日時 平成16年7月29日(木)18:30〜
場所 東京都文京区東大の近く
内容 1.手回し発電機各種        (桜井昭三)
2.鉛筆芯燃料電池         (川村康文)
3.レインスティックを作ろう    (舩田 優)
4.モアレ距離計・骨透視鏡     (足利裕人)
5.「スローフード・マニフェスト」と科学の関係について(金丸弘美)
6.光の万華鏡・鶏頭の解剖   (江頭和子)
7.「宇宙食、会席糧理」       (古田豊)
参加者:発表者以外の参加者(敬称略)
亭主の北澤宏一,奥様の北澤邦子,宮入夫妻,戸田一郎,戸田先生のご友人,
飯尾吉司,飯尾先生のご友人,次田彰

 夫婦共々お蕎麦を食べに来るようにとお誘いを受けたので、蕎麦店の女将さんの臨時のお手伝いを兼ねてと参加させて頂きました。
 発表者の方々も拝見する側のみなさんも本当に楽しそうで文系の私も一緒に楽しませて頂きました。新しい事を知ったり、一緒に工作をしたり、マジックを見るような発見にわくわくしたり、楽しみも充実したものでした♪自分が中高生位の学生にタイムスリップしたような懐かしさも感じさせて頂いたような楽しみでもあったように思います。それぞれの先生方が地元に戻られあのような授業をされるなら学生達もきっと「科学って楽しいもの」と好きになるのではないかと思いました。先生が科学を愛し楽しまれているのなら、何よりの説得力だと思います。そんな先生と出会えた生徒は本当に幸せだと思います。これからも頑張ってください。
 蕎麦店の店主は何時の間にか行方不明になってしまい、女将さんと「折角開店したのに果たしてお蕎麦が出せるのかどうか?」と随分気を揉んだのですが・・・・ビールの大きなタンクも空になり夜もふけた頃になってやっと舞い戻ってこられ無事にお蕎麦が振舞われました。どうも多角経営のようで蕎麦店は不定期開業の裏の姿、表の定期の仕事に抜け出して一仕事片付けての開業という離れ業をこなしたようです→お疲れ様でした。女将さんも裏の姿で表はキャリアウーマンと言う働き者・・当日の例会直前までお仕事をこなし、女将さんへ変身。頭が下がります。肩凝り、お大事に。
 お蕎麦は戸隠蕎麦が有名ですが、長野出身の私たち夫婦も知らない長野市に隣接した須坂市のお蕎麦だったのですが、とても美味しいものでした。何年も前にお裾分けに頂いた事があるのですが、その時は須坂市のお蕎麦だとは知らなかったのです。
 私たちは途中で電車が無くなりタクシーで帰宅しましたが、みなさんは無事に宿舎に戻られたのでしょうか?金丸さんはきっとタクシーになってしまわれたでしょうね。またいつかお目にかかれたら嬉しいです。
宮入俊夫&悦子
1.手回し発電機の研究
 子どもたちにエネルギーを体感させるのに、手回し発電機が有効と考えるので、数種の手回し発電機を使用している。一番手軽なものはタミヤのギヤボックスで価格が安く、作る楽しみもあるが、少しパワーが少ない。テクノキットや久富電機等、完成キットとして通販で求められるが、かなりパワーが大きい。自転車のハブダイナモを利用すると、非常に丈夫な発電機が製作でき、その形から腕力発電機と言う名前で活用している。
桜井昭三
2.鉛筆の芯電池
 鉛筆の芯に濡れたテッシュペーパをまき,金丸さん持参の沖縄の塩を振り替え,アルミホイルでくるみました。3本を直列接続して,電子メロディーが鳴るのを確認しました。1本でも鳴りました。
 足利先生には,お写真を撮って下さり,ありがとうございます。感謝申し上げます。
川村康文
3.レインスティック
 ペルーの物産を売っている店でレインスティックを見かけました。その店によると楽器とのことです。1mを越える長いものは6000円30cm程度のもので3000円程度でした。逆さにするとパラパラパラと雨の音がしました。雨の音がする杖でレインステッィクらしいです。
