サイエンスEネット 第18回例会
【第1部参加者】 | 中川拓也,小豆澤潤,赤路真佐子,小野則子,松井真由美,枡岡由克子,伊藤嘉奈子,水上裕次,鈴木麻友,桜井昭三,川村棟吾,岡本正志,小竹芳雄,松森弘治,川村康文 |
【第1部日時】 |
2003年4月19日 午後2:30〜 於:京都教育大学附属教育実践センター |
【第2部参加者】 | 川村康文,松森弘治,桜井昭三,小野則子,赤路真佐子,奥山登,岡本正志,角川佳久子,長濱聖,沖田紗世子,村田直之,松井真由美 |
【第2部】 | 於:竹香 |
プログラム
第1部
1. トポロジスティック「カタカタ」積み木(中川拓也)
2.奈良先端科学技術大学院大学支援財団の紹介(小豆澤潤)
3.マイクロカプセルの実験2種(赤路真佐子)
『色変わりカプセル』(マイクロカプセルを用いた酸性・アルカリ性)
『磁石玉、おたまじゃくし玉』(鉄粉オタマジャクシ)
4.六ヶ所村核燃料再処理工場見学の報告(松森弘治)
5.パラダイム・マジック(岡本正志)
6.STS教育読本の発刊(川村康文)
7.事務局案内(松井真由美)
第2部
8.電子メロディの謎について(村田直之)
9.トレーシングペパーによる腹筋運動・「折り紙手品」(村田直之)
10.折り紙マジック『こぶたぬきつねこ』(赤路真佐子)
第1部
1. トポロジスティック「カタカタ」積み木(中川拓也)
教育・科学に縁遠ところで生まれた"木のおもちゃ"をこのようなすばらしい場で、ご紹介できたこと、とても嬉しく思っております。
実は、「場違いなのではないのか?」と思ったりしていたのですが・・・
個人的には、大変感動しています。
「KATAKATA」は立方体の積木を、セロテープで繋ぐだけという単純なものですが、「つながっていることの不思議を感じてみよう」というテーマを掲げております。そして、今回の例会でこのテーマそのものを体感させて頂きました。
最近、立方体と球が空間把握の根源的な形状ではないかと感じております。 (なんの根拠も無く直観的にですが・・・)
赤地さんの「マイクロカプセル」の実験で球が登場した時には驚きでした。また、「KATAKATA」は発想の転換によって進化しているのですが、岡本先生のパラダイムシフトのお話(マジック)とても楽しく拝聴いたしました。
「KATAKATA」の発表の場でこのような「つながり = シンクロ」を感じることができ、その不思議に、ひそかに感激しておりました。
京都の小さな印刷屋が偶然開発し、大道芸的に楽しんでいる「KATAKATA」ではありますが、今後とも宜しくお願いいたします。
また、このような機会を与えて頂いた 川村先生ならびにE-netの皆様に心から感謝しております。
補足;「CUBE ART KATAKATAの誕生物語」
CUBE ART 「KATAKATA」 は、ひとつの「脳」から生み出されたのではなく、偶然性と多くの「脳」のかかわりの中で誕生し、喜びと・感動をよびながら日々進化を続けています。実際に、幼児から91歳のおばあちゃんまで、幅広い層
の方が、遊びの中で、発見・開発にかかわっております。
「KATAKATA」においては、 誰も偉くなく、誰も凄くなく、楽しく遊ぶことのみが価値あることとなるようです。遊びのなかでこの誕生と進化の物語こそが、CUBE
ARTの真髄でもあるのです。
2.奈良先端科学技術大学院大学支援財団の紹介(小豆澤潤)
(1)アインシュタインの顔でおなじみの高山サイエンスプラザの紹介をしました。
(2)当財団地域交流事業の昨年度の概要紹介をしました。
(3)この夏に当財団で行われる科学教室についてEネットのメンバーの方に周知させて頂きました
3.マイクロカプセルの実験2種(赤路真佐子)
『色変わりカプセル』(マイクロカプセルを用いた酸性・アルカリ性)
紫イモの色素をアルギン酸ナトリウムとカルシウムイオンのカプセルに閉じ込めて、身の回りのものの酸性アルカリ性をビジュアルに体験します。
液体試料は、コメ酢、レモン汁、目薬、重曹、レンジ用洗剤 でした。
それぞれ、こいピンク、ピンク、紫、青、緑の美しい色彩のカプセルに色変わりします。このカプセルを使うと、液体だけでなくペーストやエマルジョンや、試料そのものに着色している場合も色変化がはっきりわかります。マヨネーズの上に散らすと、カプセルはピンクに変化します。
