2007年5月12日(土)愛知工業高校での例会の記録です。

 大阪府吹田市の遊園地「エキスポランド」で五日発生したジェットコースター事故は、車軸の金属疲労が原因と断定されました。
 事故車両は導入後約15年間に一度も車軸を交換しないまま約23万キロを走行していたようです。
 車両が静止しているときに形を保っていても、大きな加速度で動くときには大きな力が加わり、変形する可能性があることは常識といえるでしょう。日常の点検が必要とされるには理由があるのです。
 保守担当者は、そういうことを理解していたのでしょうか。あるいは、理解していても経済的な理由で点検に経費をさけなかったのでしょうか。
 科学的な意見が軽視される会社や組織であってはならないと思います。

 絶叫マシンは、乗っている本人が絶叫するから楽しいのであって、見ている観客が絶叫するような事は駄目ですね。
 

 ヘロンの蒸気機関 (飯田さん  

 アルミ缶を利用したヘロンの蒸気機関の模型です。適量の水を入れて加熱してやるとビュンビュン回ります。

 今回の工夫のポイントは、蒸気の噴出し口をアルミテープでつくったこと。
 まげた管を取り付けるなどの工作をしなくても、管に穴をあけアルミテープで噴出し口を作れば十分。
 回転軸は磁石と鉄球でつくっています。

<参考>
 http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/
         record/r_2004_02_14/newpage.htm
 発電できるヘロンの蒸気タービン(清水さん)

 
 アルミテープで作る蒸気噴出口                                  鉄球で摩擦を小さくしています。

 気をつけないと、回転数があがるにつれて中の水が噴出します。
 皆の笑いも噴出しました。
 

 ビー玉スターリングエンジン (飯田さん  
 簡単に作れるスターリングエンジンです。
 今回の工夫は試験管の回転軸と注射筒の底。
 目玉クリップで試験管の高さを簡単に変えられます。また、同じく目玉クリップで試験管が滑らかに回転できるようになっています。
 さらに、注射筒の底(先?)が底板に固定しておらず、可動になっています。このため、注射筒の往復運動に最適な位置を容易に得られます。
 加熱すると見事に動きます。
 
 簡単な仕組みで熱エネルギーから運動エネルギーを得られることがよくわかります。

 目を通るボルトが回転軸になります。



  注射筒は底板に固定してありません。

 分流器と倍率器 (前田さん  
 電流計・電圧計の働きの説明で、分流器、倍率器の説明をしますが、実際にその動作まで確認することは少ない・・・・。
 そこで確認のための回路を作りました。

 電源は電池なのでμAの電流計を回路に入れます。分流器で10倍、100倍の電流を測れるように抵抗値を選びます。

 電流計に分流器をつなぐと、計算どおり電流計の目盛りが10分の1、100分の1になります。
(理論どおり!)
 確認することに大きな意味がありますね。

 分流器の説明回路全体です。
μA電流計で直接測ると約150μA。 10倍の測定にすると目盛りが1/10。 100倍の測定にするとほぼ0。
 同じ電流計を、電圧計として使えることも示します。
 測定範囲を変えるには、倍率器用の抵抗を電流計に直列につなぎます。
 こちらも倍率器を変えると、電圧計としての目盛りが10分の1に変化します。


 ところで、このμA電流計の内部抵抗はどのくらいあると思いますか?
 何と約1kΩあります。電流計内部のコイルだけで1kΩあるとは考えにくいので、抵抗が入っているだろうと推測できますが、はたして・・・・・・。
 

 宇宙線を見る霧箱3 (林さん  
 放射線を簡単に見られる霧箱の工夫を重ねている林さん。
 広い範囲を見られるように、大き目の容器を使っています。また、一方向から光をあて観察しやすいようにしています。 中の液体はエタノール。
 容器の底はエタノールとドライアイス。温度は約−70℃。
 中央に磁石を置いてあります。β線を磁場で曲げようとの目論見です。
 

 中央の黒いドーナツはネオジム磁石です。フエライト磁石とネオジム磁石を組にしてあります

 LEDで一方向から光を当てます。

  部屋の壁から出るβ線が見えます。(写真では見にくい・・・)

 容器の傍に放射線源を置くと、飛跡がドット増えます。


 空気中には窒素、酸素についでアルゴンが約1%含まれています。このアルゴンは岩石に含まれる40K(カリウム40)がβ+崩壊でできたものです。
 私達の体にも40Kが含まれており、計算によると一日約4000個程度の崩壊が起きているそうです。
 身近な放射線についての知識は現代社会においては必要不可欠ですね。

 でも、現行の高校物理においては、物理選択者でも放射線について学ばずに終わってしまう可能性があります。
 (原子物理を学ばなくても単位が取れるようになっています。)
 本当に必要な知識が何なのか、考え直す必要があるように思います。
 先進科学塾では、一人一人この霧箱を作ります。一人用の霧箱の作り方についても説明してくれました。
<参考>先進科学塾
 
 井階さんが、液体窒素で作る霧箱の構造を説明してくれました。
 発泡スチロール容器に、電子回路の放熱板を置き、中に液体窒素を入れます。その上に霧箱用の容器を置き、中にエタノールをいれ、横方向から光をあて、上から観察します。 

 LEDストロボ (奥谷さん  
 小型簡易ストロボ装置を作りました。
 回転体に光を当てると、周期が合えば写真のように回転が止まって見えます。

 しかし、発光側をコントロールするICがもう手に入らないそうです。
 そこで、LEDで同様の装置を作りました。

 タイマーIC555を使って発光周期をコントロールしています。
 ストロボと同様に、回転体を止めて見ることができます。

 周期が長いと発光がやや暗くなるのが課題とのこと。

 消えていく部品を追わず、新しい部品で新しい物を作っていかなければなりませんね。

 リスニングマシン (奥谷さん  
 右に写真、何かご存知ですか?

 センター試験のリスニングテストに使われるリスニングマシンです。
 分解すると、下の写真のようになります。
 メモリースティクの内容を、ソニーの電子手帳で見るといくつかのファイルが見えます。この手帳で再生はできませんでしたがBINファイルの構造がわかれば音声化できるかもしれません。

 これだけの装置、メモリーを一度きりの使用で終わらせるのはもったいないの一言です。
 いったい原価はいくらなのでしょう。
 

 力の合成・分解 (杉本さん  
 地下鉄事件に続いて、新聞記事から使える話題を見つけました。怪我をした児童には申し訳ありませんが、再発防止の気持ちをこめて、力の合成分解の題材として使わせていただきます。

 事故は大垣市の小学校で起きました。校庭の遊具が破損し、遊んでいた児童13人が地面に投げ出されるなどして軽症を負った、というものです。
 
 児童がロープに乗って、ロープ中央が50cm下がっていたとき、ロープが支えの支柱を引く力は、児童の重さの約18倍になります。
(この下がりでロープに張力が発生するほどしっかり張られていたとの仮定のもとですが・・・・・) 
 結構大きいですね。

<参考>http://www2.hamajima.co.jp/ikiikiwakuwaku/
             record/r_2006_05_20/newpage2.htm
             地下鉄事件 (杉本さん)

   

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