 先日、韓国のTVを見ていましたら、ライブの放送があり、確かに1mを越える長さのレインスティックが楽器として使われていました。どんな構造か切断してみました。中空の仙人掌の茎に螺旋状に棘が埋め込まれていました。中に仙人掌の種子(実?)が入っていました。種子が棘にあたり振動する。その振動が共鳴し大きな音となって聞こえるようです。
 構造が解れば作るのは簡単です。仙人掌の茎の代用で紙筒(外径45ミリ、長さ350ミリ程度、螺旋状に穴を32個あけました。)棘の代用で爪楊枝(ちなみに韓国の爪楊枝は両方尖っています。)日本の楊枝は片方しか尖っていませんので作業時に間違って刺す危険が少ないです。種子の代わりはガラスビーズ(試作)、BB弾(韓国の科学の祭典)、といろいろ変えています。例会では小石でした。
 筒を2本、3本とつなぐと杖らしくなりますが、持ち運ぶのに厄介なので1本にしました。垂直ではなく斜めにすることで音がする時間が長くなります。舩田には雨音と言うより寧ろ小川のせせらぎのように聞こえます。
 筒の材質(紙筒、竹筒、アルミパイプ、塩ビパイプ、アクリルパイプなど)棘の材質(楊枝、鉄釘、アルミ釘、ステンレス釘)、中身(ガラスビーズ、アクリルビーズ、小石、BB弾、種子)と変えると音も代わります。自分が気に入ったレインスティックの材質は何でしょうか。
 紙筒の穴に楊枝を刺し、筒より外にでた部分を切断、ケガ防止にビニールテープで覆う。底をつけ、小石を入れ、蓋をする。作業時間をほぼ10分で完了するようにしました。実験教室で実施できそうです。
舩田優
4.モアレ距離計・骨透視鏡
 オフィスの衝立のアルミパンチ板(細密に円形の穴が開いている)がたまたま重なっていて,モアレ干渉による円が見えていた。これを顔を近づけたり遠ざけたりすると,円形のパターンの大きさが変わることに気づき,距離計にした。実測を元に計算式を作ったら,実測のグラフと良い一致を示した。以下のURLで詳細が見られる。
 http://www.urap.org/forum/ashi/science/MOIRE/moire.htm
また,羽根による光の回折を用いた骨透視鏡の材料を配付した。作成方法は近日以下URLより見ることが出来る。
 http://www.geocities.co.jp/Technopolis/2931/
足利裕人
5.スローフード・マニフェスト
■スローフードってなに?
スローフード協会 (www.slowfood.com)
・本部所在地 イタリアピエモンテ州 ブラ
・NP0組織
・スローフード協会に加盟しているコンビビウム(支部)は、イタリアだけでも400あり、スローフード協会の会員は45カ国約100000人、日本でも32がある。
・シンボルマーク カタツムリ
・会費 7万リラ(約5000円)
・スタッフ110名
・機関紙「スロー」の発刊 発行部数10万部
・別組織の出版社を持っており、出版活動で利益を上げている。単行本は年間8冊。
・会費と出版活動とプローモーションが主要な資金源。
・コンビビウム(支部)は会食会、試飲会、試食会、生産者訪問を行う。毎年、戦略会議に出席。本部で調整。
・地域固有の食を残す「味の箱船」があり、これをブランド化する「プレシーディオ」が行われている。
・試食会、ワインの会、旅行などさまざまな取り組みを多面的に行っている。グリーンツーリズムと連携し、地域活性化に繋げる。
・さまざまな組織や連合を超えたネットワーク。行政、企業、バイヤー、学校、消費者など、多面的な結びつきを行う。
■スローフードとは
・ファストフードの没個性に対して、郷土料理の豊かさと風味を再発見する。
