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2008新学年(高1生)


5月29日(木)29th.May

今年度もサイエンス・ラボの担当をすることになりました.スウェーデンとのテレビ会議を通しての協同学習を前提にしましたので,男子6女子4の計10名の構成です.

昨年度フラクタル理論を数学的に少し突き詰めた形から導入したのに対して,今回はPCで先に体験させる手法から取り組むことにしました.アフィン変換を用いて樹木曲線を描かせることを取り組めなかった実態がありましたので,まずその活動の中でどのようなことができるか取り組んでみたいと考えました.

まず,アフィン変換に辿り着くまでに,1次変換を点から点,線から線,面から面への変換という限定された内容にしました. 無謀ですが,まず行列の積を教え,点から点への変換になっていることを示しました. 直線や線分で囲まれた図形がこれらの点の集合であるとした前提で,2行2列の各要素がどんな役割があるのかに興味を持たせることに終始しました.そこで,PCソフトGRAPESのサンプルの中にある「1次変換_ネコ」を用いて,自作のワークシート使いました.

worksheet0529.JPG

各要素を変えて,楽しんで初めて扱うGrapesを使っていました.相似や回転,対称移動の 様子をうまく捉えていたと考えられます.生徒に対して「色々な移動を試みているが,今君達が学んでいる図形の移動で足りないものがある」と問い質すと「平行移動」と即答えてくれたので,「アフィン変換」への学習動機に繋げることに成功しました.1人「2行2列の行列と図形変換の関わりが腑に落ちない」と聞いてきましたので,座標軸の変換について説明すると納得できたようです.


6月5日(木)5th.June

10進basicを用いてプログラミングによるフラクタル図形の製作を目指してみることにしました.その前に一本の線分からアフィン変換を使って樹木を作る仕組みを理解させるために,以下のような手作業で書き込めるワークシートを作りました.

worksheet0605.JPG

表は,等比数列の一般項や和,無限級数へのイメージ作りに役立てるつもりで添えてあります.

樹木曲線を描く上での目標は,

,海亮木が基の線分を1/2に縮小し,60゜と-60゜回転し,そして基の線分の長さだけ平行移動をしている合成変換を生徒が理解しているか

増えた分の枝の長さと本数の積がどうなっているか,枝の長さの総計がどう変化しているかを捉えられているか

F韻孤修表計算ソフトExcelを用いた技法で,興味を持って算出できるか

としました.初めて使用したのにも関わらず,非常に順応が早く,枠に数値をそのまま代入するのではなく,式を作成しコピー&ペーストを効果的に活用することに挑戦させました.(実は,これが等比数列の一般項を求める導入になるのですが)

さすがに,今年はnの時あるいはn→∞にした時の結論をExcelで計算させようとした生徒はおりませんでした.今日の授業はここまで.

次回は,具体的に10進BASICを使用することとこの樹木をプログラムで演示をしましたら,感動の歓声が上がり興味を示したのでうまく動機付けができたようです.


6月12日(木)12th.June

今日は,等比数列の学習と10進BASICでのプログラミングを目指しました. 活動内容は,以下の順です.

1.小線分の本数の様子はどのように増えているか.N回目の本数は何本になるか.∞回すると何本になるか.それぞれを考えさせる.予想でもよい. (自作テキストのp.8 等比数列の一般項の練習問題を解かせる)

2.1と同様に,線分の長さの総和の場合はどのように増えているかを考えさせる.

3.10進basicで樹木曲線を描かせてみる.

(1) 拡大縮小+回転+平行移動がアフィン変換であることの再確認をする. ※行列の成分を変化させるプログラムでも良いが,ここでは簡易的な作図中心で良い.cそこで,アフィン変換の構造を理解すれば良いので,10進basic独自の関数を用いることとする.

