例会速報 2001/06/20 県立湘南台高校


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ゴム動力ヘリコプター 堀さんの発表
 科学技術週間行事「子ども実験工作ランド」での工作ネタのご披露。ゴム動力模型飛行機のプロペラで飛ばすヘリコプターだ。機体の逆回転防止のためスチレンボードのうちわのようなものがとりつけてある。日本インドアエアロクラブの藤原瑞吉さんのご考案。

 

ハネナイトを使って力→仕事→熱 高橋さんの発表
 一見同じように見える二つの黒いボール。一方はスーパーボール、他方はハネナイトボール(非弾性ゴム製)である。ハンマーで100回ほどたたいてデジタル温度計で表面温度を測ると、もとの温度27.3℃に対し、スーパーボール28.3℃、ハネナイトボール35.3℃と明らかに差が出る。非弾性衝突では力学的エネルギーが熱に変換されていることの証明だ。

 YPCの徳永さん考案の弾性非弾性ハンマーも同じ原理。

ストロボライト 高橋さんの発表
 東急ハンズで売っているという、ストロボライト。キセノン管が間欠的に発光する。発光間隔は約10秒から1秒とちょっと長いが、タイミング回路を改造してコンデンサーでも取り替えれば、ストロボスコープとして使えるのではないかという話になった。ちょっと興味深いアイテムではある。今後の発展に期待しよう。

3次元等電位面と巨大電気振り子 右近さんの発表
 直径10cmほどの発泡スチロール球にアルミホイルをかぶせ、天井から長い絶縁糸でつるす。これに例の小型高圧電源装置で電圧を加えると、周辺の空間に電界ができる。 この電界の等電位面を見るのに右近さんが持ち出したのは、はく検電器だった。検電器の上皿と導線で結んだプローブ(金属容器の中で固形燃料を燃やしておく)で帯電球の周辺の空間を探ると、はく検電器がおかれた場所との電位差によりはくが開く。はくが開かない場所をたどると立体的な等電位面が描き出されるというしくみだ。
 さらに大きな導体板で平行板コンデンサーを作り、間に巨大電気振り子をつるすと、球がゆっくりと左右に振れて金属板に交互に接触し、電荷を運ぶ。のんびりとしたテンポで「癒し系」の実験である。小型高圧電源はこのような大型デモ実験にうってつけだ。ただし感電にはくれぐれもご注意。


 

デジカメによる気球空撮 山本の発表
 ふじさわ環境フェアのイベントで使用するために開発した気球による空中撮影用デジカメである。ヘリウム量を節約するため機器の軽量化が最大のポイントだ。改造したのは富士フイルムアクシアの軽量デジカメ「iX-1」実売価格は\9000を下回る。画素数は33万と少ないが、デモ用には十分なので妥協した。シャッター部のスイッチにC-MOSタイマーIC・LMC555を用いた間欠パルス回路を付加し、一定時間ごとに自動撮影を行う。回路設計は宮田さんのお世話になった。

 


 都合よく雲台も付属しているのでこれをとりつけ具とする。電池・回路も含めた質量は130g弱。二本糸で操りカメラの向きを制御する。ご覧のように風船数十個でも浮くのでお祭り向きである。ただし風には極めて弱い。完全無風状態でないと安定した撮影ができない。風があるときは凧の使用がよいだろう。

 このカメラによるテスト撮影の画像はここ

回る浮沈子魚釣り編 伊藤君の発表
 浮沈子界に新たなブレイクスルーを作った「回る浮沈子・魚釣り編」の開発者、鎌倉学園の伊藤君が仲間の森君、顧問の市江先生と共に登場。制作のコツを披露してくれた。

ダイソーの双眼鏡 市江さんの発表
 ダイソーの100円オペラグラス。製品を作ってくれた人には申し訳ないが、望遠鏡用の部品取りにいいかも。

町工場で作る実験器具あれこれ 徳永さんの発表
 YPC初参加の徳永さんは、ご実家が町工場だという。あり合わせのもので試作してもらったという実験器具のあれこれを披露してくれた。

 左は小粒の発泡スチロール球をふるい分ける専用「組メッシュ」。大きさ別に分類したスチロール球で、超小型分子模型を作る。ジュエリーケースに収まるミニミニサイズの分子模型はとてもかわいい。

 下左は「PETボトル用圧力計つき加圧弁」。圧力が直読できるのでボイルの法則などの定量実験ができ安全である。下右は「ジャムびん用減圧弁」。ジャムびんを真空容器として使い、注射器を真空ポンプにするあたり、先月紹介した中村理科の「真空実験キット」と同じ原理だ。

