例会速報 2000/04/19 慶應義塾高校
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宇宙スペクトル博物館 山本の紹介
岡山天体物理観測所と大阪教育大学天文学研究室が開発した教育用CD-ROM「宇宙スペクトル博物館」。光やスペクトルの基本的解説から、諸元素、諸天体の実際のスペクトル写真のデータまで、豊富な内容。スペクトルデータ集としても有効。
このCD-ROMが郵送料負担だけで無料で送ってもらえる。申し込みはここ。
ダイナビーの回転数 山本の発表
YPCニュースNo.144に掲載の「ダイナビーの力学」の続報。原理にしたがって計算すると、ダイナビーのうたい文句「毎分8000回転」もまんざらウソでないことがわかるが、それを直接測定することを試みた。ダイナビーの回転子に小型のネオジム磁石を埋め込み、外側にピックアップコイル(エナメル線10回巻き)を貼り付けてオシロスコープに直接入力して観察する。回転子の軸がどう回転しても、赤道に埋め込んだ磁石は必ず底部の中心を通るので、この位置にコイルがあれば回転数が検出できる。
オシロスコープで観察された波形。水平軸は5ms/div(左)と1ms/div(右)、鉛直軸は共に10mV/divである。うなりをあげてかなり速く回転しているときのものだ。周期は左からは約8.5ms、右からは8.0msと読める。回転数はそれぞれ約7060rpm、7500rpmとなり、「毎分8000回転」がリーズナブルであることが裏付けられる。
なお、日比谷高校の吉澤氏は、ダイナビーの回転音をFFT-Wave(野津氏作)でフーリエ解析し、134Hz=8040rpmという結果を得ている。本実験は同氏の測定とも整合する。
サイズセグリゲーション六角ナット効果 右近さんの発表
Physics Today誌2000年3月号に載った小さな記事の追実験である。ナット、ワッシャ、画鋲などを、食塩や虹ビーズなどの粉体の中に入れ、容器を振動させると粉体よりも密度が大きいにもかかわらず、これらのものが表面に浮いてくる。つまり重いから沈むとは限らないのである。 size segregationと呼ばれるこの現象、ミックスナッツでは決まって大きいものが浮上していることから「ブラジルナッツ効果」とあだ名されている。
さらに面白いのは、容器の筒を縦に揺するとナット、ワッシャなどが浮上してくるのに対し、横にして振動させると画鋲が浮上してくるのである。つまり振動のさせ方で結果が異なってくる。密度や大きさだけでなく形状などの要素もからむ複雑な現象のようだ。
サイエンスチャンネルの紹介 水上さんの紹介
この春から2年間の予定で、科学技術振興事業団へ出向している水上さんは、科学技術啓蒙のCS放送「サイエンスチャンネル」の担当になった。番組の紹介の他、お台場に建設されている「サイエンスワールド」の事業計画などについても話があった。
プラズマボール 小沢さんの発表
小沢さんが香港で仕入れてきたプラズマボール。ガラス容器に指を近づけるとプラズマのアークが吸い付くように集まってくる。蛍光管を近づけるとご覧のように光る。高周波による放電現象を利用しているのだろう。この製品、日本でも同種のものを見かけるのだが、問題はお値段。小沢さんの仕入れ値は、日本円にして約2000円だそうだ。欲しい!!直輸入で共同購入だ!!との声が飛び交った。
虹のでき方 山本の発表
ご承知のように、虹は空中の水滴中で光が反射・屈折して生じる現象だが、水滴の中での光の屈折と分散のようすを、見やすくわかりやすく演示する手軽な方法をご紹介しよう。
中村理科工業株式会社のスタンダードな実験教材「光学水槽RT-100N」を転用する。まず、同装置のランプハウスをはずし、30cm定規などを利用して直角にアームをつける。
これを下の写真のように支点のボルトにひっかけるようにして水平にスライドさせ、光線の入射位置を平行移動させるのだ。もちろん水槽には口いっぱいまで水を満たして水滴に見立てる。
部屋を暗くして観察すると、虹を作る光の経路は一目瞭然。適当な位置にスクリーンを設けると分光したスペクトルの帯が映る。光源をスライドさせて、散乱角に極大(虹角)が存在することも観察させたい。光源はフィラメントを焼き切らない程度にできるだけ明るく白色にするとよい。
台湾のお土産 小沢さんの発表