(2) (自作テキストp.41)→SCALE,ROTATE,SHIFTの説明

   DRAW TREE(N-1) WITH SCALE(1/2,1/2)*ROTATE(-PI/3)*SHIFT(0,3)
   DRAW TREE(N-1) WITH SCALE(1/2,1/2)*ROTATE(PI/3)*SHIFT(0,3)

(3) ソースを生徒に触らせて,数値によってどのように変化が生じるか調べ・考察させてみる. COLOR(red){※弧度法の説明は,次時の授業で行うこととする)

4.この枝別れの縮小率を変えると,枝が重なったり大きく離れたりするが,重なるか重ならないかの微妙な縮小率はいくらになるのかを次のテーマとする.  →黄金比の登場(自作テキストp.22)

解説付きのソース

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板書の様子・・・初項と公比が等しい時に,指数法則を用いて整理をしなければならなかった.しかし,1人の男子生徒は手解きなく,解答をした

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(左)Excelで表の完成を進める(右)数値を変化させて描かれた図を考察している様子

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6月19日(木)19th.June

今日は,期末試験前の最後の授業でした.こちらの目標としては,プログラムを駆使して色んな樹木を描画できるかどうかを考えさせる迄が関の山と考えていました. プログラムには,弧度法を用います.そして,黄金樹木には黄金比(黄金数)が登場します.ですので,黄金分割の内容の指導を少し導入しました.

今回の講師は,山本育央先生が行い,私は補助を中心にさせて頂きました.

yamamoto.JPG

板書の様子・・・度数法表示を弧度法で機械的に表せるまでしました.黄金比とフィボナッチ数の紹介

フィボナッチ数列の生成の特徴を知っている生徒もいたので,Excelでそれを表現できるかどうかをさせました.(検討できるPCが身近にあると生徒の反応が非常に良く,生き生きします.)また,隣り合わせの項の比もExcelで導出して,その特徴を調べるように指示しました.生徒から「本当にExcel(計算ソフト)って素晴らしい」と言葉が出るほど,初めて体験する授業方法や環境を喜んでいました.

fiboexcel.JPG

(左図)セルに計算式を入れて,黄金比を算出した様子.(右図)当初コピー貼り付けの手段を使っている様子.(指示してその手法を指導した)

さて,次は樹木曲線のソースの縮小率(0<a<1)を色々と変化させて,先程の黄金比の値を代入するとどうなるのかを考察させました.

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黄金比は生物の成長に只ならぬ関与をしているのではないだろうか?と発問をしました. 「全てがそうではないんじゃない?」と返答した女生徒は,なかなかのもの.

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※枝が重なるか重ならないかの状態の縮小率が黄金比であることの証明は,していません.夏休みの宿題にしようかな?

次に,自作テキストのp.51を開けて他の樹木に似たグラフィックをプログラムで製作するように指示しました.また,枯れ木の画像をネットから取り寄せ,その図に近づけるにはどうすれば良いかをテーマにしました.  生徒は一生懸命のめり込んでいましたので,期末試験後の最初授業で続きができるように指示して本日の授業を終えました.

jyumokukosatsu.JPG

縮小率を変えたり,枝を増やすために命令行を増やしたり,平行移動や回転の数値を変えることで色々な樹木が表れます.


7月10日(木)10th.July

今日は,フラクタルの基本的な例となるKoch curveSierpinski's Gasketについて考察をさせました.

樹木曲線においては,前回の授業までは「世代毎に生まれる新たな小枝の本数」・「各世代全ての枝の総数」・「枝の長さの総和」を等差・等比・階差数列という考えに当てはめて,excelで計算し,ワークシートを完成させました.また枝の長さの総和は無限大になることは既に確認済みです.そこで,今日の授業では,再度拡大・縮小+回転+平行移動による作図であったことを意識させてからコッホ曲線とシェルピンスキーの三角形のワークシートの制作活動に着手させました.

