COLOR(#006789){小さい頃,橋の手すりや電柱みたいに一定間隔で繰り返されるパターンにそって歩くときに,あるところで足の位置を合わせてから進んでいって,またどこかで一致するのを楽しんだものです。そのうち,「これって,なかなか一致しないようでも,どこかではまたぴったりになりそうだなあ」と想像していました。}

CENTER:電柱の間隔を D, 歩幅を S としたとき
CENTER: n D = m S
CENTER: なる整数の組 n, m は必ず存在する。

COLOR(#006789){と思い込んでいたわけです。しかしこれは無理数を学んだときに誤りであることが分かってしまいました。もし D/S が無理数であれば,上のような n, m は存在できないからです。}


COLOR(#006789){それでもあきらめはつきません。だって十分に長い距離を歩いていけば,足と電柱が''ほとんど''一致するところがあるのは確かだと思えたからです。そこで次のように考えました。}


CENTER:電柱の間隔を D, 歩幅を S としたとき
CENTER:適当な整数の組 n, m をとれば
CENTER:|n D - m S| はいくらでも小さくできる。

COLOR(#006789){ここで,|n D - m S|というのは電柱の位置と足の位置のずれですから,ようするに ''ほとんど''一致したところがあって,しかもずっと遠くまで歩いていくと,さらにずれを小さくできる場所があるはずだというわけです。これは証明可能です。やってはいませんが,証明手順が見えているからたぶん大丈夫。}

COLOR(#006789){ところが,ここでまた分からなくなってしまいます。上の定理は次のようにも言い換えられます。}

CENTER:電柱の間隔を D, 歩幅を S としたとき,D/S が無理数であれば
CENTER:増加する整数の列 m1, m2, m3, ..., mi,... に対して
CENTER:|ni D - mi S|がゼロに漸近するように m1, m2, ... と n1, n2, ...を定めることができる


COLOR(#006789){下付きの添字ができないので,i は右下にあると心眼でみてください。さてここで,別の無限数列を考えることにしましょう。}

CENTER:a1 = 0.3, a2 = 0.33, a3 = 0.333, ... という数列を考えると
CENTER: ai の i → ∞ での極限は 1/3

COLOR(#006789){だから, 0.3333.... = 1/3 だ!と中学の数学の先生に教わりました。手許の本にもそんなことが書いてあります。だけど,そうだとしたら,上でむりやり作った数列 |ni D - mi S|の i → ∞ での極限はゼロなんだから,|n∞ D - m∞ S| = 0 ですね。あれ? D/S は無理数としたはずなんだけど!}


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