第22回例会報告
日時:7月12日 午後3時30分〜午後6時00分
場所:京都教育大学附属高校物理実験室
参加者(敬称略)
桜井昭三・長濱聖・川村康文・沖田紗世子・高木淳子with2人の子供・松森弘治・福田佳子with2人の子供・松井真由美・大阪教育大学教授の村井先生・吉田のりまき・藤本和子・牧幸代・角川佳久子・小竹芳雄・赤路真佐子・萬處展正
発表者
1.「科学の本の読み聞かせの活動」の紹介 吉田のりまき
2.関電キッズで作るギアモーター 桜井昭三
3.「情報科授業」のご紹介 松森弘治・小竹芳雄
4.電気伝導性ガラス 長濱聖
5.紫キャベツ入り寒天の電気分解 牧 幸代
6.ギムネマ試飲会 福田佳子
番外編.「U−CAS」と「アシスト君その後」 萬處展正
7.氷染 赤路真佐子
8. つりざお実験 川村康文
1.「科学の本の読み聞かせの活動」の紹介 吉田のりまき
ちらしや本の折り込みふろくをご覧下さい。(報告者より・・・遠いところよりありがとうございました)
1)科学の本のよみきかせの活動について
科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」を主催し、現在図書館や幼稚園、小学校などで活動しております。
読む本の中に紹介されている実験や、関連したことを実際に演示したり試してもらったりして、最後に本を読み聞かせしております。
自分の今したことが、言葉と絵になって本に出てくるので、真剣に聞いています。やったことのいい復習整理にもなりますし、言葉でまとめて聞くということに、大変価値があると思っています。また子どもの興味や程度の個人差にも対応でき、それぞれのスタンスでその本に接することが出来ます。また、何度でもあとから読み直すことができ、その都度新たな視点で感じることができます。これが本のよさだと思います。
読み聞かせが盛んにされていても、ちっとも科学の本が読まれていません。また図書館には、科学の本が結構ありますが、せいぜい、夏休みの自由研究のときか、調べ物のときしか、よまないよ、と子どもや保護者のかたからいわれています。それでは、つまらない、と思い、実際に自分が読んであげたくなりました。
実験教室ではなかなか関連づけられない事柄でも、本の場合は、さまざまな展開をすることができ、たった1冊の本でも、なんとおりものメニューバージョンができます。何を伝えたいかを考えて読んでおります。特に年長児から低学年を中心に、科学的な知識よりも、科学の概念的なものをうまく感じてもらえるような題材をもりこみ、読むように心がけております。
なお、この活動の様子は、、今年の4月から1年間、 福音館の「かがくのとも」の折り込み小冊子に連載しております。
2)本の紹介
加古里子さんの「絵本への道」福音館書店 を紹介しました。科学の絵本をかかれたときのお話がでています。言葉や絵をどれだけ大切にされているかがよくわかります。何を伝えたいのかこそが大事だとか、流れはどういうふう段取りしていくのかとか、どういう挿絵をいれるのが効果的かとか、といった話がでてきます。これらは、演示講師をするときとかなり共通するように思います。是非およみになってください。
3)地元で行われる科学の絵本展を紹介
東久留米は文庫活動がさかんです。その市内の文庫があつまり、絵本展を毎年しております。今年のテーマは「科学の本のたのしみ」でした。これまで科学にあまり縁のなかったかたがたが、一生懸命企画しております。科学ばっかりしてきたものとは、少し違う視点で科学の絵本をとらえているところがいいところです。身近な身の回りに科学があるのと一緒で、普通の本のなかにも、科学がいっぱいあることがよくわかります。
2.関電キッズで作るギアモーター 桜井昭三
8月に行う関西電力の実験教室で製作する、手回し発電機を、当日スタッフ予定の方を中心に、9人の方に組み立てて頂きました。
プラモデルで有名なタミヤのギヤセットといって、モーターの回転数を歯車の組み合わせで下げ、回転力を増加させるキットがあります。
この出力軸を手で回転させると、減速比がそのまま増速比となってモーターを高速回転させます。