コッホ曲線では,線分(1次元)を用いた各世代に対して,線分の本数や長さの総和を調べさせました.excelで計算させますので予想は彼らにできます.そこで世代を延々と続ければ線分の長さの総和が∞になっていくことは理解しました.【1次元から2次元の世界へ近づく作業】

次に,二等辺三角形(2次元)を用いた各世代に対して,三角形の個数や面積の総和を調べさせました.しかし,彼らは三角形の個数の変化の特徴を簡単に理解できたのですが,面積の総和については機能的に計算ができなかったのです. つまり,

   (1)三角形の辺の縮小率と高さの縮小率が異なると考えてしまっている.
   (2)相似を用いて,三角形の面積比を求めることができない.(現在は,高1「図形の計量」で学ぶ)
   (3)底辺×高さ÷2という手段で,各世代の三角形1つ1つを計算して加えてしまう.
   (4)柔軟な発想で,()第1世代の三角形の面積が最大値であるから,世代が進むにつれて三角形をくり抜いて総和を考える ()そのくり抜く三角形も相似を用いて計算する ことに及ばない.

ということで,少し手間取りました.でも,生徒達は簡単そうで意外と求められない計算対象に,困惑を憶えながらも熱心に解いておりました.

bansyo0710.JPG

板書状況.相似によって求める解説も加えました.

やがて,どのように求めれば良いのか議論が始まりました.

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ホワイトボードでどのように求めたかを説明している様子

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1人で考え込んだり,先生が刺激を与えたりしている様子

三角形の面積の総和の様子が理解した頃に,締めくくりとして世代を延々と続ければ三角形の面積の総和が0に近づくということを理解しました.【2次元から1次元の世界へ近づく作業】

フラクタル次元として2次元と1次元の間にある図形は,線の長さの総和は∞,面積の総和は0に近づくということを確認しました.

3次元と2次元の間にある図形の特徴は,次の授業で示します.次回は作図プログラムを行う予定です.

※大御所に特別授業を依頼しており,複素数平面の事前授業を講じなければなりません.ちょっと焦っています.


7月10日(木) 17th.July

今日は終業式前日の授業でしたので、1学期の総括の意味でコッホ曲線とシェルピンスキーのガスケットを描くことを目指しました.線で描くコッホ曲線のソースを与え、入力をさせました.正確に打ち込ませることを前提として、もしミスをして実行させたときに変な図形になったら何故そうなったのかを考えさせるためです.

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次に、そのソースを母体にしながら面で描くコッホ曲線のソースを与えました.その時には、さらにアフィン変換の仕組みを意識させました.「底角30゚の二等辺三角形を円に代えてもコッホ曲線が描けるよ」と指示すると正方形で描き出す生徒も出てきました.

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続いて、シェルピンスキーのガスケットを描かせることにしました.ただし、今度はアフィン変換の仕組みを理解しているかどうかを確かめることに重点をおきました.図のようなワークシートに3行の記入枠を拵えて考えさせたのですが,プログラムやアフィン変換の構成の理解に個人差があり苦労していました.結局理解できた者が、友達に教えての終了としました.

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また、フォトニックフラクタルの一面に取り組む課題を指示しました.

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1学期終了



添付ファイル: file200807174.JPG 722件 [詳細] file200807173.JPG 675件 [詳細] file200807172.JPG 713件 [詳細] file200807171.JPG 694件 [詳細] file200807102.JPG 709件 [詳細] file200807101.JPG 658件 [詳細] filebansyo0710.JPG 691件 [詳細] filejyumokukosatsu.JPG 718件 [詳細] filekaisetsu.JPG 729件 [詳細] filejyumokuo.5o.7.JPG 735件 [詳細] filefiboexcel.JPG 725件 [詳細] fileyamamoto.JPG 726件 [詳細] filelabo061202.JPG 701件 [詳細] filelabo061201.JPG 729件 [詳細] fileworksheet0612.JPG 712件 [詳細] fileworksheet0605.JPG 703件 [詳細] fileworksheet0529.JPG 669件 [詳細]

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Last-modified: 2009-01-08 (木) 03:30:48 (5584d)