・真の文化は味覚の貧困化ではなく、味覚の発達にある。歴史や知識やプロジェクトが国際交流することで文化の発展が始まる。
・1986年イタリアのピエモンテ州ブラで始まる。
・地方と地域の文化と多様性からファストフードの画一化に対抗する
・前身は「バローロ愛好協会」の「知識と快楽を対にする」のコンセプト
・観光やセールスプロモーションの共同組合とオステリア「ボッコンディーノ」の開設
・試飲会、会食会、ワインや特産物の通信販売から始まる。
・ワインやグルメ、観光のプローモーション活動
・「アルチ」グループと「ゴーラ」ワイン・グルメ雑誌のメンバーが結びつく。
・「アルチゴーラ」の名称で始まる。「特産品の保護や伝統」への取り組み。
・メンバーが左翼系新聞のグルメ評論誌「ガンベロ・ロッソ」に参加。
・1987年「イタリアのワイン」発刊。この本は、イタリア、フランスのワイナリー見学、農業共進会(ワイン農家の勉強会)、ワイン関係者やジャーナリストの議論、生産者と消費者の教育から、地域の高品質ワインの売り出しが出発点になる。1986年のメチル添加事件の一掃も含まれていた。(現在18万部、ワイン1681社、ワイン12045本、230「3つグラス」を紹介)
・1989年「アルチゴーラ・スローフード協会」となる。「スローフード宣言」採択。
・ローマにマクトナルドが進出したのが大きなきっかけで「スローフード」が名称に。
・1989年「食の職人や会食のできる歴史的建造物のリスト「グルメ暦」を作る。
・「ランゲ地方とロエロ地方のグルメ観光地図」「ランゲ地方の名ワイン地図、バローロ」出版
・1990年「スローフード出版」創立。
・1990年から1994年 海外のワインマニアを中心に毎回1000名を集め、3日間の歴史ある貯蔵庫、家庭料理、ブドウ畑見学などで観光客をもてなす。
・郷土料理の店のガイド「イタリアのオステリアガイド」創刊。これには農家や酒屋、レストランなど、郷土に根ざした料理を出してくれて集える店が紹介される。
・1992年「日常のワイン」発刊。
・1993年「ワインの快楽」発刊。ワインの土壌から、ワイン作りまでを優しく解説。新しい農業の振興をうながす。
・1993年 「味わいの週間」開催。コック、パスタ職人、菓子職人、肉屋を学校に迎えて教室で料理を作る。イタリアの最高級レストランで25歳以下を格安で迎える。
・1994年パロレモネ大会より「エコグルメ」を標榜。「高品質と手頃な価格」「享楽と健康」「生活の心地よさと社会的意識」「スピードとゆったりリズム」などの成立。
・1996年「サローネ・デル・グスト」開催
・1997年 ローマで「五感の教育についての議論、計画、経験」の会議開催。
・1997年 「味の箱船」宣言。科学委員会が450のイタリアの産品を調査。
・1998年 「語る、作る、味わう。学校での味覚教育の進め方」出版。
・「ワークショップ」と「マスター・オブ・フード」を確立。消費者や新たな協力関係を結ぶ。「マスター・オブ・フード」は、年間3〜5回の講習会で、授業は生産方法、特産品、商品知識、家畜、野菜など20のコースが生まれた。
・2000年、「チーズ」が、ブラ市の要請によって始まる。市以外にアルバ、ブラ、ランゲ・ロエロ地方観光振興会、イタリア・チーズ協会の協賛を受けて行われる。
・2004年 教育省、科学技術局、州政府との連携による「味覚の大学」設立予定。歴史学、人類学・農業学、社会経済学をベースにグルメ学基礎を3年の学士過程を経て専門コースに。専門課程は「ジャーナリズム、出版、教育法を含むグルメコミュニケーション」「食品マーケティング、レストラン、観光を含む企業経営」の2つ。他に、一年間の修士課程、通信大学、職業人再教育コースが加わる予定。
■日本ではどなっているの?
