2001年7月14日(土)惟信高校での例会の記録です。

 今年は7月にはいって猛暑が続いています。例会の会場はもちろん冷房などなし。
気温の暑さに加え、議論の厚さも加わり、文字通り熱い例会でした。
 それにしても、わからないこと、うまく説明できないこと、が、なくなることなくたくさん
出ます。私たちが追求し続ける限り、未解決の問題が途切れることなく出続けるのでしょう。

 あせらず、さわがず、一歩一歩歩み続けましょう。


ニューコメンの蒸気機関
(川上さん)
 今まで、部分的に発表していたニューコメンの蒸気機関の完全復元モデルです。
電流で加熱して蒸気を発生させ、その蒸気でピストンを動かし、ピストンにつながったクランクでポンプを動かし水をくみ上げる。熱効率は極度に悪いが、ちゃんと動いて水をくみ上げます。詳しい記録は次のページでどうぞ。

ニューコメンの蒸気機関
(大きなサイズの図や写真があります)

うなり
(山岡さん)
 うなりの例として音さを使うことが多いですが、振動数が近ければ何でもうなる、という例としてリコーダを使いました。手にもった二本のリコーダをくわえて同時に吹くとうなりが聞こえます。(もちろん長さをわずかに変えてあります)。
 両方の振動数を合わせておいて、片方を氷の上で冷やしてやって吹いてもうなります。温度によって音速が変わり、固有振動数が変化するためです。

重心移動と力
(山岡さん)
 天秤と台ばかりでの問題。
 それぞれ、糸を切ると天秤や台ばかりの目盛りはどうなりますか。
 
 台ばかりの問題は、体重計の上で、沈み込んだり、伸び上がったりするときのモデルになっています。

遠心力おもちゃ
(前田さん)
 針金を2本ねじった軸に、カードに穴をあけて差し込みます。下から押し上げると、いきおいよく回転します。昔からあるおもちゃの手作り版です。カードの穴の形に注目ください。


このような形に穴をあけるのがポイント。

コイン選別機
(前田さん)
 コインの種類によって落ちる場所がかわるという、コイン選別機。
出口にある”へ”の字型のものがくせもの。実はコンピュータのハードディスクの磁石。(下の写真)
 原理は、落ちていくコインに生じる渦電流。コインの種類によって、材料が異なるため、渦電流の大きさに差が出ます。このためブレーキの係り具合が
変わるということです。



白熱電球と豆電球
(前田さん)
 30Wの白熱電球と6.3Vで0.15Aの豆電球を直列につないで、両方つけたい。
どうしたらよいか、という問題です。
そのまま100Vにつなぐと、豆電球は切れてしまいます。

 答えは下の写真。まず豆電球部分をショートさせて白熱電球をつけます。白熱電
球が点灯すると、温度上昇により抵抗値が増大します。その時点で豆電球に通電。
こんどは切れずにちゃんと点灯します。
 フィラメントの抵抗値が温度により大きく変化することを利用したうまい実験です。
 

団子三兄弟
(前田さん)
 水平なL字アルミにばねをつけてぶらさげます。
 輪ゴムの存在により3つのばねは共振します。
 この装置のいい点は、ばねの長さを自由に変えられるという点。(アルミにひっかけるだけ)ばねの長さが変わるということは、ばね定数が変わるのと同じ。よって共振をコントロールできます。

筒はどうなる?
(林さん)
 下の写真のように、自由に動ける筒を用意し、ブロワーで内部に空気を送ってやります。さて、筒はどうなるでしょうか。

 実験してみると、筒がブロワーの近くにあるときは、筒はブロワーに向かって動き出します。筒がブロワーから離れていると、筒はブロワーから遠ざかる向きに動き出します。(当然、動かない場所もあります)

 では、いったいなぜブロワーに向かって動き出すのでしょうか。
 いろいろな考えが出されましたが、結論には至りませんでした。
 右側の写真のように、出口に手をかざすとブロワーへの動きが止まり、逆向きに動きます。これも不思議。
 流体は難しい・・・・。

