8 単元展開                   全11時間扱い(※は75分授業)  本時は第10時
場面   ○学習活動  学習問題  ・予想される生徒の反応 見方や考え方 ◇教師の指導・援助 ◆評価


物質どうしは結びつくか

 
○鉄と硫黄の混合物を熱したときの変化について調べる。
・銅と硫黄から、全く別の硫化銅という物質ができた。














 

◇銅と硫黄が反応して硫化銅がで きる様子を提示する。
◇銅と硫黄からは硫化銅ができた ことを説明し、鉄と硫黄の混合 物ではどうなるか問う。

◆評価計画:ウ−@、エ−@



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鉄と硫黄の混合物を加熱すると、どのような物質ができるだろうか。
 
・鉄と硫黄が結びついた別の物質ができると思う。
・加熱をしたら、激しく反応して、黒い物質ができた。磁石に付 かないし、塩酸と反応して腐卵臭がした。別の性質の物質がで きた。
○鉄と硫黄や銅と硫黄の化合をモデルや化学反応式でまとめる。
・2種類以上の物質が結びついて別の新しい物質ができる化学変 化を化合というのだ。
・鉄と硫黄が化合した硫化鉄は、原子の数が1:1の比で結びつ き、銅と硫黄が化合した硫化銅は、2:1の比で結びつくのだ。
・鉄と硫黄や銅と硫黄の化合をモデルや化学反応式で表すと、結 びつきの様子がよくわかった。

◇実験結果をもとに、化合につい て説明する。
◇原子、分子のモデルや、化学反 応式の表し方について説明する。

◆評価計画:イ−@



1


 













燃えるとはどんなことか












 
○スチールウールを燃やしてできる物質について調べる。  












 

◇スチールウールは燃やすと重く なる現象を提示する。
◇窒素中と酸素中のスチールウー ルの燃え方の違いを提示する。


◇集気びん内でスチールウールを 燃やし、石灰水や金属探知器な どの活用により、発生気体や物 質の変化を調べることができる ようにする。

◆評価計画:ウ−A、エ−A






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スチールウールが燃えると、重くなるのはどうしてだろうか。
 
・酸素が燃やすはたらきをすると学習したことがあるから、酸素 が関係していると思う。
・スチールウールを燃やすと二酸化炭素ができるのか、また、燃 やしたあとの物質の性質は変化したのかを調べてみよう。
・スチールウールを燃やしても二酸化炭素が発生しない。燃やし たあとの物質はぼろぼろしていて電気を通さない。金属探知器 にも反応しない。鉄ではない違う物質になった。
・鉄が酸素と化合して、酸化鉄ができたのだ。酸素と結びついた 分だけ、質量が大きくなったのだ。
・物質が熱と光を出しながら酸素と化合することを燃焼というの だ。花火は、様々な金属が燃焼して熱と光を出していたのだ。
○スチールウールと木炭の燃焼における体積変化の違いについて 調べる。










 


◇水を入れたバット上でスチール ウールや木炭を燃やして集気び んをかぶせたときの水の吸い上 げ方の違いを提示する。
◇体積の変化を、酸素と化合した 物質の違いを根拠に説明できる ようにする。


◆評価計画:イ−A、ウ−A






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スチールウールが燃えると水を吸い上げて体積が減ったのに、木炭が燃えても水を吸い上げないのはなぜだろうか。
 
・スチールウールが燃えると酸素と結びついた分だけ体積が減っ たのだ。
・木炭が燃えるとCOになり、酸素が減っても二酸化炭素が発生 するから、体積が減らないのではないか。
・実験をして調べたら、確かに木炭が燃えた方は二酸化炭素が発 生していた。CとOが結びついたのだ。
・ろうそくやエタノールが燃えると二酸化炭素を発生させるのは、 それらが炭素を含んだ物質であったからだ。
○いろいろな物質と酸素との化合について調べる。









 

◇水素と酸素の混合気体でシャボン玉 をつくり、点火したときの様子を 提示する。
◇水素と酸素の混合気体の体積比 を2:1にして実験し、なぜそ の比にしたのかを問う。
◇マグネシウムや銅を加熱し、反 応の違いを確認できるようにす る。
◆評価計画:イ−@、ウ−A




1





 

 
水素と酸素の混合気体に点火すると、爆発するのはなぜだろうか。
 
・水素が酸素と結びついて、燃焼したのではないか。
・密閉容器内で酸素と水素の混合気体に点火したら、爆発して袋 の内側がくもった。塩化コバルト紙で調べたら水であった。
・水は水素原子2個と酸素原子1個とが結びついた分子だから、 混合気体を2:1の比にしたのだ。
・今話題の燃料電池は、水素と酸素の化合を利用したものだった。
・マグネシウムを加熱すると激しい熱と光を出しながら燃焼した が、銅のようにおだやかに化合する金属もあった。





化学変化を
するときに質量
は変化するか







 
○気体が発生する化学変化の前後の質量を調べる。








 

◇石灰石に塩酸を加えたときの質 量の変化を提示する。

◇密閉容器内で石灰石と塩酸を反 応させると、質量の変化はどう なるのか問う。


◆評価計画:ウ−B




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  石灰石に塩酸を加えると質量が小さくなるのはなぜだろうか。  
・石灰石に塩酸を加えると二酸化炭素が発生して空気中に逃げた から質量が小さくなったと思う。
・密閉容器内で石灰石と塩酸を反応させると、二酸化炭素が逃げ ないのだから質量は変わらないのではないか。
・実験をしたら、質量は変わらなかった。容器の蓋をゆるめたら、 音がして気体が抜けて質量が小さくなった。
・二酸化炭素が発生して逃げるので質量は小さくなるが、二酸化 炭素の質量も合わせた全体の質量は変化しないと説明できた。

