サイエンスEネット 第17回例会

【参加者】松井,赤路,牧,北村,松森,川村,桜井,長濱,大見,樋口
【日時】2003年3月8日 午後3:00〜


プログラム

1.電気雑談 (桜井)
2.アザランってほんとに銀(金属)?? (松井)
3.学校教育及び社会教育におけるエネルギー・環境教育 (川村)
4.さいわい財団・アジレント社実験教室について (北村)

  参加者の感想


電気雑談 (桜井)

 物理教室の隅で眠っていた手回し発電機を見つけました。川村先生によると昭和40年頃のものらしい、ということでした。昭和40年(1965)といえば私がまだ40才になる前、今日おいでの皆さんはたぶん赤ちゃんか幼稚園の頃です。
 かなりくたびれていたこの発電機をオーバーホールしました。立派に発電します。この発電機は電機子が交換でき、三相交流、単相交流、直流の三種類が取り出せます。
 テスト用に電球がついていますが、これは100V用のソケットで、実は6Vの電球です。長い期間中、この電球を100Vのソケットに差し込んでみようという好奇心の持ち主がいなかったのか、奇跡的に入れずにいたようです。
 この発電機はハードウエアの固まりみたいなものですが、そのおかげで40年後のこんにち、まだ健在です。今の最新機器やシステムは40年後どうなっているでしょうか。



. アラザンってほんとに銀(金属)??

松森先生へ
テスター貸して頂きありがとうございました。
ほんとは例会発表するつもりなどなく、自分でこっそり豆電球が光るのかを確かめてみようと思ってました。がいざテスターを借りてもどう使うのかもわからず、報告者が聞いてくださっている方に質問するという報告です^^;

左巻先生・科学コラムをを書かれた先生、内容について批判してるのではないですから許してくださいね。

本に書いてある2箇所のところに興味が湧き確かめることにしました。

1.豆電球がつくかどうかで調べる簡単なテスターで『アラザンをはさむ』と豆電球が光ります。


クリップで挟まれているストローの中を良く見ると“銀の粒”が見えてますよね。その一粒一粒が甘〜い味のアラザンです。
現物いつかお会いする時にでも見てくださいね。意外と、目にされた事ある物なんでよ。


2.(中身の溶けた)銀色のからを『ある手段』で調べたら銀。

2については、前日に運営MLにて左巻先生より教えていただきました。『中身を熱湯に溶かして、残ったからを少量の濃硝酸に溶かしてから希塩酸あるいは食塩水を入れて白色沈殿で「銀」と同定できます。』ということで、『濃硝酸かしてほしい』と長濱さんに尋ねたら、扱い注意だけど良い?と聞かれ、怖くなりましたので止めました^^;

私自身は、確かめる事が出来なかったけど、参加されていた人は『そうだろうね〜』と仰っていたので間違いなく銀だろうと言う事で納得してます。

1については、見ている方も呆れたと思いますが、あの小さな粒ひとつで豆電球がつくと思っていたのです。
 お借りしたテスターでまず金属かどうか確かめました。ひとつの粒では反応しないので、入っている袋にテスターの先を入れて抵抗を確認しました。さて問題の『豆電球が光る』ですが、試してみるのですがなかなか上手く行かず見るに見かねて、桜井さんが助けてくださり、いろんな材料を使って、豆電球がつきました。どんな感じに工夫をしたかは、松森先生が写真を撮ってくださったのでもうすぐ萬處さんがHPに写真を載せてくれますので見てください。
 でも何を使ったか書いておきます。ストロー・アルミホイルです。
 
アラザンを使ってお菓子作りをしたときに、残ったアラザンが金属なのか簡単に出来そうな実験キッドですよ。美味しさと不思議と面白さの三拍子ですね!!

