温度計の不思議 赤い色の中身は 何??
ごく普通にある,赤い液体が入った温度計です。
液の名前を聞くと,多くの人が「アルコール」と答えてくれます。
子供たちに聞いても同じです。
理科機器のカタログを見ても,「アルコール」とかいてあります。
実験のとき,温度計が割れることがあります。
こんなときは,液の中身を水に浮かべて見せています。
ニオイもたしかめています。
液を出すときは,液だめを水の中につけて,ラジオペンチで割って
います。
そうすると・・・油のように水に浮きます。灯油のニオイがします。
では,どこでどのようにして「アルコール温度計」といわれるように
なったのでしょうか。
「広辞苑 第5版」で「アルコール温度計」をみてみます。つぎのようにあります。
ガラス管の中に着色したアルコールまたは灯油を入れ,その熱膨張を利用した棒状の温度計
「灯油」という記述があるんですね。不思議に思ったらまずは辞典を読まなくてはいけません!!
一般的なことばすぎるのでしょうか,理化学辞典には「アルコール温度計」は載っていませんでした。
沸点 メチルアルコール ・・・ 64.7℃
エチルアルコール ・・ 78.3℃
灯油 150 〜 280℃
軽油 200 〜 350℃
こうしてみると,よく理科室においてある100℃の「アルコール温度計」の中身は着色した灯油とい
うことがわかると思います。
このあたりのことは,京都パスカルの杉原和男さんが詳しく紹介されています。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sugicom/kazuo/neta/ondo.html
温度計の歴史
1592年ころ ガリレイが最初の温度計を作る
先端が球状にしたガラス管を垂直にして水につける
温度が下がると空気が縮んで管の中を水が上がってくる
1640年ころ フィレンツェの科学者
空気を抜いたガラス管にアルコールを入れた温度計を作る
以来,温度計は「アルコール温度計」と呼ばれるようになった。