・支部が32ある。
・現在、本部と連動した形で推進中。
■日本に広がるスローフードの背景となぜ、今、スローフードなのか?
1・バブルが崩壊して、政治が混迷し、これまで優良と思われた大手企業、銀行などが次々に崩壊し始め、それまでの価値感が激変し、次の社会的な目標が見つからないなかで、伝統的な食を楽しみ、ゆっくり一度自分の周辺を見直してみるというスローフードのコンセプトが、新しいライフスタイルとして注目を浴びた。
2・ファストフードを代表する現代の食そのもののグローバリゼーションの危機を感じた人が多くいた。
3・自給率の低下。食のグローバリゼーションが一般的になり、輸入農産物が圧倒的になった。一方で日本の食料自給率は年々下がり、1960年カロリー自給率にして79%、穀物自給率82%あったものが、1998年には40%、穀物自給率26%にまで落ち込んでいる。これは世界175カ国中128番目。世界の人口は約60億人、年1・6%の増加率、2050年には97億人に達するといわれる。確実に50年後は食料不足になると多くの学者は警告している。農水省は「地産地消」を呼びかけている。
4・「食育」。1960年代後半から、日本は、急激な洋食化、インスタント食品や外食が急増し、また大量消費、大量生産の食材作りは、食のバランスを乱し、大量の添加物の摂取で、子ども達にアトピーや肥満を始め生活習慣病をもたらす深刻な事態も産むようになった。このために、厚生省は、「食育」を提唱し、バランスの取れた食事を採るようによびかけてきた。
5・BSE(狂牛病)に始まり、雪印や日本ハムなどの食品会社から農家の代表であるあるはずの全農までもが、表示偽装、また中国野菜の農薬問題などがあいつぎ、食の安全性が問われ、消費者の安全志向が急速に広まった。
6・新しい農業の誕生。これまでの戦後の大量生産大量消費で農薬や化学肥料の大量使用の農業、また大きな規模の農家を優遇し小さな農家を切り捨てていく政策に反発を覚え疑問を感じた農家の人たちが、直接消費者に販売したり、農協や一般市場を通さずに、デパートやスーパーと直接取引きするというケースが急増。地域で地域の農家が集まったり、法人を作って独自の市場で消費者に直接売るというファーマーズ・マーケットは、消費者の安全志向と健康志向に支えられて急増、全国で1万3000件はあるといわれ、その市場規模は一兆円とまで言われるほど広がった。
 日本では、ここ2,3年、「地産地消」「身土不二」「環境保全型農業」「有機農産物」や、「地元学」「帰農」という言葉が盛んに使い始められてきた。それらの言葉のすべてを、うまく包括できるなじみやすい言葉が「スローフード」といっていいだろう。「地産地消」は、地場の産物を地場で消化すること。これは農林水産省が進めてきたものである。「身土不二」は、周辺の食べ物と体と健康は切り離せないということ。韓国では流行語になっている。「環境保全型農業」は、これまでの近代農業が大量の農薬・化学肥料をいまだに使っていて、農業そのものが環境破壊を産んできたことが背景にある。環境と共存する農業の必要性が問われ始めたのである。「有機農産物」は、農薬も化学肥料も使わない農産物。戦後の大量の農薬の使用が農民に農薬の害をもたらしたことから、1971年に医者や農業の研究者、農家などで、有機農業研究会が発足した。ここから生まれた言葉が有機農産物である。「地元学」は水俣で始まったもので、地域を再発見し、地域の個性を見出して、それを明確にしていこうというものである。「帰農」とは、農業の価値の新たな見直しであり、農業の復権である。
 こういった複合的な要素がからまって、伝統的な郷土食の栄養価、地域伝統野菜の見直し、食文化の危機を感じる人が増え、スローフードが急浮上したといえるだろう。