小さな一粒もたくさん集まりお互いに助け合っていけば大きな力になるのですね〜。小さな一粒でも金属ということがわかりました。皆さん、お世話になりました。ありがとうございました。


.学校教育及び社会教育におけるエネルギー・環境教育のあり方 (川村)
論文の発表です。

目的
 エネルギー・環境問題は,人類が避けて通ることのできない最重要課題であり,もはや時間的猶予が許されない状況にある。それへの対処は多方面から行われるべきであるが,とりわけ次世代へのエネルギー・環境教育は重要である。この場合,専門家の養成と同時に,市民への教養としての教育の両面を充実させることが重要である。このような考え方を実践する教育にSTS教育がある。STSとは,Science, Technology & Societyを約めた表現で,科学・技術に関するいろいろな側面を社会との関わりの中で捉えていくというものである。
 21世紀をむかえ,小・中・高校の学校教育においては,ようやく,エネルギー・環境教育を統一的に扱える教育環境がそろった。小・中・高校の各段階の総合的な学習の時間における授業が始まったからである。この授業では,学校内部の教師だけで授業を構成するのではなく,学校外部の有識者との連携が可能となった。つまり,学校教育の中に社会教育が参入することが可能となり,また学校が外部の研究機関に積極的働きかけ,学習指導要領にとらわれない新しい授業の試みがゆるされる。高大連携の授業や,社会教育との連携の授業が行える環境がそろったといえる。これまでも,児童・生徒へのエネルギー・環境教育の必要性は強く求められてきたが,具体的な方法論の提案とそれに基づいた実践,および効果的な教材の開発は十分ではなかったといえよう。本研究は,学校教育及び社会教育におけるエネルギー・環境教育のあり方を提案し,それに基づいたプログラムたて,実践を通してその効果を明らかにすることである。


方法
 本研究テーマを提案するため,以下のように1つ1つの個別の研究を積み重ねるという研究を行ってきた。
 最初に第2章では,学校教育におけるエネルギー・環境学習の科学的知識の側面をになう理科学習の実態を調査し,あわせて第3章では,青少年の科学観と環境意識を調査し,日本の青少年のエネルギー・環境問題に対するもの見方や態度を明らかにした。この結果をふまえて,第4章では,そのようなものの見方や態度を改善することが可能な教育方法論を模索し,第5章では,その教育方法論に則った教育プログラムの教育実践をいろいろな形態で試行した。児童・生徒への実験教室を社会教育の側からや,学校教育における総合的な学習の時間の側から行った(第5章第1,2,3節)。また,国際交流の視点から実践(第5章4節)や将来科学者になりたい高校生のための教育実践(第5章5節)という形で,種々の教育実践の試行を行った。その結果,十分に教育効果を上げることが可能な実験教材や,学校教育への社会教育からの支援方法が明らかになった。これらのいくつも方法を,適切な連携を保って行い続けていくことが,これからの教育の現場で求められるエネルギー・環境教育の方法論であるといえると考える。
 