  


龍神
(川田さん)
 前回の龍神実験の発展版。
 梅酒の瓶の底を切り落とし、ふたにはアルミ箔をはって熱に耐えられるようにしてあります。蓋付きの利点は、内部の圧力を簡単に外部と等しくできること。
 
 紙などを燃焼させると、内部の期待は一時的に膨張し(水面が下がる)、やがて元の体積にもどることが確かめられます。

 下の写真は、リンを燃やしたときのもの。リンの燃焼によりできた酸化物は水に溶けるので、この場合は水面が上昇します。完全に酸素が使われれば、1/5の体積減少が起こるはずですね。

空気エンジン飛行機
(臼井さん)
 空気エンジンを利用した飛行機。ポンプで空気を圧縮して貯め、プロペラを回して飛ぶというもの。空気を入れてから主翼と垂直尾翼をつけます。
 残念ながら、うまく飛びませんでした。機体が重すぎるという意見も。
もしそうなら、飛ばないおもちゃを売るなんて、とんでもいない話ですね。

飛行機を飛ばしている様子。

集中豪雨の資料求む
(戸田さん)
 戸田さんの勤めている若宮商業は、昨年の集中豪雨で、1階が水没する大きな被害を受けました。今、その集中豪雨の資料を集めています。
 NHKで放映された集中豪雨のビデオ、その他の資料など、お手持ちの方は連絡ください。
 


光オルゴール
(奥谷さん)
 フォトトランジスタを使った受光器で、明暗の信号を拾い、音としてだす、フォトオルゴール。
 白色ダイオードで光を出せるようにしてあるので、暗いところでも大丈夫。
 円筒のデータはちゃんと音楽になっていて、円筒を回転させて、端から受光器を動かしていくと楽しいメロディが聞こえてきます。
左側がフォトトランジスタ。右側が白色ダイオード

電界強度計
(奥谷さん)
 電界強度計を2つ紹介。ひとつは右のようなメーター型。近くでモータ(緑色のもの)を回すと針が振り切れます。携帯電話を近くでかけるとやはりメーターは振り切れます。かなりの電波が出ていることがわかります。
 もうひとつはペンシル型。これは持ち運びに便利。先の部分が光ります。

 車のキーからは何が出ているか、という質問があり、早速試してみました。
 でも光りません。
 車のキーは何を利用して遠隔操作をしているのでしょう。

目玉モデル
(奥谷さん)
おもちゃがはいっている透明球を利用して目玉のモデルをつくりました。片側に穴を開けレンズをつけます。反対側をサンドペーパーでけずり、半透明にします。そうして外を見てみると外の景色が映ります。眼球がどういう構造をしているかの面白いモデルです。
ただし、球の大きさにあった焦点距離を持つレンズを探すのが大変。

エントロピーを絵に描けば
(飯田さん)
 化学反応を決定付ける量のひとつのエントロピーをうまく説明する試み。
 熱の入った解説でした。
 が、難しすぎてよくわからないとの声も・・・・

大学入試の問題検討
(岡田さん)
 名古屋大学の入試問題の検討をしての発表。
 磁気モーメントについての設問が、問題点として指摘されました。
 指示に従って計算すれば、答えに到達できるのですが、高校で習わないような概念を出すことについて意見がわれました。
 すなわち、答えが導き出せるようになっていれば、新しい概念の問題もいいのでは、という考えと、習わないような概念の問題が頻出されると高校現場に問題を引き起こす、という考え。
 みなさんはどう思いますか。

揚力
(清水さん)
 写真のような、翼と送風機と一体になった装置をはかりの上に載せて、送風を開始すると、はかりの目盛りはどうなるかという問題。
 翼が受ける揚力により、見事に目盛りは小さくなりました。(ほんの少しですよ)