第53回例会

日時 平成17年12月3日(土)
場所 東京 内田洋行ショールーム
内容 1.フィンランド・スエーデン(川村)
2.ガーデンソーラーライトをとことん使う(佐藤)
3.SPPの概要(樋口)
4.パズルの紹介(加藤)
5.ペットボトル型サボニウス型風車で,ダイオードをつける(長岡)
6.チョコレートの科学(内藤)
参加者:池田勇五,猪間進,加藤俊博,川村康文,小森和範,佐藤信哉,内藤大儀,長岡稔 ,樋口智弘,舩田優,松谷信治,宮正光,山本明利

報告

フィンランド・スウェーデンのエネルギー環境教育の調査

 2005年11月6日から14日まで,フィンランド・スウェーデンのエネルギー環境教育の調査を行ってきました。科学技術と経済に会の研究の一環として行いました。
 フィンランドは,OECD/PISAでおなじみのように,学力が高い国として確固たる地位を築いています。スウェーデンは,PISAでは,最も上位の学力というわけではありません。
 このようにPISAの結果は,少し対照的ですが,エネルギー環境政策も対照的です。フィンランドは,160メガワットの世界最大級の原子力発電所を建設中ですが,スウェーデンは,これまでに2基の原子力発電所を閉鎖してきました。そして,ガッドランド島(四国の半分くらいの大きさ)では,電力を風力発電などのソフトエネルギーに変えていこうと努力しています(現在では約10%を風力でまかなっています)。
 このような政策を実行していくにあたって,ユネスコのEducation for sustainable developmentの発想を共有して,その考えのもとに授業を行っています。例えば,授業の内容として,

Human rights
Cultural diversity and intercultural understanding
Gender equality
Natural resources
Health
HIV/AIDS
Governance
Peace and human security
Climate change
Rural development
Sustainable urbanisation
Disaster prevention and mitigation
Poverty reduction
Corporate responsibility and accountability

の授業が行われています。
 これからの日本のエネルギー環境教育を考えて行くための,1つの道しるべのようなものを,両国の教育を比較分析するところから得らればいいなと思っています。

川村 康文

 文部科学省では、科学好き、理科・数学好きな児童生徒を増やすため、「科学技術・理科大好きプラン」を推進しております。
 その中の施策の1つとして、大学、公的研究機関等と、中学校、高等学校等の学校現場との連携により、児童生徒の科学技術、理科・数学に関する興味・関心と知的探究心等を一層高める機会を充実することを目指して、平成14年度より、サイエンス・パートナーシップ・プログラム(以下「SPP」という。)事業を展開しております。
 SPP事業は、この4年間の間に申請件数、実施件数とも2.5倍まで増加しました。都道府県によって実施件数には差はあるものの、着実に普及している様子が窺えます。
 SPPの講座を受講した児童生徒のアンケートを分析すると、授業が難しかったにもかかわらず、授業が面白かった、自分なりに理解できた、また参加したい、など肯定的に答えた子どもの割合も高くなっております。このことから、SPP事業は、生徒の興味・関心や自主的探究心の喚起という点で、効果をあげていると言うことができるかと思います。
 また、平成14年度から平成16年度までにSPP事業を実施した学校の先生に、平成17年度に、生徒の変容等について追跡調査を行ったところ、SPP事業は数日間だけの取組なのにもかかわらず、理科・数学好きな生徒を増やし、自主的探究心や科学技術に対する興味・関心の向上にも資していることがわかりました。
 この追跡調査からは、SPPの講座終了後も、多くの学校や大学等が、双方の連携関係を維持している様子も窺えました。また、SPP事業が、同様の取組を各機関で独自に始めるきっかけともなっていることもわかりました。
 このように、SPP事業は、実施に関わっていらっしゃる学校・大学等の先生方や、教育委員会の皆様のご努力により、一つ一つの取組が効果をあげていると同時に、その後の活動への発展という観点でも、成果をあげてきています。

