ケルビン14面体(切頂8面体)                                河崎 哲嗣


せっけんのような泡の集合体を思い描いてください。例えば泡の1つ1つが同じ体積で,表面張力で泡同士が接している
総面積が最小になる合同な多面体です。19世紀末,英国の物理学者ケルビン卿(ウィリアム・トムソン)・・(絶対零度を基準にしたK
や熱力学第2法則,トムソン効果で有名)が体心立方格子のボロノイセルを用いて答えを出したと言われています。
そこで,空間充填図形になるので,せっせと春休みを中心に創り上げました。
思い描いて芸術作品にしようと安易に考えていましたら,意外や時間が相当掛かりました。
中のピースだけで,200個近く。
泡は表面張力などで,エネルギーを最小にして安定しようとして面積を最小にしようとします。「プラトー問題」が有名。

立方体の外枠の箱を準備して(もう既に填めている) 多数のケルビン14面体を準備して,詰め合わせします。

一度創り出したら,完成しないと気が治まらない。自分の頭では,理解していても人に見せたいという悪い性分なのかも知れません。
実際に一粒が立方体と同じ体積ならば、その立方体とケルビン14面体の表面積を計算して比べると明かです。
(どうしてそれが最小なのかは厳格な証明が必要です)

蜂の巣のように平面は,6角形で敷き詰める原理 はい!出来上がり。綺麗に見せるようにデザインも考えました。


1994年に、物性物理学のD・ウィアらが泡の基本形を2種類にして、より総面積を最小にするという解答を出しました。
しかし、稜や面は曲がっていて,さすがに展開図を描いて手作りにしようとしましたができません。提示できれば面白いのに。
御興味のある方は、参考文献等はこちらへ
http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/student/bubble.html
諏訪紀夫「病理形態学原論」岩波書店

体心立方格子
のそれぞれの
球を膨張させて
隙間を無くして
いけば,ケルビ
ン14面体ができ
ますね。

日常良く通る七条大宮の交差点。街灯をふと見て気づきました。ケルビン14面体です。
七条堀川〜中央卸市場までの七条通りの街灯がこのような型を採用しています。(発見)



実は第2弾として,他にも平行多面体や準正多面体等でブロック積みをしていますが,完成はいつになることやら・・。
とりあえず,1年後としておきましょう。                                          → 菱形12面体へ
                                                                   mathEnetのHPへ