第90回サイエンスEネット例会
日時:2010年11月13日(土) 18:00〜21:40
場所:東京理科大学 川村研究室
参加者:
川村康文、舩田優、大内隆司、下脇透、青野修、
木甲斐由紀、二階堂恵理、猪間進、五十嵐航、
斉藤隆茂、朝居朋親、金井秀弥、田代佑太
中山由紀子、網倉聖子 以上15名(敬称略)
発表題目(順番)
題目(順番)
1.RikaTan記事から生徒論文 舩田優 船橋法典高校
2.理科大好き実験教室の紹介 大内隆司 放送大学3年
3.科学教室の展開 下脇透 学研エヂュケーショナル
4.科学手品 青野修 学術研究ネット
5.子どもが喜ぶミニ・ネタ 木甲斐由紀 科学読物研究会
6.ヒツジのおくりもの 二階堂恵理 科学読物研究会
7.水紋画 猪間進
8.バネ計りと万有引力 五十嵐航 理科大川村研
9.サボニウス型風車風力発電機 斉藤隆茂 理科大川村研
10.ボルタの電堆
科学館に望むこと 網倉聖子 (株)Coming
11.実験で実践する魅力ある理科教育-小中編
川村康文 東京理科大学
発表内容・感想(メール到着順):
内容、感想(メール到着順)
1.木甲斐@科学読物研究会
今日は、ミニ・ネタとして、
「ケムシくん」・・・癒し系おもちゃで、老若男女にうけます。
「出目きんぎょ」「レントゲンカード」を紹介しました。
そして、8月の例会のときも紹介した、「ブラックライトであそぶ
シート」も見ていただきました。
蛍光や蓄光ものが大好きなので、川村先生がみせてくださった
特別な蛍光灯とシールに、よだれが・・。(失礼!)
2.二階堂@科学読物研究会
「ヒツジの贈り物 着装のお話」は一枚の衣服ができるまでと
ヒトが着て装うことについてをダイジェスト版でお話しました。
あまりに生活に密着していることですから、
改めて考えることもないテーマのひとつかもしれませんが
たとえば「○○はじめて物語」ではありませんが、今に至る最
初の部分はなんだったのだろうとか、他の場所ではどのような
扱いをしているのだろうとか、そういう、ものの見方に通じる
部分を伝えられたらいいな、
そして宝物になるような工作作品(今回は作りませんでしたが、
次会何か作りましょうね)を作って、この体験を思い出してい
ただけるよすがにできればいいなとふだん講座設計を考えてい
ます。
というのは子どもたちは白いキャンバスの様なもの。バリバリ
理系に染まる子もいればものつくりが好きになる子、歴史や人
とのかかわりに興味を持つ子いろんな可能性・興味関心を持っ
て育っていく時間の中での一つの出会いですから。
3.網倉聖子海oming
<戸田一郎先生こだわりのボルタの電堆>
川崎の小学校で『環境』をテーマに実験依頼があり、
『環境』にとってはあまり良いイメージがない科学技術にテーマ
を絞り、科学技術の進歩(主に電気)を実験する予定です。
それというもの、北澤宏一先生の『科学技術は日本を救うのか』
を読んで、夢をなくした日本のこどもたちに衝撃を受けたから
です。とかく環境では悪者のイメージがある科学は、これから
は地球を守るために必要不可欠なものとしてとらえ、勉強する
意欲が育てられたらと思っています。
使用させていただいた戸田一郎先生の実験内容は、ひとつひと
つが文献にできるだけ忠実に再現されており、科学者の試行錯
誤が伝わってくるようです。
<科学館に望むこと>
サイエンスアゴラ2010 〜ザ・メイキング・オブ・サイエンス
イベント@科学館〜
の紹介と例会参加者からご意見を伺いました。
4.田代@東京理科大学川村研究室
今回の例会で,今まで知らなかった実験の数々を見せていただ
いて,実験の見せ方や,コツ,アイデアなど,とても参考にな
りました。ケムシくんの実験は今度の理科大好き実験教室の
テーマで使えそうなのでこれからいろいろと考察してみたいと
思います。
週末には理科大でサイエンス夢工房もありますが,
サイエンスアゴラにも行けたら行ってみたいです!