樋口 智弘

 私が発表した内容ですが、工藤先生のように純粋に科学的なものではなく、どちらかというと「チョコレートのでき方」といった内容です。
内容としては次のような感じです。
 ・昔カカオはどのような存在として扱われていたか
 ・カカオはどこで取れるのか
 ・チョコレートは昔飲み物だった
 ・アステカ文明の飲み物だったチョコレートがなぜヨーロッパに広がったか
 ・飲み物を食べ物にするにはどのような工夫が必要だったか
 ・カカオの木とコーヒーの木の違い
 ・ロッテのチョコレート製造
 ・人間にとっての5ミクロン
 ・手をかけることと技術との兼ね合い
 ・チョコレートの栄養学
 ・味覚に対する科学の挑戦
 ・チョコレートの定義
 ・まとめ
これらを20分近くでかなり駆け足で説明しました。
 元々私どもの会社のフランス会というサークルで発表した内容を元にしていますので、今回の発表もEネットで発表するにはかなり文化的な要素が強いものだったのですが、あえてその中に科学を見出すとすれば、
 ・人間の感覚器は5ミクロンを感じることができる
  →髪のキューティクルの厚さは5ミクロン
  →毛先から毛根に向かって髪を静かに触っていくと引っ掛かりを感じる
  →指先は5ミクロンを感じることができるほど敏感
  →人間の舌は5ミクロンまですり潰すとざらつきを感じない
  →舌も5ミクロンを感じることができる
 ・機械の発達が料理を進歩させる
  →料理は一般的に手をかければかけるほどおいしい
  →ショコラティエによってはコンチェ(精錬)に72時間かける
  →しかしそれは機械の性能がよくないから
  →世界一の機会を持つロッテは24時間で十分
  →昔ながらがなんでも一番よいわけではなく、機械の発達との共存が大切
 ・味覚に対する科学の挑戦
  →おいしいと感じることはどういうことなのか、電流調節で温度が変わる小さな素子を舌に載せる実験(米国)
  →体温に近いほど美味しく感じる
  →味が均一に広がるための黄金値
   底面17.5×27.3o、高さ9.3o、頂上をカットし、角に丸みを帯びた四角錐
  →チロルチョコがこの近似値
  →スーパーの置き場所にも工夫
  →10円にこめる科学の粋
といったところでしょうか。
 実験などの内容が全然ないためお役に立てないのではないかと思いますが、ご希望でしたら当日のパワーポイントの資料をお送りしますので、ご遠慮なくお申し付け下さい。21.8MBもあるのですが、Eネットのホームページにアップすることは可能なのでしょうか。解像度を低くしてPDF化すればもう少し軽くなるとは思います。
 Eネットは川村先生がご退席された後、SPPや支援のあり方について1時間ぐらい出席者の間で議論していました。私どものように実際に担当しているものとしては大変貴重なお話をたくさんうかがうことができました。
 今回は貴重な時間を共有できて、本当に感謝しています。川村先生をはじめEネットの方々に心からお礼申し上げます。ありがとうございました。

内藤 大儀


感想

 今回は,SPPの評価を聞かせて頂いたり,仙台の佐藤さんには,ガーデンソーラーライトを本当にあまる部品なく,とことん活用する方法をご披露頂いたり,フィンランドに行ってこられた加藤さんから,頭がよくなりそうな,パズルを紹介頂いたり,内藤さんのデープでハイなチョコ研究を紹介頂いたり,長岡さんと共同開発をしていたサボニウス型風車で発電実験を行ったり,楽しく,あっという間に時間がたってしまい,後ろ髪を引かれる思いで会場を後にしました。
 会場をご提供下さった「内田洋行」様からは,松谷さんが,最後までお付き合い下さり,ありがとうございます。松谷さんのおかげで,楽しい例会とすることができました。ありがとうございます。

川村 康文

 東京例会にご出席の皆様、昨夜はありがとうございました。川村先生、すばらしい機会にお誘いくださいまして感謝します。
 私は、6年前に旺文社という教育出版社を退社し、「学校と社会のジョイント役」として、プラスエムを立ち上げ、6年になります。これまで、小中学校の総合的な学習のコーディナーターや各種実験教室の運営等、企業の協力で教育現場を応援する事業を展開してまいりました。
川村先生との接点は、この春科学技術館で実施した「エネルギー環境フェア2005」で、教材作りワークショップの講師をお願いしたことに始まります。「エネルギー環境フェア2005」では、運営事務局として、参加者募集から当日の運営のすべてを担当しました。
 今回、12月15日〜17日まで東京ビッグタイトで開催される「エコプロダクツ展2005」では、子ども事務局を担当し、小中高等学校約80校、参加者約9000名の対応をします。参加校には無料で送迎バスを提供しますが、安全管理なども弊社の役割のうちです。3日間、会場内303ブースに「子ども事務局」を開設します。引率の先生方の控え室にもなります。ぜひお立ち寄り下さい。
 「エコプロダクツ展2005」では環境学習の参考になるさまざまなイベントが行われますが、そのひとつが家電メーカー8社が主催するエコラボレーションコーナーでの「エコスクール」です。「エコスクール」では、サボニウス型風車やフイルムケース電池の工作・実験が行われますが、このメイン講師を川村先生に(川村先生は15日1日、16日午後のみ。スクールは3日間10:30〜16:00、20分間8回実施)お願いしているわけです。
 また、16日には川村先生のほか有馬元文部大臣をお迎えして,環境サイエンスショーを行います。小学生500人が参加します。サイエンスショーには信州大学の学生が6名、準備のため前日長野から駆けつけてくれます。当日は加えて筑波大学の学生鳥海さん,谷口さん、また森田さん,間々田先生たちが万全の対応をしてくださいます。司会は友人でもある文化放送のエコライフキャスター伊藤佳子アナウンサーです。
 是非,みなさま,東京ビッグサイトまで遊びに来て下されば幸いです。レセプションホールBで、10:30開演です。