このモーターは界磁が固定マグネットで出来ており、電機子を回転させるとモーターとは逆に直流発電機になります。
細かい部品が多く、みなさん一寸苦労されたようですが、全員見事に完成されました。
予算の関係でお持ち帰り頂けなくて申し訳ありませんでした。
手回しで発電している動画,および
電池に接続してモーターとして作動しているところの動画
3.「情報科授業」のご紹介 松森弘治・小竹芳雄
平成15年度から開始された情報科の授業に関して紹介用パワーポイントを製作したのでそれを披露しました。
本校情報科では,1年生と3年生で情報Bをおいています。今年度は初年度として1年生で実施しています。授業内容の一部を写真とともにお伝えします。インターネット上のWEB検索や作成、グラフや表計算のほか問題解決の手段などに幅広くコンピュータを使用しています。プログラミングやハードウェア的な内容も含まれます。
「情報を検索してみよう」
検索エンジンの使い方の実習では,生徒に親しみやすいようにいろいろな話題を選んで検索しています。多くの情報から的確な情報を選びとる確かな目を養います。
「問題解決と結果のグラフ化」
全授業時間数の約1/3をコンピュータ教室での実習にあてる予定です。
「プレゼンテーション実習」
さまざまな場面で自分の意見や研究発表ができるようにプレゼンテーションの実習も行います。画面は京都教育大学の教授によるプレゼンテーションの説明をうけているところです。
「コンピュータのしくみ I 」
情報量の単位について身近なCD−Rを教材として説明しています。
「コンピュータのしくみ II 」
計測・制御への応用も取り扱います。
「コンピュータのしくみ III 」
情報科の授業で使用する予定の、コンピュータによる制御の教材です。
プリンタポートを使ってLEDをON/OFFします。プリンタポートに出力するソフトウェアは、VB6で作られています。電池とケースは100円ショップで購入したもの、電子部品も、簡単に手に入るものばかりです。LEDをいろいろな制御物に変更することも可能です。
この教材の著作権は、浅田寿展先生にあります。 動画はこちらです
4.電気伝導性ガラス 長濱聖
色素増感太陽電池用の電気伝導性ガラスの製作 I
Snの錯体溶液と2−エチルへキサン酸、イソプロパノールなど、の溶液により作製した SnO2コーティング材料を使用した成膜材料の紹介しました。
(上の写真はテスターで抵抗が小さいことを確認しているところ)
溶液に漬けて、ゆっくりひっぱりあげて、空気中で乾燥した後に、ガスバーナーにて加熱して焼結!!
液体から固体薄膜をつくる方法が最先端です。
電気抵抗を測ってみると、なかなかでない(ゼロにならない)でした。
中間報告とはいえ、少し自分でもがっくりーっと思いながら、学校でできてるだけに、納得のいかないものでしたが、こういうふうにして薄膜をつくる技術があることを紹介しました。
薄膜ができていることは見た目だけでも十分わかりました(手でガラスを持っている写真 → 白っぽい部分)。
(薬液は、豊島製作所製のものをsampleで戴きましたのでその薬液を使用しました。)
5.紫キャベツ入り寒天の電気分解 牧 幸代
昨年の夏休みに、息子とやってみた実験?です。
紫キャベツ食塩液をコーヒーフィルターに染み込ませ、鉛筆を電極として9V電池で電気分解する方法でやってみましたが、色付きフィルターだったので、上手く色変わりが見られませんでした。
そこで、紫キャベツ食塩液を寒天でかためて、同じように鉛筆を電極にして9V電池で分解すると、各電極から泡が出るのが観察でき、おまけに塩素のにおい。+極周辺はピンクに−極は黄色に変色しました。
経時的に色の変わった直径を測定して、その変化を観察しました。
色が変わったり、泡が出たり、臭いがあったり、子どもは楽しんでいました。
(←人だかりができる発表でした)
6.ギムネマ試飲会 福田佳子
独創的な活動報告や実演ばかりが並ぶ中、Eネットの工作本そのままの事をいたしました。
「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作2」のp76に石山先生が書かれているギムネマ茶(その1 その2 その3)の試飲です。