 実際、スローフード協会の日本支部を掲げた地域は16にものぼり、協会に所属せずともスローフードと地産地消や食育を同格に扱い、地域での取り組みのスローガンにしたところが各地に現れた。
金丸弘美
6.鶏頭の解剖実験
 「鶏頭の解剖実験」はweb上でも取り上げられているもので、私のオリジナルではありませんが、カエルの実験から手がけてきた私の解剖に関わる実験を、より新しい角度で、解剖実験の経験が乏しく、抵抗感の強い現代の子どもへの導入に有効なものと思い、是非紹介したくて持参しました。
 ドッグフードの鶏頭水煮缶は800gで10〜11頭入っていて安価です。そして、まさしく鶏の頭であることが視覚的にはっきりする割に、さばくときにメスやのこぎりなどは不要。流血もないので残酷さが薄らぎます。もっと言えば、尾頭付きの魚の煮物を食するときの箸さばきの感覚に近いです。頭皮をめくって現れる頭蓋骨は縫合も認められます。また、圧力釜で処理してあるためか、骨はもろく崩れやすく、それ故、骨の海綿状構造もよく見えます。そして、中枢神経の観察は脊椎動物では大きさの差こそあれほぼ同様のつくりですし、感覚神経(特に視神経交叉や嗅覚神経)とのつながりも観ることができます。眼球の観察ではゼリー状の水晶体や、角膜も観察できます。また、上顎をめくっていけば舌の奥に声帯が残っていることもあります。
 一連の解剖が終わる頃には、はじめ鶏頭の多少グロテスクな姿に抵抗感を示した子も興味を持って解剖に参加しています。
 内臓の解剖はマウスやカエルを使って経験することもできますが、硬い頭蓋骨に囲まれた脳の観察はなかなかできないのではないでしょうか。身近なもので、こんな観察ができることをおぼえた子どもは、たとえば食卓に並ぶ一匹のサンマをまた違った見方で、より丁寧に身をほぐして観察しながら食べてくれないかなぁ。なんて期待した
りしています。
 しかし、当日はおいしいお食事、おそばを前に不釣り合いにグロテスクな実験をしてしまい申し訳ありません。子どもたちまで参加、特に桜井さんには彼の好奇心を大いに認めていただき、本人にとっては夢のような時間だったようです。ありがとうございました。真心こもったおいしいお料理を提供していただいた北澤様には本当に感謝いたします。
 いつもメール上でse−netの皆さんのやりとりを見ていましたが、こうして直接大勢のみなさまにお会いできて、メール上でのお名前とお顔が一致する方が増えました。これは私にとって大きな収穫です。これからもよろしくお願いいたします。
江頭和子
7.「宇宙食」
 毛利衛さんがスペースシャトル「エンデバー」内で1992年に使ったものと同じものがここにあるという紹介をさせて頂きました。「ふわっと'92毛利衛「不思議いっぱい 無重力のヒミツ!」ビデオを見ながら、(1) ジュースによる水滴実験に使ったストロー(ストッパー付)を紹介しました。また「ふわっと快適 宇宙の生活」ビデオを見ながら、ビデオに出てくるものと同様の (2) COFEE, BLACK (フリーズドライコーヒー・・・お湯を入れて飲むタイプ)、(3) レトルトパックの宇宙食 CANDIED YAMS(砂糖漬け)(4) DINNER ROLL (5) CORNFLAKES を手に取って確かめました。
 発表後のやりとりの中で、星新一の作品に出てくるように宇宙飛行士になるための虫歯や視力等の質問が出ました。星新一が作品を書いた時代の資料と現在と資料の違いを、NASAのウエブサイト等で確かめ合う活動が理科教員の活動としてできたらよいと思いました。
 有人宇宙活動計画を主題に調べ合う活動を古田がメーリングリストで行っています。関心のある人の連携により、最新の知見を共有しつつ理科教育に臨みたいと考えています。(メーリングリストへの参加希望は古田まで、件名に「ML宇宙」で始まるメールで問い合わせをお願いします。)