食べられる素材ですので、いろいろ工夫すると楽しいです。
2001年度、三菱総合科学研究所の助成を受けて開発した実験です。
『磁石玉、おたまじゃくし玉』(鉄粉オタマジャクシ)
四三酸化鉄をカプセルに閉じ込め、カプセルの形状を工夫しておたまじゃくしのようにすると磁石で動かして遊べます。
丸いカプセルは組み磁石の上に積むことができます。
磁力線がどうなっているかもちょっと感じることができます。
4.六ヶ所村核燃料再処理工場見学の報告(松森弘治)
←高レベル放射性廃棄物処理工場
←燃料棒集合体
核燃料サイクル施設見学会は日本理化学協会・日本原子力文化振興財団により3/27〜28の日程で参加者18名と講師の北大名誉教授成田正邦先生の参加で開催された。
3/27は成田先生の原子(核)燃料サイクルについてと題する講演をお聞きした。
3/28は日本原燃株式会の六ヶ所原燃PRセンターにて概要説明の後,展望台にて再処理工場,ウラン濃縮工場,低レベル放射性廃棄物処分場などの遠景の説明,館内にて模型による各工場内の様子の説明を受けた。その後各施設の現地を見学したがイラク戦争の影響で警備の一層の強化がはかられ,各工場内へ立ち入っての見学は再処理工場の中央制御室ギャラリー以外はできなかった。
再処理工場は工事進捗率が93%ということで現在化学試験実施中であった。なお,各工場のバスからの写真撮影は許可された。再処理工場の中央制御室ギャラリー(ガラス越しに中央制御室を見る)へはカメラの持ち込み自体を禁止された。中央制御室は40×50メートルの広さで原発の中央制御室の約6倍の広さとのことであった。特徴はCRTが島状にならんだものが機能ごとにあり,フランスの再処理工場のものをそのままコピーしてきているとのことであった。見学中にもフランス人技術者らしき人々が数名実際に見受けられた。また,中央制御室へ通じるロビーにあった構内模型の説明は日本語・英語・フランス語で作成されていた。
再処理工場は平成17年7月に本格操業予定と聞いた。
3/28午前中に見学は終了した。
5.パラダイム・マジック(岡本正志)
すでにおもちゃとして販売されている「不思議棒」東京で購入したものですが,それを自作して皆さんに演じていただきました。
ただの棒の組み合わせですが,不思議なことに心清らかな人が持って引っ張ると,パチンと二つがひきあいます。
ところが,中にはどうしても引き合わない人が出てきます。さぁ,どうすればパチンと引き合うか,と苦労していただくおもちゃです。
じつは,そこには深い科学哲学的・認知的意味合いが存在するのだ,というのが最後のオチとなっています。
6.STS教育読本の発刊(川村康文)
21世紀を生きていくのに必要なサイエンティフィック・リテラシーを網羅的に扱いました。
それぞれの方が,人生において出会ういろいろな科学技術が引き金となる問題に,自らの意志により「自己決定」を行っていくことが大切です。
そのような自己決定のための座右の銘となることを祈っています。
http://www2.hamajima.co.jp/~elegance/se-net/stsbook/sts_index.htm
7.事務局案内(松井真由美)
第2部
8.「電子メロディの謎について」(村田直之)
昨年の12月10日にEnet−MLに桜井昭三さんがアップされた「電子メロディのナゾ」Subject:
[se-net:06697] について、桜井さんの言葉「理科教材関係の各社の方には一度確認をお願いします」に対してのレスポンスです。
桜井さんWrote;
> 錦林小学校・安朱小学校で、フィルムケース型燃料電池の実験の時、電子メロ
> ディの音は非常に小さく、うまく電気分解できていないにではないかと、大分悩
> みました。気温が低いのでお茶を温めてみたりしましたがうまく行きませんでし
> た。
> 安朱小学校で終わりに近い頃になって、音の小さいのは「エリーゼのために」
> と「かっこうワルツ」で、「キラキラ星」は良く鳴っているのに気がつきました。
> よく見ると「エリーゼ」と「かっこうワルツ」は基板の色が緑色で、「キラキラ
> 星」は半透明の白色です。ロットが代わったのでしょうか。
>
