ニューコメンの大気圧機関

 ボイラー部分は電熱器を利用して蒸気を作っています。電圧計、電流計を使い消費電力を測定します。
 作用器ではピンチコックAを開くことにより蒸気の圧力でビームを持ち上げ、次に、ピンチコックAを閉じ、ピンチコックBを開くことで
蒸気を凝縮させ、大気圧によりビームが下がります。ビームの他端には汲み上げポンプがついていて、水を汲みます。どれだけの水を汲み上
げたかを量ることで、得られた仕事量が求められます。
 こうして、この再現モデルの熱効率が求められますが、実際に測定してみたところ何と0.028%
 装置が小さいので外部に逃げる熱の割合が多く、効率は悪いです。

 動作中の作用器のビデオ映像から、圧力計のPと注射筒の目盛りからVを測り、筒内のP−V図(全体図の下にあります)をつくり、作用器部分の1サイクルの仕事量を
測定したところ、熱効率は0.24%。先ほどの10倍。ビーム部での無効な仕事がかなりあることがわかりました。
 排水部の温度は、K型熱伝対を使って測ったところ約70度。注水時は25度程度。
 ボイラー部の温度を100度としても、仕事を得るためには、ほとんどの熱を捨てなければならないことが理解できます。

 熱を効率的に仕事に転換するのは本当に難しいことだ、といことが実感できる装置です。

 装置各部の拡大写真(下にたくさんあります)を見てください。


装置を前に説明する川上さん


ニューコメンの大気圧機関再現装置の全体図






装置の全体


ボイラー部

ボイラー部。水の減少を測ることができるようになっている。

                電熱器↑
                安全弁↓
作用器 作用器の注射筒
凝縮用の水をためてあります。
圧がかかるので、ピンチコック
を開くだけで、水が作用器の
中に出ます。


ビーム部分

汲み上げポンプ部 灯油用の道具をうまく利用してあります。