小さい頃,橋の手すりや電柱みたいに一定間隔で繰り返されるパターンにそって歩くときに,あるところで足の位置を合わせてから歩幅を一定にして歩いていって,またどこかで一致するのを楽しんだものです。そのうち,「これって,なかなか一致しないようでも,どこかではまたぴったりになりそうだなあ」と想像していました。

電柱の間隔を D, 歩幅を S としたとき
n D = m S
なる整数の組 n, m は必ず存在する。

と思い込んでいたわけです。しかしこれは中学で無理数を学んだときに誤りであることが分かってしまいました。もし D/S が無理数であれば,上のような n, m は存在できないからです。

 それでもあきらめはつきません。だって十分に長い距離を歩いていけば,足と電柱がほとんど一致するところがあるのは確かだと思えたからです。そこで次のように考えました。

電柱の間隔を D, 歩幅を S としたとき
適当な整数の組 n, m をとれば
n D - m S = 0 とできるか,もしそうできないときにも
|n D - m S| はいくらでも小さくできる。

ここで,|n D - m S|というのは電柱の位置と足の位置のずれです。ゼロにできるというのは D/S が有理数のときで,そうできなくても ほとんど一致したところがあって,しかもずっと遠くまで歩いていくと,さらにずれを小さくできる場所があるはずだというわけです。これは証明可能です。やってはいませんが,証明手順が見えているからたぶん大丈夫(ある任意の実数εがあって・・・とかいうやつね)。

ところが,ここでまた分からなくなってしまいます。まず,上の定理は次のようにも言い換えられます。

電柱の間隔を D, 歩幅を S としたとき,D/S が無理数であれば
増加する整数の列 m1, m2, m3, ..., mi,... に対して
|ni D - mi S|がゼロに漸近するように m1, m2, ... と n1, n2, ...を定めることができる。
|ni D - mi S|がゼロに漸近するように 増加する数列の組 m1, m2, ... と n1, n2, ...を定めることができる。 でしょうか?mnに対して定めるってところがどうもわかりません。

そうですね。訂正していただいたもののほうがいいですね。ちょっと迷ったのは, m1, m2, ... は増加する数列だけど, n1, n2, ...はそうではないところが,区別しにくいこと。

下付きの添字ができないので,1,2 や i は右下にあると心眼でみてください。さてここで,別の無限数列を考えることにしましょう。

a1 = 0.3, a2 = 0.33, a3 = 0.333, ... という数列を考えると
ai の i → ∞ での極限は 1/3 

だから, 0.3333.... = 1/3 だ!と中学の数学の先生に教わりました。手許の本にもそんなことが書いてあります。だけど,そうだとしたら,上でむりやり作った数列 |ni D - mi S|の i → ∞ での極限はゼロなんだから,|n∞ D - m∞ S| = 0 ですね。あれ? D/S は無理数としたはずなんだけど!


こういうのって「忘れて」しまいますよね。僕ももうすっかり忘れていました。確かにそうです。そんなこと思いながら歩いていましたねえ。むふふ。ちなみに家のMacのSafariだと文字化けてました。なぜだろうなぜかしら。っていうわけで今からちゃんと読みます。


こういう幼時体験の中には数論やトポロジーなどに結びつくものが沢山あるように思うのですが,さて他にはどんなことがあったかなあ。そうそう,先日の第2回勉強会で出てきた小学低学年の立体認識は,彼らにとって何が空間の保存量なのかを窺わせて面白かった。


さて何が疑問なのでしょうか?ってそこがネタとしては面白いところなんですね?きっと。無理数をcauthy列の極限で定義するなんざあ、それこそrubyなんかの得意とするところじゃありませんかあ。うふふ。


考えているといろいろ思い出すものですね。私の場合はステップと柵?欄干で、変拍子とか3拍5連なんか合わしてましたねえ。この場合は一定のスピード(テンポ)で歩くことが肝要ですけど。


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Last-modified: 2003-09-19 (金) 22:05:52 (7522d)