○金属が燃焼する前後の質量の変化を調べる。



















 


◇密閉容器内で鉄を燃焼させる器 具を提示し、燃焼前後の質量の 変化を問う。
◇教師の演示実験の結果をもとに、 質量保存の法則について説明を する。
◆評価計画:イ−B、エ−B








 

 
密閉容器内で鉄を燃焼させると、容器全体の質量はどうなるだろうか。
 
・鉄は酸素と結びつくと質量が大きくなるが、密閉容器の場合は 容器内の酸素と結びつくだけである。モデルで考えると原子の 数は変わらないのだから、容器全体の質量は変わらないと思う。
・やはり質量に変化がなかった。化学変化の前後で、物質全体の
 質量は変化しないことを質量保存の法則というのだ。
○いろいろな化学変化を質量保存の法則をもとにモデルや化学反 応式でまとめる。

◇既習の化学変化を提示し、質量 保存の法則が成り立つようにモ デルと化学反応式をまとめるよ うに促す。

◇酸化鉄や中和についても、モデ ルや化学反応式で表すことがで きるか問う。
◆評価計画:イ−@、エ−B





1




 

 
いろいろな化学変化において質量保存が成り立つことをモデルや化学反応式で説明できるだろうか。
 
・木炭や水素について、酸素との化合をモデルと化学反応式で表 した。反応前と反応後の原子や分子の種類と数が一致するよう にした。
・スチールウールが燃焼するとFe
Oという酸化鉄ができること から、鉄と酸素の化合をモデルと化学反応式でまとめられた。
・化学反応式を使って、1年生で学習した塩酸と水酸化ナトリウ ムの中和をまとめた。食塩水ができることを証明できた。







化学変化に関係する物質の質量の割合

決まっているか







 
○マグネシウムを空気中で熱したときの質量の変化を調べる。



















 

◇自分の考えを明確にして追究で きるようにする。


◇マグネシウム粉末を繰り返し加 熱したときの質量の変化をもと に考察できるようにする。



◇結果をグラフにして、マグネシ ウムと酸素が結びつく割合を求 めることができるようにする。
◆評価計画:ウ−C
◇実験結果についての疑問を取り 上げ、予想や興味・関心をもと に、既習の化合の中から調べて みたい実験を選択するように促 す。
 









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マグネシウムを空気中で熱し続けると、質量は増え続けるのだろうか。
 
・熱し続ければ、わずかずつだけど質量が増えていくと思う。
・質量が増えていくのには限界があると思う。
・マグネシウム粉末をかき混ぜながら強熱し、冷えたら質量を測 り、再び熱することを繰り返した。4回目位から質量が増加し なくなった。
・質量が増えなくなったということは、全てのマグネシウムが酸 化マグネシウムに変わったのだと思う。質量の増加には限界が あった。化合する質量の比は決まっているのだ。
・グラフにすると、マグネシウムと酸素が約3:2の質量の比で 結びついていることがわかった。
・マグネシウムと酸素は、原子数の比が1個:1個なのに、なぜ
 3:2という質量の比で化合するのかわからない。別の物質が 化合するときの質量の比も調べてみたい。


 
銅と酸素、銅と硫黄、鉄と酸素が化合するときの質量の比は、それぞれ何:何になるのだろうか。また、どうしてその質量の比で化合するのだろうか。

 
・マグネシウムと酸素の原子量の比が3:2だからだと思う。だ から、銅と酸素は4:1、銅と硫黄は2:1で化合するはずだ。
○物質が化合する質量の比のきまりについて調べる。
・何:何の質量の比で結びつくのか、どの化合も予想ができない。 でも、それぞれが違う比の値で化合すると思う。
・銅と硫黄は原子量の比から2:1の質量の比で化合するはずだ。 実際に2:1の質量の比で化合するのか調べてみよう。
・銅と酸素を化合させたら、質量の比はやはり4:1だった。
・スチールウールを燃焼させて酸素と化合させたら5:2になった。
・銅と硫黄は4:1になった。なぜだろうか。
・原子量だけでなく、化合する原子の数の比も考える必要がある。
・銅と酸素は原子量の比が4:1で、原子1個:1個の比で結び つくのだから、原子量の比の通りの質量の比で結びつくのは当 然のことであると思った。銅と硫黄は原子2個:1個の比で結 びつくから、4:1の質量の比で化合するのだとわかった。
・鉄と酸素は原子3個:4個で結びつくことから、電子てんびん の誤差も考えて、質量の比が5:2となる理由が説明できた。
・物質が化合するときの原子の数の比が決まっていて、それぞれ の原子の原子量も決まっているのだから、化合の質量の比も決 まってくるのだということがわかった。

















 
◇前時に選択した化合実験ごとの グループで実験を行うように座 席を指定する。


◇それぞれの実験結果をグラフに 表し、化合する質量の比を確認 できるようにする。
◇周期表の原子量に着目した意見 を取り上げる。
◇化合する原子の数の比を想起す るように促す。

◇化合物の原子の数の比や原子量 と、化合の質量の比とを関連付 けた意見を取り上げる。

◆評価計画:イ−C、ウ−D、エ−C






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仕上
○単元テストにより、単元を通した学習の自己評価を行う。
・いろいろな化学変化を、原子、分子のモデルや化学反応式で表すこと の確認ができてよかった。
◇知識・理解の定着が不十分な生 徒に補充指導を行う。
◆評価計画:エ−@、A、B、C


 
教師は、評価結果に基づいて単元展開のあり方や教師の手だてを振り返り、改善点を究明して単元の修正を行っていく。
 
銅と酸素、銅と硫黄、鉄と酸素が化合するときの質量の比は、それぞれ何:何になるのだろうか。また、どうしてその質量の比で化合するのだろうか。