結論
 日本の学校理科の学習の実態は,小学生では,理科嫌いというよりも理科好きであるといえる。しかし小学校の高学年で,物理領域の学習において嫌いとする傾向がみられはじめていた。中学生では,物理嫌いが深刻であった。高等学校では,物理嫌い・物理離れは,きわめて深刻であった。エネルギー概念の獲得において,高等学校の物理学習は必須であると考えられるが,京都府下の6つの高等学校における約2200人の高校生の中で,物理TBおよび物理Uの選択者数の割合は,わずかに約12%にすぎなかった。しかもこの12%の高校生においても,物理の学習内容の理解に自信をもっているかどうかの質問に対しては,物理Uの学習においてはほとんど理解できていないと回答していた。
 以上から,学校の理科学習は,特に中学校の物理領域の学習以降高等学校での物理学習は,ほとんどうまく機能しているとは言い難い状況にあった。
 わが国の青少年の科学観は,アンケート調査に基づく因子分析の結果,主要4因子「科学技術の有用性の否定」,「科学離れ」,「科学技術至上主義」, 「科学技術懐疑主義」で構成されることがわかった。「科学技術の有用性」を否定してはいないが,女子では高校生理科系以外のすべてで「科学離れ」がみられ,男子では非理科系に「科学離れ」がみられた。非理科系では加齢とともに「科学離れ」が進む可能性が示唆された。彼らは,開発優先の論理のもとに繰り広げられた環境破壊を目の当たりにみながら成長してきたので,いきすぎた科学技術の信奉観はもたず,「科学技術至上主義」ではなく,「科学技術への懐疑」観をもつようになったといえる。
 また青少年の環境意識は,同様な調査・分析の結果,主要5因子「人類による環境問題生起観」,「省エネ・省資源行動」,「地球環境問題解決活動の実践」,「ゴミ問題への関心」,「環境教育の有用感」で構成されることがわかった。これら5つの環境意識のすべてで,女子の方が男子よりも意識が高かった。「人類による環境問題生起観」と「ゴミ問題への関心」は,加齢しても環境意識の変化はみられなかった。「省エネ・省資源行動」は,小学生の頃,高い意識を持っていたのが中学生になって低下し,高校生では,小学生の環境意識とは変わりがないが,中学生の環境意識とも同じ程度であった。「地球環境問題解決活動の実践」と「環境教育の有用感」は,男女ともに小学生の頃高かったのが中学生で低下がみられ,高校生となっても小学生よりも低い水準で停滞した。
 これらをふまえて,「学校教育と社会教育が連携して行うエネルギー・環境教育の方法論」の提案を行った。実践の事例としては,科学技術振興事業団のサイエンス・レンジャー活動や,地元の環境NGO,科学実験サークルなどの活動主体と,学校や学校PTAが連携して行った「いきいきサタデー教室」などである。これらの活動主体は,学校教育の場でも実施可能な教材を自主的に開発し,これらの教材を直接的には,小学校の児童や中学校の生徒に教育を行うことにより,また間接的には学校の教師に伝達講習を行うことにより社会教育と学校教育をつなぐ活動を行った。このような方法論をとることにより,エネルギー・環境教育が,学校教育と社会教育の連携によって行われるようになり,エネルギー・環境教育の教材も開発が進んできた・具体的には,「色素増感太陽電池」,「サボニウス型風車風力発電機」,「温室効果ガスによる地球温暖化デモンストレーション実験器」,「エアロゾルによる地球温暖化・冷却化デモンストレーション実験器」,「省エネ電球の科学」,「紫外線の実験」,「酸性雨の実験」,「温室効果実験」,「燃料電池実験」や実習教材として「環境保護ソング」などの実験・実習教材を開発した。また,これらの教材は,国内ではスーパーサイエンスハイスクールにおける新設科目「科学技術」の授業での教材として,一方,国際交流としてカンボジアでの科学実験教室での教材として利用した。
 以上,エネルギー・環境教育の実践を,次に示すように多様な形態で試みた。学校教育における理科や総合的な学習の時間での実践,社会教育での実践,また国際交流としての実践,スーパーサイエンスハイスクールとしての実践というようにである。いずれの場合にも,高い学習効果が認められた。このような教育実践を,学校教育と社会教育との連携,学校教育と大学や研究機関との連携を通して,市民の教養教育と専門家養成のための準備教育との両面を行う必要がある。このような方法論を用いた実践により,小中高校生に理科や科学に強い興味・関心を喚起できるものと考えている。またこの方法は,エネルギー・環境教育のみに留まらず,将来,多方面の科学教育に応用できると期待できる。




参加者の感想 (MLより転載)

例会で何も発表するものがなく、済みませんでした。
さわやか科学実験教室の件は、みなさんにお会いしてお話出来たことで、絵が見えてきまして、ほんとうに感謝しています。遠い所来て頂いた北村さんにも有り難うございました。

川村先生のD論、ほんとうに日常から、授業に即した環境やエネルギーのことを物理の面の様々な角度から実験や実践して来られ、積み上げて来られたことがまとめられていてやはり感銘を受けました。

できたてほやほやの湯気が立っている状態でサインまでして頂きました。ほんとうにおめでとうございます。

アラザンの実験は、多分、ひと粒でもできると思うのですが。ストローに詰めるというのは、ころころしたアラザンを扱いやすくするいいアイデアだなと思いました。




アラザン って、何だろうって思ってました。仁丹 みたいなもの。 お菓子やケーキの飾りになっている銀色の粒ね。