インドに古くから伝わり、糖吸収抑制や血糖降下作用があると言われるギムネマシルベスタの葉のお茶ですが、服用後の味覚の変化を、砂糖、チョコレート、塩、醤油せんべいで試していただきました。
塩辛さなどはそのままで、甘味だけが感じなくなる事を感じていただけたのではと思います。
村井先生から「本当に血糖値が下がるんですよ」と体験談も披露していただきました。
(←これがお茶の葉です。細かくちぎってあります)
人前で話す事に不慣れで、的を得ない下手な説明にも、参加者の皆様が暖かい眼差しで耳を傾けてくださり、また、湯呑が足りなくなる位たくさんの方が試飲してくださって、本当にありがとうございました。
番外編.「U−CAS」と「アシスト君その後」 萬處展正
U−CASという玩具があります。以前からあるので知っている人も多いでしょう。(ここを参考に)
勤務校の生徒が寄付してくれました。でもなかなか浮かすことができません。
またアシスト君は動画を収録しはじめました。しかしプロジェクタとパソコンの相性のせいか,見ていただくことができませんでしたので,ここで動画を1つアップしておきます。 水平投射の動画です。2つの球がほぼ同時に着地するのが分かりますか。
(赤路さん,先にさせていただいて,すみませんでした。)
7.氷染 赤路真佐子
8.つりざお実験 川村康文
本日の発表は,以前に教育実習指導のなかで,生徒実験として教材化した「つりざおの実験」です。
魚の重さ(魚にかかる重力の大きさ)は,さかなをつりあげても不変ですが,魚と釣り竿を持つ腕との距離が短くなるため,力のモーメントが小さくなり,魚を釣り上げていけば,行くほど,徐々に,釣り上げやすくなっていくことを,「体感」して頂きました。
まさに,体感の物理教育的な実験教材です。
授業では,魚の質量を数種類変え,釣り竿の角度をいろいろに変化させ,探究の過程をふまえた授業を行っています。
サイエンスEネット・ホームページに,整理してありますので,そのページを参照ください。また,授業プリントもアップしてありますので,授業でもご活用頂ければ幸いです。
参加者の感想 MLより転載
●その1
1) 科学の本の読み聞かせと活動 吉田のりまきさん
同じ本を読んでも視点が違うと人に伝える感動もまた違ったものになるんだと思いました。
2) 関電キッズで作るギアモーター 桜井昭三さん
説明書を見て作るのはとっても難しい事だと実感!
豆球が光った時はやっぱり嬉しい。当日参加できなくて残念です。
3) 情報課授業 松森さん、小竹さん
私が高校の時にはなかった授業なので”ヘェー” 面白そうですね。
4) 電気伝導性ガラス 長濱 聖さん
先月の公開講座をみていたのでそれと比べればずいぶん簡単な作り方もあるんだと思いました。
5) 紫キャベツ入寒天電気分解 牧幸代さん
電気分解があのような目に見える形で確認できるんですね。青緑色とピンク色が綺麗でした。
6) ギムネマ試飲会 福田佳子さん
試飲後のチョコレート、まずーい! しょうゆ味のおかきは美味しいのに。。。やっぱり糖分だけ感じないんだ。
7) 実験を収めたCDの紹介 萬處展正さん
機械が言う事を聞いてくれなかったのでまたの機会に見せてください。
8) 氷染 赤路真佐子さん
水でできるろうけつ染め、何かに応用できればいいのになあ。
9) つりざお実験 川村康文さん
実際につりざおを持ってみてその重さを実感しました。
ML上では見知っていた間々田さんにお目にかかれ嬉しく思いました。無事にお帰りになりましでしょうか。
今度この時期に来られる時は祇園祭をお楽しみいただけたらと思います。
梅雨空のうっとうしい一日でしたがきょうもたくさんの方にお目にかかれたくさんの実験もみせていただき有意義な一時でした。ありがとうございました。
●その2
出席者も多く内容も多彩な例会を帰りの時間の都合とはいえ「後ろ髪を引かれる思い」で早く退席しました。京都駅に着くと祇園祭の真っ最中であることに気づき、また沖田さんのコメント見て、最後までいれば良かったな、しみじみ思いました。
ネット上だけでなく、やはり直接お会いしたいですね。
これからもよろしく。次回はみんなで「緑のホットケーキ」食べましょう!