> 家の帰ってから消費電流を計ってみました。フィルムケース型燃料電池では起
> 電力が安定しないので単3乾電池1本で測定しました。
>
> エリーゼ(緑)0.2mA〜0.3mA (白)0.1mA〜0.15mA
> かっこう(緑)0.15mA〜0.2mA (白)0.1mA〜0.12mA
> キラキラ星 (白)0.1mA〜0.12mA
>
> 上記のように、緑色基板の新ロット(と思う)は消費電流がかなり大きくなっ
> ています。どうもメーカーの都合で基板とICを変更したようです。電流が増えた
> 代わりに音も大きくなっています。ですから他の用途にはむしろいいかも知れま
> せんが、フィルムケース型燃料電池のような微弱な起電力の検出には不向きです。
>
> フィルムケース型燃料電池の実験を計画されるときは、事前に電子メロディの
> 鳴り具合をチェックされることをおすすめします。また理科教材関係の各社の方
> には一度確認をお願いします。
この1〜2年、電子メロディの不良品が非常に多くなった(同じ実験をして前は鳴ったのに今回は鳴らない)というクレームをある先生から頂き、調査している最中に桜井さんから今回の情報を頂きました。
結論的は桜井さんの書いておられることが全て正しく、私はその裏づけをとっただけです。従来品の電子メロディ(白色の基板のもの)が、過電流でシーモスがとぶことが多かったため、製造元で消費電流を大きくして(緑色の基板のもの)、現在は生産しているそうです。海外(東南アジア)生産品で、仕様変更についての事前連絡も何もなく、弊社も全く気付かないまま販売しておりました。恥ずかしいことです。現在は、緑色の基板のもの1種類しか製造されておりません。微弱な起電力を検出する実験の際に、白い基板のものと緑色の基板のものを混ざった状態でお使いになると、桜井さんの実験教室での報告にあったような事態がおきる可能性があります。
「フィルムケース型燃料電池」については、電解液を紅茶から別のものに変えて対応しようという話が昨夜の宴の席で出ておりました。
←発表に耳を傾ける参加者
9.トレーシングペパーによる腹筋運動・「折り紙手品」(村田直之)
10.折り紙マジック『こぶたぬきつねこ』(赤路真佐子)
滋賀県を中心に活動している人形劇をしている友だちから教えてもらった折り紙マジックです。幼児、小学校低学年向き?作るのは小学校以上かな。
うたげに出席された皆さんに全員作って頂きました。
村田さんがおっしゃっているように、アレンジすればもっと楽しいものに。
お口あんぐりのマジック進化バージョン楽しみにしています。
←コメントできません(><)
参加者の感想 (メーリングリストより抜粋)
●その1
岡本先生の「ビックリ棒」には、すっかり騙されましたが。
中川さんが、またお口上手で、もう乗せられましたっー。
あの時、「なにか力」を感じたのです。あの隙間に摩擦のようなもの。皆さんに大受けされてしまったけど・・。
私、危ないなぁー。(ーー;
中川さんのトポロジスティック「カタカタ」積み木に夢中になった後、すぐの岡本先生のお話でしょう。
あの「カタカタ」から、私の心は惑わせられていたのです。なんと、面白いものなんやろうって。
その後も、ずっーと興味深いお話が続きまして、得をしてしまいました。はい。
村田さんもいらっしゃって下さったし、もう感激感激。ドキドキ。(^^)
「電子メロディのナゾ」 少し難しかったのですが、桜井さんがすごいと思ってしまいました。
se-net のすごい方々にお会いできて光栄でした。どうも有り難うございました。
●その2
中川さんは初参加ですが、カタカタ積み木は大変ユニークなものでした。発展性が楽しみです。
岡本先生のびっくり棒には文字通りびっくり。赤路さんの実験はきれいだったし、松森先生の六カ所村核燃料処理施設のレポートは先生らしい真面目なお話で今後の原子力エネルギー事情について、改めて考えさせられるものでした。
第二部、川村博士祝賀会も大変盛り上がりました。先生の今後のご発展、ご活躍を期待します。
この席上、電子メロディについての村田さんの考察は、私の推定をもとに製造元まで追求して頂きありがとうございました。今後実験される方のご参考になれば幸いです。ハム太郎のマジックは、今日早速孫たちに披露。人気を博しました。