 「こういうものを量産して安く売れたらなあ。」とは皆の一致した意見だったが、コマーシャルベースにのせるまでには多くのハードルを越えなければならない。


 

ガリレイ式望遠鏡 市江さんの発表
 イタリア年企画の「ダ・ヴィンチとルネサンスの発明家たち展」(7月10日〜9月2日、お台場・日本科学未来館)に関連して、市江さんが現在取り組んでいるのは、ガリレイ式望遠鏡の模型工作だ。Webページを見て、会場に来てくれた子供達に望遠鏡キットをプレゼントしようというわけだ。これらはその試作品。

 会場ではガリレイ式とケプラー式(現在の屈折式天体望遠鏡はこのタイプ)の見比べをしてもらい、原理の違いに気づいてもらう予定。夏休みの自由研究にも使えそうなネタでしょ(^^)。キットは数に限りがあるので、ほしい人はお早めに会場へ。

 「日本におけるイタリア2001年」の公式サイトはここ。→日本におけるイタリア2001年日本語オフィシャルサイト

ドームになったセブンブリッジ 車田さんの発表
 これも「ダ・ヴィンチとルネサンスの発明家たち展」に関連した発表。ルネサンス期の代表的建築家ブルネレスキは多くの巨大ドーム建築を手がけたので有名。さて、その建築法だが、高い足場を組むことなく、下からレンガを積み上げながら漆喰で固めていく工法がとられたらしい。それでどうして天井が落ちないのかと言えば、YPCではおなじみの「セブンブリッジ」の原理の応用なのだ。

 下は車田さんが得意の発泡ポリウレタン工作で作ったドームの構成モデル。ブロックを下の段から順に積み上げていくと、各ブロックはたがいにもたれ合いながら、しっかりと結合しあい、力を分散して自重を支えるのである。接着剤など何も使わなくてもしっかりとして崩れない構造ができあがる。


 


 まだ製作途中だがやがて頂上には尖塔が乗る予定。いずれイタリア年公式サイトで公開され、未来館の会場で観客に触れてもらえる日がくるだろう。

CDの溝は1mmあたり何本か? 小沢さんの発表
 毎回、日々の授業実践を披露してくれる小沢さん。手軽でスタンダードな実験で全員参加をめざす。今回は光の単元だ。CDにレーザーポインターの光を当て、干渉光をくもりガラスを動かして探る。測定した角度からCDのピット列のピッチを求めるという教材だ。

屈折の法則 小沢さんの発表
 同じく小沢さんの授業から。入射角と屈折角を実測させ、ひとつひとつの測定点を方眼上にシールではりつけていく。角度対角度、サイン対サインの二つのグラフを描いて比較すると、屈折の法則の意味するところが視覚的に確認できる。

 

円錐振り子に見える単振り子の実験に使えるメガネ 小沢さんの発表
 片目だけにダークフィルターをかけて動く振り子を見ると、明るさによる感覚時間の違いから、疑似視差を生じ、ただの単振り子が円錐振り子に見えるという現象は以前小沢さんが例会で紹介してくれた。

 これはダイソーで売っているおもちゃのメガネだが、フィルターの部分がそれぞれ開閉するようになっていて、左右交互にフィルターをかけてこの現象を観察するのに向いている。一度おためしあれ。

 静止画像では単振り子の奇妙な立体感をお伝えできないのが残念。

巨大拡散型霧箱 中村理科の工場見学
 日本を代表する理科教材製作・販売会社、中村理科工業株式会社の社長の中村さんが例会に顔を出してくれた。実は中村理科の下請け工場が、例会会場の湘南台高校のすぐそばにあるのだ。二次会に向かう前に中村さんの案内でそのケー・エヌ工業を訪ねた。ここでは写真の巨大な拡散型霧箱が製造されている。北陸電力エネルギー科学館に納品されたものの改良版だ。大きな窓の中では、天然の放射線の飛跡が、まるで飛行機雲のように太くはっきりと、そしてひっきりなしに現れては消える。線源など何も入れなくても、常時数本の飛跡が見えているのである。それは見事なものだ。一同、あっけにとられて見入る。お値段は「時価」、構造は「企業秘密」とのこと。
 

二次会 湘南台駅前「紅葉」にて
 18名が参加。霧箱の強烈な印象を引きずりながら、近くのお好み焼き屋でカンパーイ。暑い夏に、熱い鉄板を囲んで、科学教育の未来を熱く語ろう。


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