 昨夜の例会では、SPPをめぐるみなさまの議論を,興味深く拝聴しました。また、仙台の佐藤さんのガーデンソーラーライトにも感心しました。もちろん、川村先生のフィンランド視察のご報告も参考になりました。教室で寝転がって学習する子どもたちの姿が印象的でした。料理を通しての「食育」を理科学習の時間で行うということも新鮮でした。

 昨夜は、何よりみなさまお忙しい方ばかりでしょうに、休日にああして集まり、理科・科学教育について熱心に情報交換される情熱に感動しました。おかげで、次の約束を忘れてしまい、待ち合わせに20分遅れてしまいましたが、それはよいとしてお恥ずかしいことにコートを置いてきてしまいました。松谷様、申し訳ありません、コートを忘れた粗忽者は長岡です。5日いただきに参ります。お忙しいでしょうから受付の方に預けていただいてもよいし、面倒でしたら着払いでお送り下さい。お手数をおかけします。

長くなりましたが、みなさまありがとうございました。

長岡 稔

フィンランドで入手してきたBar-6というおもちゃとその手つくり途中のもの、アメリカ製の地球ゴマとPAGODAという3本組木のパズルを紹介させていただきました。PAGODAはこの秋にインターネット上でパズルコンテストを開催し、その中の応募作品のひとつでした。もしも自作してみたい方がおられましたら、作り方を教えますので個人メール宛に連絡ください。木工キューブ59個で作ります。

加藤 俊博

先だっての東京例会にのみ参加させていただいていろいろ仕入れてきました。いつもいつも有り難うございます。
私の提示しました『ガーデンソーラーライト』は明後日からの科学教育ボランティア研究大会にも持っていきますので、その後詳しいことは送ります。サボニウス型風車はうちの来年度の活動テーマにも合致しますので、これからいろいろご教授願うかもしれません。そのときはよろしくお願いいたします。
とりあえず、京都に本日資料や展示物を送りました。宮さんや参加されるみなさん、会場で合いましょう!

佐藤 信哉

今回(2度目?)の例会参加ながら、代表が途中退席した後の司会を振られちょっと戸惑いましたが、司会の出番がないくらい意見が相次ぎました。
舩田個人としては、SPPやSSHの裏話?的なことが聴けたのが面白かったです。勤務先が何度かSSHに応募しながら外れていることもあるので関心がありました。積極的にこの種の企画に応募していかないと予算が……という話には考えさせられることがあります。
今回のボランティア入門講座にはベテランが多かったと思います。初心者にもっと機会をと思いました。ベテランにはまた別の研修会を実施されるのがよいのではと思いました。
機会がありましたらまたお会いしましょう。

舩田 優

12/3理科大好きボランティア入門講座に参加し、その後お誘いに惹かれ?第53回例会に参加させて戴きました宮です。
例会出席の皆様、楽しいお話をありがとうございました。あのような会は初めてで、とても刺激的でした。川村先生、お誘いありがとうございました。東京駅までの早足のお付き合い(道案内)に感謝!プラスエムのHP拝見し、流石都会は違うなと実感しました。
川村、小森、船田、山本先生、「理科大好きボランティア入門講座」ご講義ありがとうございました。「理科大好きボランティア」の助成は2年前から頂戴しております。科学館等が身近に無い地方では、このような制度は特にありがたく感じています。継続を大切に、今後も活動したいと考えています。
12/17-18は、科学教育ボランティア研究大会(京都)に参加します。

宮 正光