21世紀の 教師のための情報学入門
情報収集術
///公開授業(研究授業) から ///
【公開授業と研究授業】
愛知県では「研究」という言葉がよく使われます。私も慣例的に使っているのですが,どうも苦手です。楠田さんのトップページでは「公開授業」とありました。「公開」としたほうがどうも実情に合っているように思います。それで,ここでも「研究」を括弧のなかにいれました。
本来違う意味の言葉のはずですが,同じ意味として使われているようです。
1.ことばにこだわる
上げ足取りになってはいけません。でも,ことばにはこだわりたいと思ってきました。「研究授業」には必ず「研究主題」があります。そこに使われていることばが,冊子や発表の中で一義的に使われているかどうかだけは確かめるようにしてきました。それができているところは,何らかの得るものがありました。
2.発言する
10年くらい前の研究発表会には,「質疑応答」というような時間が多くの会で設定されていました。そのような場で,質問でも意見でも,とにかく発言してくることは自分にとって,大変役立ちました。
発言するからには,研究主題や会の流れからひどく逸脱するわけには行きません。必然的に,短時間に紀要を読み込み,司会者や参加者の意見を理解し,その上で自分の考えをまとめるという作業が必要になってきます。
このように積極的に参加することによって,その場で「情報収集」ができてしまいます。
【研究授業でなにを見るか】
手元に「第8回日本教育技術学会 広島大会 発表要旨集」があります。
///1994年11月19日(土) 〜 20日(日) 開催///
小森さんのお誘いがあって,身の程もわきまえずに参加したものです。
授業公開<理科>
授業者 ・・・ 迫田一弘(東広島市小谷小)
世話人 ・・・ 武村重和(広島大),小森栄治(埼玉県蓮田中)
指定討論者 ・・ 岡田 篤(神奈川県精華小),小田泰史(蒲郡市中央小),江田久仁子(広島市船越小)
B4に1枚の指導案を受け取り,要旨集へ載せる原稿を書きました。次に,それを紹介します。
5年前を感じることばがいくつかみうけられます。
[授業公開] 理科;「金ぞくと電気」
導入の授業 検討の視点
「金ぞくと電気」単元の導入を見せていただく。単元の導入ということで,次の2点に特に注目していきたい。
1) 問題意識が連続する導入教材の選択
2) 一斉指導と個別指導のかかわり
1)「金ぞくと電気」をどのようにとらえるかをまず考えておく。指導要領を読むと,電気は物の性質を調べるための道具という印象が強い。教科書の構成から見ても,金属を,電流を通すか通さないかで分ける。その後で,さらに,磁石につくかつかないかで分けている。「物質」を大きくとらえていこうとする態度が大切であることに異論はない。しかし,「物質の性質」を軸に進めていくことで「電流」に対する関心が薄れるようなことにはなってほしくない。
電気製品には興味をもっていても,電流の学習は苦手であるという中学生に多くであってきた。その原因は,少なからず,電流との出会い方にあったようである。電流学習の楽しさをぜひとも味わわせたい。
本字の授業で,児童は「物の性質」に関心をもつであろうか,それとも,「電流の流れ方」のほうであろうか。
さらに,本時の授業で興味・関心をもった事柄が学習問題となり,追究を続けていくことができそうか。
これらの点を見ながら,導入教材と単元構想のかかわりについて考えていきたい。
2)個別化と個性化教育が検討され始めて久しい。体験活動についても同様である。新学力観に基づく授業を具体化しようとするとき,これらの考え方は大きな力となる。
ところが,本時のような導入の授業では一斉授業の役割もまた重要になる。さらに導入段階での個別化を構想するときは,個に応じた一斉指導という一見相反することも考えていかなくてはならない。ここのところが,単に教え込もうとする一斉授業との違いである。
単元の導入であるだけに,始まりは物の提示または,教師発言になると思われる。どちらにしても,教師の動きから始まる。そのとき,教師はどこまで児童を引っ張っていくのか。その間に,個々の児童に以下に問題意識を持たせていくか。発問,教材,提示の方法などそのための手立てはさまざまである。
教師のもつ単元構想と児童の問題意識とがどうかみ合っていくかをみていくことを通して,授業形態のあり方と,それを支える授業技術について考えていきたい。
「公開授業」を見るためにこれほど事前に考えたことはありません。事前に指導案を入手できる会ならば,こうしてあれこれ考え,問題意識をもって参加するべきだと思います。
この後の討論会は,授業とはずいぶんとはなれたものになりました。
( ここまで Sep 15) 続きはまた