小沢さんの台湾情報だ。「東京ウォーカー」と全く同じ体裁の「台北ウォーカー」や日本でもおなじみの東急ハンズの店内案内・ハンズノートなど、日本の文化丸ごと輸出という感じ。
台湾土産はレーザーポインター。そんなの秋葉原でも手にはいるって?でもお値段が違います。ホログラムフィルター4個と、スペアバッテリー3個がついて、日本円にして約¥200。秋月もグッドマンもびっくり!これはやっぱりGETでしょう。
ニュージーランドのお土産 鈴木亮太郎さんの即売会
世界を飛び回る鈴木さんのニュージーランド土産は、南半球用の星座早見盤とワインスタンド。それぞれ希望者で恒例のジャンケン争奪戦が繰り広げられた。
星座早見は日本では見慣れない星座がずいぶんあり、もちろん逆回転。裏側にっは南半球での北天用もあるのが興味深い。
レインボー・モアレ 渡辺さんの発表
渡辺さんが、ガリレオ工房の例会で大原さんから教わってきたネタを披露してくれた。透明シートに黒インクで印刷されたお城の絵を、ある紙に重ねると、あら不思議。虹色の縞模様が現れる。モアレの応用のようだが発色のしくみやいかに。
種明かしは下のとおり。紙には三原色の細かいストライプが印刷してある。これがお城の格子とモアレを作るのだ。3色のモアレパターンが交互に現れて虹に見えるというわけ。これは面白い。
何かに使えませんか? 渡辺さんの問題提起
渡辺さんが持ってきたのはプラスチックのフレネルレンズの営業用見本。装飾用なのだろうが、何かの実験に使えないだろうか。反射型のフレネルミラーがちょっと面白そうだった。ただいまアイデア募集中。
アルソミトラの種販売開始 中村理科の新製品紹介
あの天然のグライダー「アルソミトラの種」が中村理科から正式に発売された。これで教材として安定供給の道が開けた。10枚組\2500というお値段もリーズナブル。「木や実の写真もつけたら?」という進言もあった。
モデルロケットエンジンの噴射試験 金子さんの発表
いまYPCではロケットがひそかなブーム。映画「遠い空の向こうに」、原著「ロケット・ボーイズ」がこれに拍車をかけている。それはさておき、金子さんは汎用モデルロケットエンジンA−8の地上燃焼試験を行った。打ち上げの経験がある人は少なくないが、こういうデータは珍しいだろう。
燃焼開始。ジェットは鋭く後方に集中して噴射している。安定して数秒間燃焼する。
逆噴射の瞬間。この噴射によりパラシュートを打ち出したり、第二段の分離を行ったりする。
別の角度から見た逆噴射。かなり激しい噴射で、広範囲に炎が及ぶのに驚く。この実験はかなり危ないので、追試を試みる方はくれぐれもご注意を。
CEAT報告など 高杉さんの発表
東京化学教育研究会CEATの活動報告など、興味深い話題を提供してくれた高杉さんが広げて見せているのは、エクスプロラトリアムの機関誌。国際会員の高杉さんに定期的に送られてくる。高杉さんは色々な方面にアンテナを張っている。
高杉さんが紹介してくれた一冊の本。「紙のおもちゃランド」すずお泰樹著(いかだ社)。折り紙や紙工作を集めた本だが、理科教材にも転用できそうなアイデアが詰まっている。
映画の中の物理 小河原さんの発表
パニック映画「スピード」の一場面。爆弾を仕掛けられ、高速で走り続けなければならないはめになった大型バスが、工事中の高速道に入り、まだ接続していない高架部分にさしかかる。水平投射なら助かる道理はない。しかし、映画のバスは見事、このギャップを飛び越すのである(^O^)。
小河原さんは、バスの速度を31m/s程度と推測、上り坂だとしたらどのぐらいの勾配ならつじつまが合うかを計算した。結果は8.9度。でも画面のバスは、それより急角度で空へ舞い上がっていた。先端をクレーンでつったバスを実際に走らせてスタントを行っているのではないかというのがその場の議論の終着点だった。
ブラウン運動の観察 喜多さんの発表
顕微鏡テレビカメラでいろいろなブラウン運動をとらえた興味深い映像が紹介された。牛乳、絵の具の顔料(左写真)、線香の煙などいずれも動きがよくわかる。倍率は600倍ぐらいとのこと。
二次会 日吉駅浜銀通り龍竹酒家にて
今夜の二次会もも17人が集った。お疲れさま、カンパーイ。
中村社長が興じているのはちょっと変わったヨーヨー。偏芯したプラスチックリングをつっている糸を上下動し、タイミングをうまく合わせて回転させる。宮田さんの置きみやげで、出所不明。中村理科の製品ではない・・・念のため。
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