 「会席糧理」で紹介したかった世界は次のようなものでした。その素材実験を発表させて頂きました。
その1: おいしそうな料理のお膳が出てきました。お料理を戴く前にジュースを飲みたくなりました。ストローを紙包みから出します。このときある装置の上で行うと、紙包みだけを引くと−8、ストローだけを引くと1.2 程度の数字が出ました。何気ない食卓での動作に数字の変化が伴っています。この数字の単位は? その数値を変えるストローの使い方は? などを見つけて、知のごちそうも頂こうとしてみました。
その2: ざるに盛られた信州そばに舌鼓を打ったあと、気がつくと漆黒の腕とつゆの色に透明な氷が浮いているさまはまさに涼でした。その氷と一瞬目が合い、共感する風流に店主さまと女将さまの美学と演出を感じました。その融けつつある透明な氷に、包みから出した吸管(ストロー)を近づけると、氷は吸管の側(そば)に寄っていきます。わずかに。会席の余韻を愉しむかのように。
 描写その1 店主さまが薬味を切る包丁はセラミック製。薬味の緑とセラミックの象牙色に縁を取り持つ男包丁の手さばきと響きの妙にしばし浸りました。
 描写その2 子どもが蕎麦に箸を伸ばし、「おいしい」と言った。何ものにも替えがたい一声。
ありがとうございました。
古田豊
例会の報告です。
 まず、当日はわれながらよくManageしたと思います。トリプルブッキングの状態となり、まず、第1の任務を。ほぼ大丈夫ということで抜け出て、即刻、そばどころへ。出席者の自己紹介が7時半終わると、今度は予算のヒアリング会場へ、9時半にそこを飛び出してそばどころへ。そばが食えない?とご心配のむきもあったかと思いますが、実はそばはおなかがすいているときに食べると美味が引き立つのです。お待たせいたしました。
 金丸さんの欧州と日本のスローフード運動の特色、地域スローフード運動のお話を伺いながら第一弾のそばをゆであげたのはいいのですが、味の品質確保のために5食しか1回あたり作らないため、第4弾の時にはなんと「鳥の頭の解剖」が行われていました。食卓の上ではあちこちでお皿を手術台にメスを持った数チームが解剖を行い「これは小脳です」とか「声帯です」という江頭ゴッドマザーママの指揮のもと、そばどころのメインテーブルはさながら手術台になっていました。
 しかしながら、さすがにサイエンスeネットのメンバー。解剖された鳥の頭のお皿を脇によけると、おいしそうにそばを召し上がって頂きました。
 当店のそばの自慢は、「あの食環境ジャーナリストで日本のスローフード運動を仕掛け人である金丸弘美さんがこれまで3度も食べてくださった」こと。
 そばをおいしくサーブするには5つの基本があります(当店の極秘基本方針)。
1)おいしいそばを使う
2)「おいしい」を5回くらい連発して、心の準備が整ってからサーブ。
2)多くの人が「おいしい」と言ってくださるのは、標準のかたさのうち、やや硬めにゆでるとき。おそらく柔らかめだとしろうと的に感じるらしい。30秒以上ずれたら駄目。
3)お湯はたっぷり。1回ごと変える。
4)揚げたらクエンチ。ここが大切。冷水ですばやく。さわやかな高級感が。
5)お皿は九州の竹で。河童橋厨房道具問屋街にいくと取り寄せてくれる。
6)そばつゆはおいしいものを。市販そばつゆはワンランクもの足りず。
7)薬味はセラミックス包丁で切りました。店主の専門がセラミックスだから。日本の技術でしか作れない(京セラ:プロジェクトX的な涙ぐましい開発苦労物語)。
今回はちょうどエビス生樽が手に入ったので、ラッキーでした。大勢の方のときは樽生でいきます。また、どうぞ。
北澤@そばどころきたざわ

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