドキドキです。

     「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作」(かもがわ出版)に入っています。


参加者の感想

菅 (
Rumiko Suga
:先生方の熱心に実験されている姿に,感動を覚えました。今日は,とても楽しかったです。

残った疑問:
 2.(1)の小川先生提案の空中や水中で蛍光灯をともそうの際の,高周波発生器ですが,これが,人体に対して,どの程度の電磁波障害をもたらすのかについて議論されましたが,当日だけでは,議論が十分にできず,理論的説明が課題として残りました。
これについて,意見やアドバイスのある方は,是非,サイエンスEネットML上で,ご議論頂けますようにお願い申し上げます。また,サイエンスEネットの会員でない方は,松森弘治(PAF02635@nifty.ne.jp)まで,是非,ご意見・アドバイスをお願い申し上げます。