5.大内@放送大学教養学部
「理科大好き実験教室の紹介」
まず、私の自己紹介と交えて、私が理科大好き実験教室につい
て知るようになったいきさつから説明を始めました。
実験教室で必要な費用、開講日等のガイダンス的な説明。
実験教室の様子についての私なりの観点からの説明。
特に演示実験でも大型の機材を用意して、実際に現象を観察・
体感してもらうことが実験教室の売りであることを強調。
実際に作成した工作物を交えての紹介と感想を述べる。
工作物ではサイクロイド振子、かんたんバネ秤、輪軸、クント
管等いくつかの作品の紹介と、私なりの楽しみ方として持ち
帰ってから私なりの遊び方、使い方についても説明。
実験教室は学習塾とは異なって、理科に親しみ、楽しんでもら
う、また実際に体を使ってものを作ってもらうことが重要であ
る点、そしてこれらが「継続的に」「低コストで」提供される
点を強調。
6.斉藤隆薫@東京理科大学川村研究室
小型サボニウス風車風力発電機のご紹介をさせていただきました。
今回のサボニウス型風車の一番の特徴は、バケットが二段積み
となっていることです。
バケットを90°ずらすことで、これまでの一段の風車よりも発
電しやすくすることができます。また重石に500mlペットボトル、
軸の固定にストロー、軸には魚焼き用の串、サボニウス風車部
分は、CD2枚・プラコップ2個・ペットボトルのキャップ2個
を使用しており、いずれも入手が容易であり安価での製作が可
能です。以前、理科大好き実験教室で作った時に参加頂いてい
た方には、当時よりブラッシュアップした風車を見ていただけ
たのではないかと思います。
7.川村康文@東京理科大
「実験で実践する魅力ある理科教育-小中編」
このたび、山下先生@立命館大、秋吉先生@就実大、荻原先生
@三重大のみなさんに編集委員会委員になって頂き、非常に大
勢のみなさまのご協力のもとに、大学の理科教育法、理科指導
法の授業で、十分にご活用頂けるようなテキストが完成しまし
たので、紹介させて頂きました。特に、小中の理科授業の連携
が物理・化学・生物・地学の分野を横断して「みえる化」され
た本として完成しましたので、現場で理科を指導される先生方
や理科支援員のみなさまにとって、ご活用頂けるのではないか
と考えています。現在、直接オーム社様に申し込み頂きますと、
1割引きでの販売となっています。
あわせて、サイエンスEネットのみなさんの日々の活動を
ベースに、学校の理科授業にや、社会教育活動としての理科実
験教室の教材に、ご活用頂けるような「まどんな達の理科支援
員」(仮題)などという本を、みんなで書きませんかと提案を
しました。このときに、JSTから発刊されました「平成19年
度理科ボランティア報告書」(フルカラー)をお配りし、今度、
作る本はフルカラーにはできないものの、講師の手作り感が出
ているような実験を中心にした本はいかがでしょうかと、本は、
男性も執筆して頂く形で考えています。是非、この本は、男女
共同参画事業のイメージでと考えていますので、そのような本
のタイトルを仮題として考えています。
網倉さん、二階堂さん、木甲斐さんのまどんなのみなさんに、
原案を構成お願いできればと考えています。
8.舩田優@船橋法典高校
「RikaTan記事から生徒論文」
2010年8月号のRikaTanの特集は「すぐできる理科のオ
モシロ自由研究」でした。2年の「理科基礎」の授業で紹介し
たところ、「いろいろな楽器の出す音の比較」という記事に関
心を持った生徒が科学論文にまとめました。タイトルは雑誌と
ほぼ同じ「いろんな楽器の出す音に比較」です。平成22年度
千葉県児童生徒科学作品展の科学論文の部に応募させたところ
、入賞(奨励賞)しました。表彰式に呼ばれ、昨日(11月1
2日)出席してきました。
論文の内容はナリカで販売している「イージーセンスビジョ
ン」と「音センサー」を使って楽器の出す音の波形を観測した
ものです。独創性を出させるのは難しいので、「オリジナル楽
器を作って測定すれば…」とアドバイスしました。幸い1年次
の授業でいくつか作っていますので、物理で調達できます。「
カリンバ指ピアノ」「ストロー笛」「ギター」はすぐ、「リコ
ーダー」は自作ではありませんが、生徒が中学以前に使ったも
のを自宅から持参です。新たに工作した「輪ゴムの弦楽器」を
入れて5種類にしました。5種類は指導者の目からは少ないと
思ったのですが、それ以上の調達は当人には難しいので断念で
す。
それぞれの波形には特徴がありました。区別をして考察を書
かせました。「追加実験として逆をしてみたら」とアドバイス
したら自力で波形作成ソフト「作音」を探してきて来ました。
合成して波形を作り本物の楽器らしい音になるか確認です。同
じような波形は同じ楽器の出す音に似ていることがわかり、こ
れも考察に入れました。
考察を3ページにと要求しましたが、期日に間に合わず少な
いまま応募したので「奨励賞」でした。考察のページを増やし
、波形の種類ももっと増やせばもっと上位の賞を狙えました。
次回考慮します。
9.猪間進
児童館などでは、水面に市販のマーブリング液を滴下し、息や
爪楊枝などで水面に流れを作り、水面に広がったインクに変化
を与えて模様を作り、紙に写し取るマーブリングが行われてい
ます。
今回は元NECの技術者であった黒田氏が1986年に開発された
日本古来の墨流しの技法を応用した「水紋画」を紹介しました
水紋画は、水槽に水道水を入れ、墨、朱墨等を含ませた筆を交
互に軽く水面につけて、墨等を水面に広げる。ここまではマー
ブリングと同様である。その後に集墨液(写真の水切液を希釈
した液)を含ませた筆を広がった墨の線の外側の水面に漬けて
、水面上のパターンを中心に向けて縮めてゆき模様を作ってい
く。ここが新しい発想である。その後和紙に模様を写し取るこ
とになります。小学生と実際に行ったところ、縮まっていくた
め、大うけでした。
水面上に浮かんだ墨汁等は、微小重量状態にあり、表面張力の
力が支配的になるため、表面張力の大小加減により、形の整形
が簡単にできるとのことです。表面張力が場所により異なって
いる(濃度・温度差等により)ことから生じる流れを「マラン
ゴニ対流」といい、この力を利用してパターンを拡散、圧縮し
たのが、水紋画ということになります。表面張力を目に見える
形にした水紋画は、物理の教材に使用できないでしょうかと思
い、紹介しました。
東京理科大学でも、ISSきぼう船内での微小重力下で、液柱
マランゴニ対流の宇宙実験を実施されていることも紹介しまし
た。
黒田氏の水紋画のHPは、
http://www5e.biglobe.ne.jp/~kuroda/suimonga-j.htm
です。
質問のあったドライウエルの成分は、富士フイルムのMSDSによ
ると、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(3-7%),メタノ
ール(3-7%),エチレングリコール(25-35%),水(50-70%)となって
いました。非イオン系界面活性剤調製品です。